別にこいつとは付き合ってませんけど？

恋人同士になる試練

【幕間】クリスチーヌからの報告書 ６

親愛なる主、リンデ殿下へ

北の街を出立し、東、南、西の街…。
次は、ついに外周最後の祠で御座います。

シゲル様とトモアキ様…
長らくカラタニ様とマキタ様、とお呼びしておりましたが、此の度改めさせて頂く事に致しました。

お二人はもう監視対象ではなく、私の大事な友人と恋人ですから。


とまあ、そんな私事は置いておきまして、旅程が２日ほど遅れておりますのを取り返すべく、我々は行商の方たちより先に進む事と致しました。

行商の者たちが安全に行き来出来る様、各地へ出向いた騎士団の皆様にもご通達下さいます様、お願い致します。

ここで関係者が一人でも死ぬ事があればシゲル様が苦しまれますので、疾くおやりくださいましね？


さて、祠の話なのですけども、王都周辺の３つより他にも存在するのか…はたまた泉が問題なのか、こちらも調べねばなりません。

この辺りのことは神に聞いても分からぬだろう、との事でしたが、王宮書庫にそのような文献が無いか、今一度ご確認頂きたくお願い申し上げます。

その際は、闇の力に細心の注意を払って下さいね。
ディディ様や殿下に何かあったら一大事…
もちろん陛下や王妃様にも、です。

そうそう、闇の力がある場所には絶対に王族は近づかぬように、とはトモアキ様からのご指示でしたが、何もその後問題御座いませんか？
頭から角が生えてくる等、もし異常ありましたら必ずお知らせ下さいね。

……茶化しているわけではありませんよ？
ただ、トライデント家で発見された記録には、王城にはかつて魔王が住んでいたという事が書いてあったのだと仰いますので、念の為。

とはいえ、巡礼の旅はもうすぐ終わり、闇の力もなりを潜めるはずです。
これが一旦の区切りとなりますが、例の特別仕様馬車は完成しておりますでしょうか？
シゲル様もトモアキ様も楽しみにしておられます。
勿論私と、トライデントの野郎もですが。

まあ、私の目の黒いうちは束縛・監禁は徹底して取り締まって参りますから、問題ございません。

私の幸せは、「トモアキ様と共にある事」・「トモアキ様とシゲル様の仲睦まじい姿を見られる事」なのですから…。


それでは、最後の祠の浄化が終わり、北の街へ戻ったらまたお会い致しましょう。



あなたの有能な部下・クリスチーヌより