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8話 クラシック
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音楽が聞こえる……。
確か音楽の授業の時に聞いた事が……。
頭が重く、思考がまとまらない中、聞こえてくる曲の事を必死に思い出す。
「……確かヴィヴァルディの四季のどれかだった気がする」
力を振り絞って何とか言葉を発すると、カチャと言う音と共に、
コーヒーの良い匂いが漂ってくる。
ここは喫茶店だろうか?
記憶が曖昧で自分が何をしようとしていたのか思い出せないでいると、
ふと誰かの声が聞こえてきた。
「享、起きたか?」
とおる?
その名前はどこか聞き覚えがあった。
喫茶店……あき……とおる……。
違う、確か●君のお父さん……あきやま……あきやま とおる。
秋山 享……?
その名前が頭に浮かぶと、私はすぐに立ち上がった。
「そうだ、先生! 天野先生が!!」
頭がくらくらして、息が切れ切れになるが、それを気にしている場合ではない。
思い出したのだ。
目の前で……天野先生が土砂崩れに巻き込まれた事を!
「わっ、急に叫ぶんじゃない!
びっくりして心臓が止まるかと思ったじゃないか!」
そう言って青ざめた顔をしているのは、喫茶店のマスター。
「マスター! 天野先生、天野先生はどうされましたか!?」
「落ち着け、享! 天野先生ならまだ自宅にいるんじゃないか?
ここで待ち合わせをしているのは、まだ2時間も先の事だろう?」
「天野先生が自宅に……? 待ち合わせは2時間先……?」
そう言われて、時計を見てみると待ち合わせの2時間前、13時を指していた。
「えっ、どう言うこと……? 天野先生を迎えに行くために出たのが、
14時10分過ぎだったのに、時間が元に戻ってる……?」
それに窓の外を見てみても黒い雲に覆われているだけで、全く雨は降っていない。
『衣沙菜……衣沙菜』
何が何だか分からない状況に頭を抱えていると、脳内に言葉が響いてきた。
「その声は、直君!? 直君は無事なの!?」
『俺は大丈夫だ。
なぜ今の状況になったかは不明だが、とりあえず席の方に来てくれ』
そう言われて、席の方に目を向けてみると、
直君……猫のぬいぐるみが机の上に乗っているのが見えた。
「マスター、すみません。ちょっと考え事があるので、席に戻りますね!」
「ああ……何かよく分からんが、まだ待ち合わせまでは時間があるから、
先生と話す内容をもう一度じっくりと考えてみるといい」
そう言うとマスターは笑顔を浮かべながら、コーヒーを手渡してくるので、
お礼を言って受け取ると自分の席へと戻っていった。
確か音楽の授業の時に聞いた事が……。
頭が重く、思考がまとまらない中、聞こえてくる曲の事を必死に思い出す。
「……確かヴィヴァルディの四季のどれかだった気がする」
力を振り絞って何とか言葉を発すると、カチャと言う音と共に、
コーヒーの良い匂いが漂ってくる。
ここは喫茶店だろうか?
記憶が曖昧で自分が何をしようとしていたのか思い出せないでいると、
ふと誰かの声が聞こえてきた。
「享、起きたか?」
とおる?
その名前はどこか聞き覚えがあった。
喫茶店……あき……とおる……。
違う、確か●君のお父さん……あきやま……あきやま とおる。
秋山 享……?
その名前が頭に浮かぶと、私はすぐに立ち上がった。
「そうだ、先生! 天野先生が!!」
頭がくらくらして、息が切れ切れになるが、それを気にしている場合ではない。
思い出したのだ。
目の前で……天野先生が土砂崩れに巻き込まれた事を!
「わっ、急に叫ぶんじゃない!
びっくりして心臓が止まるかと思ったじゃないか!」
そう言って青ざめた顔をしているのは、喫茶店のマスター。
「マスター! 天野先生、天野先生はどうされましたか!?」
「落ち着け、享! 天野先生ならまだ自宅にいるんじゃないか?
ここで待ち合わせをしているのは、まだ2時間も先の事だろう?」
「天野先生が自宅に……? 待ち合わせは2時間先……?」
そう言われて、時計を見てみると待ち合わせの2時間前、13時を指していた。
「えっ、どう言うこと……? 天野先生を迎えに行くために出たのが、
14時10分過ぎだったのに、時間が元に戻ってる……?」
それに窓の外を見てみても黒い雲に覆われているだけで、全く雨は降っていない。
『衣沙菜……衣沙菜』
何が何だか分からない状況に頭を抱えていると、脳内に言葉が響いてきた。
「その声は、直君!? 直君は無事なの!?」
『俺は大丈夫だ。
なぜ今の状況になったかは不明だが、とりあえず席の方に来てくれ』
そう言われて、席の方に目を向けてみると、
直君……猫のぬいぐるみが机の上に乗っているのが見えた。
「マスター、すみません。ちょっと考え事があるので、席に戻りますね!」
「ああ……何かよく分からんが、まだ待ち合わせまでは時間があるから、
先生と話す内容をもう一度じっくりと考えてみるといい」
そう言うとマスターは笑顔を浮かべながら、コーヒーを手渡してくるので、
お礼を言って受け取ると自分の席へと戻っていった。
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