私の日常

林原なぎさ

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*遊びにいらして

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「本当に可愛いわね~。」


「世界で1番可愛い天使だな。」





出産して半年。





出産時の陣痛がかなり苦しくこんな辛いことがこの世にもうないのでは無いのかというほど本当に大変で、産まれたとお医者さんや看護師さんから言われた時は、やっとこの苦しい痛みに解放され安堵した。

そして初めて抱いた我が子に、やっと産まれきてくれたのかと感動もした。


しかし産まれてからが本当に大変で、何しろ初めての子育てなのでどうしたらいいのかわからないことだらけだった。

赤ちゃんというのは泣くことが仕事な様でよく泣き、夜泣きにも悩まされた。

退院してすぐに実家に帰り、母と一緒に面倒をみていても、それはもう本当に大変だったのだ。

秀一さんは週末に必ずやって来て一緒に面倒をみてくれるだけではなく、私のことにも気を遣ってくれるまさに優しい旦那さまである。




周囲からたくさんお祝いされ、私たち夫婦だけでなくお互いの家族かそれはそれは溺愛され、褒め称えられている娘のあおい

実家から秀一さんのいるお家に帰ってきた今日。

早速、彼のご両親であるお義母さんとお義父さんが遊びにいらして、碧を見るなり発した言葉が冒頭の台詞である。

私の両親にとって初孫である娘はそれはそれは可愛いとデレデレであったが、秀一さんのご両親にとって女の子の孫は初めてで、特にお義母さんは大喜びである。


「孫はどの子も可愛いけれども、やっぱり女の子は良いわよね~。私も娘が欲しかったのよね。」


こればっかりは授かり物だし、どうしようもなかったのよね~。

と、お義母さんはかなり喜んでくれてるみたいで安心する。



「母さんも父さんお祝いしてくれるのは有り難いが、歩は今日帰ってきたばかりなんだ。あまり長居はしないでくれ。」


「歩ちゃんを独り占めして、ラブラブしたいのはわかっているわ。」


「お嫁さんに貰った歩さんと碧ちゃんに会いに来たんだ。そうすぐ追い出そうとしなくていいだろう。」


彼とご両親は、親子の会話?が弾んでいる様で、若干人見知りである私は会話に入らなくてよさそうだ。



既に妊娠していた私は、彼のご両親が体調面を考慮して下さったおかげで、出産してからも今日まで長時間お会いしたことがなかったのだ。

そんな訳で、今日が彼のご両親を知るチャンスであり距離が縮まれば良いな、と。




「歩ちゃんのお陰ね。」


秀一さんとお義父さんが碧の世話を見て下さってる中、お義母さんが私の元へいらして。

美しいお顔で微笑んだ。


「私のお陰ですか?」


「歩ちゃんのお陰で、秀一はよく笑う様になったし…何より本当に幸せそう。だから歩ちゃんのお陰よ。」


お義母さんの方がとても幸せそうに笑っていたので私のお陰かはわからないが、もしそうならば何となく私も嬉しい気持ちになった。


「歩ちゃんのことが本当に大好きみたい。これからもあの息子共々、よろしくね。」


「あ、はい!こちらこそ。」


ふふ。と満足そうに笑うお義母さんに。

いや、私のことが大好きというのは誤解です!とは言えなかったが、とりあえずお義母さんとの距離は縮められたかな、と私も満足した。





そして帰り際に。


「碧ちゃんには弟妹きょうだいを与えてあげなきゃいけないわよね。」


「そうだな。次も女の子が良いなぁ。」


うちは男ばかりだからなぁ。

楽しそうなお義母さんとお義父さんに、なんてこと言うんですか!と思ったが口には出せない。


「焦らなくてもすぐに弟妹きょうだいはできるだろ。」


にやりと笑う秀一さんと期待にを輝かせる、お義母さんとお義父さんを私はこの先、避けることができないであろうと予感した。




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