みんなのたいちょう

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「こんなの入んのかよ、スッゲー」

 周りの男が感心している。彼らはまるで悪趣味な見世物小屋を伺う客のようだ。俺は気分が悪いなと思いながらも、その光景から目が離せなかった。
 ここの角度からでは、挿入部分が見えない。俺は一歩、また一歩近づく。
 ────別に、見たいわけじゃない。
 俺はルタに対するみんなの対応に納得しているわけじゃない。それに、こんな虐待は今すぐにでもやめるべきだと思っている。
 けれど、ほんの少し。ほんの少しだけ見てみたいという欲が出てきたのだ。

「……ひ! ィ、あっ、あ、ぅ゛、ぅ」
「こら、隊長。すぐ失神しようとする。ちゃんと壁に手をついてくださいよ、ねぇ」

 大男────マブラはケタケタと笑った。隊長の髪を掴み、壁に押し付ける。そのまま、逃げ場がなくなったルタへ性器を突き立てた。声も上げられないまま、体を痙攣させたルタからみんな目を剥がそうとしなかった。周りの男たちは興奮を孕ませた瞳をしていて異様な光景だ。誰も手を差し伸べ、この集落のリーダーを助けようとはしなかった。
 むしろ娯楽の一環として、この状況を楽しんでいる。
 俺はまた一歩、足を踏み出す。隊長に近づくために。

「────ぁ゛……ッ、……」

 俺は息を呑んだ。男たちの肩越しに見えたのは、マブラの体に見合う黒々とした太い性器が、ルタの白くてまろい臀部に突き刺さっている光景だ。ゆっくりと引き抜いたかと思えば、勢いよく奥へ叩きつける。
 ────あんな太いものが……隊長の中に……。
 ルタは男ではあるが、小柄な方である。そんな彼の中に、凶器が埋め込まれている。
 ヌプヌプと浅い位置で亀頭を往復させているマブラは、気持ちよさそうに声を漏らした。

「隊長、最高です」
「はっ、はぁ、っ、ぁ……はっ」

 側から見たら、子供を犯している大人のように見える。そのアンバランスさが余計に俺や────俺の周りにいる男たちの胸を騒つかせた。
 この集落で一番の頼りであったルタが、大男のマブラに押さえつけられいいように扱われている。文句の一つも言えない条件下で乱暴に犯される隊長は、哀れであり美しくも見えた。

「ぉ゛ッ、……~!」
「隊長、出ます、たいちょ……っ」

 大きく分厚い背中がぶるぶると震え、やがて最奥に腰を叩きつける。ぶちゅ、と下品な音が聞こえた。隊長の後孔に視線を投げる。太い性器が入り込んだ後孔の縁から、白濁液が逆流していた。
 マブラは気持ちよさそうに息を漏らし、ゆるゆると腰を動かしながらルタの上半身を起こした。筋肉質なマブラがその体を簡単に抱き寄せる。顔だけを傾け、口付けを交わしていた。何度も角度を変えて唾液を交換し合う様は淫猥で、下半身が張り詰める。

「隊長、失禁してるじゃん」

 誰かが笑いながらそう言った。見える角度に移動すると、確かにだらりと垂れた性器から、液体が漏れている。あれだけ大きなものを体内に埋め込まれ、往復されたら失禁の一つや二つするだろう。途端に、ルタの体調が心配になった。
 彼は虚ろな目でマブラからの口付けを受けている。拒絶もしなければ、無駄な声もあげない。ただ、繰り返される暴力に耐え続けているようだった。(抵抗しても無駄だと分かりきっているのか、あるいはもうその体力さえないのか)
 周りにいた男が、隊長へ手を伸ばす。色の薄い胸の突起に指を這わせた。きゅうと摘むと、ルタの体が微かに跳ねる。

「……隊長、また締めつけて。誘ってるんですか?」
「おい、マブラ。もうやめてやれよ、隊長が壊れるぞ」

 乳首を撫でている男が、止める気配のない声音でそう笑った。その会話に誘われるように、もう一人の男が反対側の突起を摘む。それに合わせて、またマブラが腰を動かし始めた。
 ルタが、掠れた声で悲鳴を漏らす。

「も、いやだ、ゆ゛るして、いや゛、ぁッ、ごめ、ごめん゛な、さ……ッ」

 周りの男たちが、ケタケタと笑う。泣きじゃくる隊長を無視し、また動きが再開された。俺はその輪から退く。異様な空気に呑まれそうになり、胃液が込み上げた。
 ────やっぱり、異常だ。
 劈くような悲鳴が響く。誰一人、この馬鹿げた宴を止めようとする人間はいなかった。
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