嵐は突然やってくる

白うさぎ

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第五章 ハタチ

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「廉くん、お家ついたよ。」
「若干発熱してるわね。」
「うん、やっぱり疲れ熱出たか。まぁ高熱って感じでもないし、人込み疲れと緊張があったからかな。」
「百々ちゃんは?お熱出てない?」
「私は廉ちゃんとは違ってメンタル丈夫だから!」
「百々ちゃんは図太いからね」
「ママー!!」
「なぁに?本当のことを言っただけよ」
百々と母親のじゃれ合う声は聞こえるんだけど、なんだか体が重だるくて目が開けられない。
「廉くん、がんばれー!目開けれる?」
「ダメそうなら、俺が抱えて入るよ。」
「そうしてもらった方が良さそうね。ごめんね、翔くん。」
「いいよ、これくらい。廉くん軽いし。」
体が浮く感覚。おんぶで運んでくれてるようで、翔さんの匂いがする。
「百々ちゃん、廉くんの靴脱がしてくれる?」
「へーい。はいよ、どうぞ。」
「ありがとう。親父、廉くん部屋?それとも親父たちのベッド?」
「あー、どうしようかな。疲れ熱だし、パニック起きる感じないから自分の部屋で良さそうだけどね。」
「じゃあ、廉くんの部屋に寝かせてくる。」
「うん、頼んだよ。階段気をつけてね!」
「うん。」

ベッドについたのか柔らかく包まれる感覚。
「手だけ消毒させてね。」
最近インフル流行ってるからかな?
「よし、いい夢みてね。」
翔さんの声が消えた。
静かな部屋としんどさで、意識は夢の中に。
夜中にトイレに起きたけど、みんなさすがに寝たみたいで静かだ。
部屋に戻りまた寝ようかなって思ったけど、机に置かれてる今日自分で選んだコップが目に入った。
一つだして夜空に透かす。
「きれい・・・。」
使うの楽しみだな。
いつかこれでみんなでお酒飲むのもいいかもしれない。
百々はまだ先だけど。
大事に片付けて、布団に戻る。
少しまだ熱があるのかだるいけど、朝になったら下がってるだろう。
「楽しかったな・・・。次はいろんな観光地行けるようになったらいいな。」
目を瞑りこの2日を思い出しながら眠った。



翌朝リビングに降りるとみんないたから昨日のお土産を出す。
「あら。廉ちゃんコップ買ったの?おしゃれな切子グラスだけど高かったでしょ?」
「うん・・・。」
「センスいいね!」
「みんなで使いたい・・・。」
「みんなで?誰がどの色か決めるの?」
「うん・・・。」
「百々ピンク!」
「親父は?」
「翔選んでいいよ。」
「じゃあ俺は緑。」
「百合さんは?」
「私は赤にしようかしら。」
「廉くんどれがいい?」
「俺は一番最後でいい・・・。」
「じゃあ、青にしようかな。」
「2個あるけど一つは予備かい?」
水色のグラスをスっと直人さんに渡す。
「これは空君の・・・。俺は紫。」
「廉くん。空にも買ってくれたのかい?」
「空くん・・・大切な家族でしょ・・・?」
「うん。」
「ありがとう、廉くん。空も喜んでるよ。」
そう言って直人さんと翔さんは少し涙ぐんでいた。
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