2 / 50
*遊びにいらして
しおりを挟む「本当に可愛いわね~。」
「世界で1番可愛い天使だな。」
出産して半年。
出産時の陣痛がかなり苦しくこんな辛いことがこの世にもうないのでは無いのかというほど本当に大変で、産まれたとお医者さんや看護師さんから言われた時は、やっとこの苦しい痛みに解放され安堵した。
そして初めて抱いた我が子に、やっと産まれきてくれたのかと感動もした。
しかし産まれてからが本当に大変で、何しろ初めての子育てなのでどうしたらいいのかわからないことだらけだった。
赤ちゃんというのは泣くことが仕事な様でよく泣き、夜泣きにも悩まされた。
退院してすぐに実家に帰り、母と一緒に面倒をみていても、それはもう本当に大変だったのだ。
秀一さんは週末に必ずやって来て一緒に面倒をみてくれるだけではなく、私のことにも気を遣ってくれるまさに優しい旦那さまである。
周囲からたくさんお祝いされ、私たち夫婦だけでなくお互いの家族かそれはそれは溺愛され、褒め称えられている娘の碧。
実家から秀一さんのいるお家に帰ってきた今日。
早速、彼のご両親であるお義母さんとお義父さんが遊びにいらして、碧を見るなり発した言葉が冒頭の台詞である。
私の両親にとって初孫である娘はそれはそれは可愛いとデレデレであったが、秀一さんのご両親にとって女の子の孫は初めてで、特にお義母さんは大喜びである。
「孫はどの子も可愛いけれども、やっぱり女の子は良いわよね~。私も娘が欲しかったのよね。」
こればっかりは授かり物だし、どうしようもなかったのよね~。
と、お義母さんはかなり喜んでくれてるみたいで安心する。
「母さんも父さんお祝いしてくれるのは有り難いが、歩は今日帰ってきたばかりなんだ。あまり長居はしないでくれ。」
「歩ちゃんを独り占めして、ラブラブしたいのはわかっているわ。」
「お嫁さんに貰った歩さんと碧ちゃんに会いに来たんだ。そうすぐ追い出そうとしなくていいだろう。」
彼とご両親は、親子の会話?が弾んでいる様で、若干人見知りである私は会話に入らなくてよさそうだ。
既に妊娠していた私は、彼のご両親が体調面を考慮して下さったおかげで、出産してからも今日まで長時間お会いしたことがなかったのだ。
そんな訳で、今日が彼のご両親を知るチャンスであり距離が縮まれば良いな、と。
「歩ちゃんのお陰ね。」
秀一さんとお義父さんが碧の世話を見て下さってる中、お義母さんが私の元へいらして。
美しいお顔で微笑んだ。
「私のお陰ですか?」
「歩ちゃんのお陰で、秀一はよく笑う様になったし…何より本当に幸せそう。だから歩ちゃんのお陰よ。」
お義母さんの方がとても幸せそうに笑っていたので私のお陰かはわからないが、もしそうならば何となく私も嬉しい気持ちになった。
「歩ちゃんのことが本当に大好きみたい。これからもあの息子共々、よろしくね。」
「あ、はい!こちらこそ。」
ふふ。と満足そうに笑うお義母さんに。
いや、私のことが大好きというのは誤解です!とは言えなかったが、とりあえずお義母さんとの距離は縮められたかな、と私も満足した。
そして帰り際に。
「碧ちゃんには弟妹を与えてあげなきゃいけないわよね。」
「そうだな。次も女の子が良いなぁ。」
うちは男ばかりだからなぁ。
楽しそうなお義母さんとお義父さんに、なんてこと言うんですか!と思ったが口には出せない。
「焦らなくてもすぐに弟妹はできるだろ。」
にやりと笑う秀一さんと期待に瞳を輝かせる、お義母さんとお義父さんを私はこの先、避けることができないであろうと予感した。
0
お気に入りに追加
112
あなたにおすすめの小説
先生!放課後の隣の教室から女子の喘ぎ声が聴こえました…
ヘロディア
恋愛
居残りを余儀なくされた高校生の主人公。
しかし、隣の部屋からかすかに女子の喘ぎ声が聴こえてくるのであった。
気になって覗いてみた主人公は、衝撃的な光景を目の当たりにする…
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
お兄ちゃんが私にぐいぐいエッチな事を迫って来て困るんですけど!?
さいとう みさき
恋愛
私は琴吹(ことぶき)、高校生一年生。
私には再婚して血の繋がらない 二つ年上の兄がいる。
見た目は、まあ正直、好みなんだけど……
「好きな人が出来た! すまんが琴吹、練習台になってくれ!!」
そう言ってお兄ちゃんは私に協力を要請するのだけど、何処で仕入れた知識だかエッチな事ばかりしてこようとする。
「お兄ちゃんのばかぁっ! 女の子にいきなりそんな事しちゃダメだってばッ!!」
はぁ、見た目は好みなのにこのバカ兄は目的の為に偏った知識で女の子に接して来ようとする。
こんなんじゃ絶対にフラれる!
仕方ない、この私がお兄ちゃんを教育してやろーじゃないの!
実はお兄ちゃん好きな義妹が奮闘する物語です。
初めてのパーティプレイで魔導師様と修道士様に昼も夜も教え込まれる話
トリイチ
恋愛
新人魔法使いのエルフ娘、ミア。冒険者が集まる酒場で出会った魔導師ライデットと修道士ゼノスのパーティに誘われ加入することに。
ベテランのふたりに付いていくだけで精いっぱいのミアだったが、夜宿屋で高額の報酬を貰い喜びつつも戸惑う。
自分にはふたりに何のメリットなくも恩も返せてないと。
そんな時ゼノスから告げられる。
「…あるよ。ミアちゃんが俺たちに出来ること――」
pixiv、ムーンライトノベルズ、Fantia(続編有)にも投稿しております。
【https://fantia.jp/fanclubs/501495】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる