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向かえ!大団円
一夜明けて
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魔物を数えきれないほど殺した、翌朝。
「誰も死ななくて、良かった…のかな」
まだぼんやりする頭で、宿屋のベッドから出る。
昨日アドレナリンを出し過ぎたのかな…
何だか体がだるいし寝汗も酷い。
隣のベッドを見ると、ヨークさんが毛布を跳ね飛ばして寝ていた。
…お腹が冷えたらいけないな。
俺はそっと毛布を掛け直して、ヨークさんを起こさない様に静かに部屋を出た。
取り敢えず水でも貰おうと、俺は食堂へ向かう事にした。
他の人も寝てるかもしれないのでできるだけ静かに階段を降りると、食堂の方から話し声が聞こえた。
「…の仕業で間違いなさそうです」
そこではブレックさんと騎士の人たちが話をしていた。
「やはり、自然にはあり得んと思ったのだ」
「ああ、繁殖期だとしても多すぎる」
「実は他の分隊から先程…」
他の、分隊…?
そうか、昨日のは石碑の前だけじゃ無かったんだ、他の所でも…!!
俺はブレックさんたちに駆け寄ろうとして、気が付いたブレックさんに制される。
「ロンバード様、お早うございます!
お早いお目覚めですね、朝食はまだ先ですよ」
「あ、ああ、はい…水」
「ああ、お水ですね!
…後ほどお持ちしますので、お部屋でお待ちください」
「は、はあ」
今すぐ飲みたいという程でも無かったし、よく考えれば水ぐらい自分で出せる。
「じゃあ、部屋で…待ってます」
何だかブレックさんの笑顔が少し怖かったので、大人しく引き下がる。
「何だったんだろう…」
さっきの話だと、他の場所でも何かあったみたいだ。
それに、自然にはあり得ないって…
一体、何が?
***
部屋に戻って待っていると、ブレックさんがレモンの輪切りが入った水を持って来てくれた。
「少し塩と蜂蜜を足しております」
「有難うございます」
良く冷えた蜂蜜レモン水を飲んで、一息つく。
ヨークさんはまだ寝ている…
昨日は遅くまで帰ってこなかったし、疲れてるんだろうな。
「その、ブレックさん…」
「先程は失礼致しました。
一瞬、敵の間者ではと」
ブレックさんは俺に頭を下げ、小さな声で言った。
「スミス殿から、先ほど連絡がありました。
索敵能力で分かる範囲と目視で確認できる範囲において、怪しい者は全て排除したそうです。
ですが、念の為に防音の魔法を」
「…はい」
俺はこの部屋の中の音が外へ出ないように、しっかりと魔法をかけた。
それを確認してから、ブレックさんはごく控えめな声で話し始めた。
「今回の魔物侵攻は、人為的に引き起こされたもののようです」
「…やっぱり」
「驚かれないのですか?」
「その…、グリフォンの、卵を盗んだ人が…」
「…見てしまわれたのですね」
「……はい」
ブレックさんは静かに目を伏せて…
「…それなら、話は早い。
森の中に人間が魔物の巣を荒らした形跡が多数見つかったそうです。
まだ幼い魔物を殺し、高く売れる部位を切り取って捨てた跡も、同じく」
「そんな、惨い…」
相手が魔物だから何でもしていいわけじゃないって、なんで分からないの?
何でそんな事しようとするの?
第27騎士団から手柄を奪いたかったから?
それとも、騎士団に狩られる前に狩って、金儲けをしたかったから?
それとも、騎士団員を襲わせたかったから?
「その惨たらしい行いの報いを受けただろう死体も、多数発見されております」
「は…え、た…多数…?」
多数、となると組織的な犯行って事だ。
だったら理由は分からなくても、バックにいる人間は分かる。
「ってことは…バレン」
「ええ、奴が賊を森の中へ放ったのです。
南東の農場にいた、ならず者どもを…」
「えっ、南東の…!?」
「しーっ…これはまだ、機密ですから」
ブレックさんによると、南東の農場はすでに奴らの手中に落ちた…とのこと。
比較的罪の軽い魔術師を移送した後すぐの出来事だったそうだ。
「あそこは現在、凶悪犯罪者のみを収監する場所になっております。
刑場も併設されておりますし、元々そういう場所だったそうですしね」
ブレックさんによると、前王の治世下でいつの間にか「魔法が使える平民を収監する場所」として使われ始め、それが慣習になって「魔法を使える犯罪者専用の服役所」みたいになっていたらしい。
つまりダリル様の手によって「単純に」元に戻っただけの事なんだな。
だからこれだけの早さで動けたのか…。
「…証拠は、あるんですよね」
「ええ、この村の手前で優雅に野営をしていた魔術師がいたのを捕まえましてね」
「えっ…なんで?」
「何故、というのはこれから聞いてみないと何とも…」
ええ…何の為にそこで待ってたんだろ…
見物か何かか?
悪趣味だな…
「しかし、捕まえるのは簡単でしたよ。
確かに魔術塔の方の言う通りでした…
『魔法発動前に殴れたら勝てる』って」
「ああ…そうですよね」
やっぱり魔術師って基本的には後衛だよな…
って、あれ?
そう言えば、俺が見た隊には魔術師がいなかったけど…
「そういえば他の場所にいた隊に、魔術師は?」
「誰も死ななくて、良かった…のかな」
まだぼんやりする頭で、宿屋のベッドから出る。
昨日アドレナリンを出し過ぎたのかな…
何だか体がだるいし寝汗も酷い。
隣のベッドを見ると、ヨークさんが毛布を跳ね飛ばして寝ていた。
…お腹が冷えたらいけないな。
俺はそっと毛布を掛け直して、ヨークさんを起こさない様に静かに部屋を出た。
取り敢えず水でも貰おうと、俺は食堂へ向かう事にした。
他の人も寝てるかもしれないのでできるだけ静かに階段を降りると、食堂の方から話し声が聞こえた。
「…の仕業で間違いなさそうです」
そこではブレックさんと騎士の人たちが話をしていた。
「やはり、自然にはあり得んと思ったのだ」
「ああ、繁殖期だとしても多すぎる」
「実は他の分隊から先程…」
他の、分隊…?
そうか、昨日のは石碑の前だけじゃ無かったんだ、他の所でも…!!
俺はブレックさんたちに駆け寄ろうとして、気が付いたブレックさんに制される。
「ロンバード様、お早うございます!
お早いお目覚めですね、朝食はまだ先ですよ」
「あ、ああ、はい…水」
「ああ、お水ですね!
…後ほどお持ちしますので、お部屋でお待ちください」
「は、はあ」
今すぐ飲みたいという程でも無かったし、よく考えれば水ぐらい自分で出せる。
「じゃあ、部屋で…待ってます」
何だかブレックさんの笑顔が少し怖かったので、大人しく引き下がる。
「何だったんだろう…」
さっきの話だと、他の場所でも何かあったみたいだ。
それに、自然にはあり得ないって…
一体、何が?
***
部屋に戻って待っていると、ブレックさんがレモンの輪切りが入った水を持って来てくれた。
「少し塩と蜂蜜を足しております」
「有難うございます」
良く冷えた蜂蜜レモン水を飲んで、一息つく。
ヨークさんはまだ寝ている…
昨日は遅くまで帰ってこなかったし、疲れてるんだろうな。
「その、ブレックさん…」
「先程は失礼致しました。
一瞬、敵の間者ではと」
ブレックさんは俺に頭を下げ、小さな声で言った。
「スミス殿から、先ほど連絡がありました。
索敵能力で分かる範囲と目視で確認できる範囲において、怪しい者は全て排除したそうです。
ですが、念の為に防音の魔法を」
「…はい」
俺はこの部屋の中の音が外へ出ないように、しっかりと魔法をかけた。
それを確認してから、ブレックさんはごく控えめな声で話し始めた。
「今回の魔物侵攻は、人為的に引き起こされたもののようです」
「…やっぱり」
「驚かれないのですか?」
「その…、グリフォンの、卵を盗んだ人が…」
「…見てしまわれたのですね」
「……はい」
ブレックさんは静かに目を伏せて…
「…それなら、話は早い。
森の中に人間が魔物の巣を荒らした形跡が多数見つかったそうです。
まだ幼い魔物を殺し、高く売れる部位を切り取って捨てた跡も、同じく」
「そんな、惨い…」
相手が魔物だから何でもしていいわけじゃないって、なんで分からないの?
何でそんな事しようとするの?
第27騎士団から手柄を奪いたかったから?
それとも、騎士団に狩られる前に狩って、金儲けをしたかったから?
それとも、騎士団員を襲わせたかったから?
「その惨たらしい行いの報いを受けただろう死体も、多数発見されております」
「は…え、た…多数…?」
多数、となると組織的な犯行って事だ。
だったら理由は分からなくても、バックにいる人間は分かる。
「ってことは…バレン」
「ええ、奴が賊を森の中へ放ったのです。
南東の農場にいた、ならず者どもを…」
「えっ、南東の…!?」
「しーっ…これはまだ、機密ですから」
ブレックさんによると、南東の農場はすでに奴らの手中に落ちた…とのこと。
比較的罪の軽い魔術師を移送した後すぐの出来事だったそうだ。
「あそこは現在、凶悪犯罪者のみを収監する場所になっております。
刑場も併設されておりますし、元々そういう場所だったそうですしね」
ブレックさんによると、前王の治世下でいつの間にか「魔法が使える平民を収監する場所」として使われ始め、それが慣習になって「魔法を使える犯罪者専用の服役所」みたいになっていたらしい。
つまりダリル様の手によって「単純に」元に戻っただけの事なんだな。
だからこれだけの早さで動けたのか…。
「…証拠は、あるんですよね」
「ええ、この村の手前で優雅に野営をしていた魔術師がいたのを捕まえましてね」
「えっ…なんで?」
「何故、というのはこれから聞いてみないと何とも…」
ええ…何の為にそこで待ってたんだろ…
見物か何かか?
悪趣味だな…
「しかし、捕まえるのは簡単でしたよ。
確かに魔術塔の方の言う通りでした…
『魔法発動前に殴れたら勝てる』って」
「ああ…そうですよね」
やっぱり魔術師って基本的には後衛だよな…
って、あれ?
そう言えば、俺が見た隊には魔術師がいなかったけど…
「そういえば他の場所にいた隊に、魔術師は?」
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