Promise

時谷 創

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5話 赤のゼラニウム

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「ラムネ一本ください!」

すぐに客側に戻って、

「ラムネね。名草さん、ラムネ一本いくらでしたっけ?」

「100円よ」

「名草さん、こんな感じですよね!?」

名草さんに向かってウィンクする。

「凄く良い方法だと思う! 結愛ちゃんさえ良ければ、
 少しの間だけでも手伝ってくれると助かるかも!」

「はい! 学校が終わったらすぐ駆けつけますので、
 それまで名草さんのペースでお店を開いて頂ければと!」

「ありがとう。結愛ちゃんのおかげで何とかなりそうよ。
 それに結愛ちゃんが見違えるように立派で頼もしい
 女の子になってて、凄く嬉しい」

「いえいえ、私そんなまだまだ子供で……」

途中でふとある事を思い出し、鞄とは別の袋に手を伸ばす。

「でも! 私でよければこれからは名草についていますからね!」

名草さんに赤いゼラニウムの花束を手渡す。

「ゼラニウム……君ありて幸福ね」

名草さんは花束を抱えたまま、私に短いキスをした。

「名草さん…」

「私の結愛ちゃんへの想いはこう言うのだったんだ」

「名草さんの想い、凄く嬉しいです!
 私も名草さんとキスできて嬉しいし、6年前の約束も実行できる」

名草に近づき、

「私は名草さんの事がずっと好きでした。私と付き合ってくれませんか?」

「私も結愛ちゃんの事が好きです。仲良し姉妹ではなく一人の女の子として」

二人笑顔で向かい合ってもう一度キスをする。
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