小さな檻【完結】

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 住宅街の一画に建てられた、クリーム色の外壁をした二階建ての一軒家。それが僕が収監されている檻である。
 住人は、仕事でほとんど家に帰らない父と、専業主婦の母。そして、兄弟二人。
 物心ついた時から、父はほとんど家に居なかった。帰ってきても自室に籠りきりで、まともに会話をしたことが無い。昔から、ああいう人なのよ。と、母が悲しそうに語っている姿が今でも記憶に焼き付いている。
 父が子供に無頓着だからと言って、僕は愛情を受けずに育ったわけじゃない。母のおかげで、嫌になるほど甘やかされた。父から受けるはずだった愛情の隙間を、母が満たしてくれた。
 しかし、その愛情で歪んでしまったのが弟のシュンである。
 弟が生まれた時、母から受けた愛情を彼にも授けねばならないと思っていた。母が父から受けるはずだった愛情を僕へ注いだように、僕も彼へ、父から受けるはずだった愛情を与えたいと思った。
 そんな甘やかし癖がある母と三歳年上である僕に挟まれた彼は、気がつけば手の施しようが無いほど我儘な性格へ変貌していた。
 弟の暴力性が如実に出たのが、彼がまだ小学校三年生の頃だ。確か、九歳の誕生日を迎え終えた一ヶ月後の出来事。彼はいきなり僕を押し倒し、服へ手を入れた。
 前々から苛立つことや、気に入らないことがあると母に当たる癖があったが、その時期から攻撃性は僕にも向いていた。噛みついたり、小突いたり。暴言を吐いたりと。
 しかし、その時は違った。服へ手を忍ばせ、首筋へ噛みついたのだ。そのままべろりと舐め上げ、今度は耳輪を喰む。
 僕は、悲鳴も上げられずに固まった。いや、悲鳴を上げたかった。けれど、母にこの状況がバレたくなかったのだ。なんとか穏便に済ませたかった。僕は彼の肩を押し返し、ヘラヘラと笑う。

「なんの遊びだよ?」
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