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恋人同士になる試練

22番目の祠 3

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梯子を登ること3回で、封印の間に到着。

22番目の祠は各フロアのボス的魔物が全部猫だった。
この世界に来て初めて猫を見た気がする。
かつて猫狩りがあったりしたのかな…。

封印の間に入って、俺はミシェルに聞いてみた。

「ねえミシェル、猫って珍しいの?」
「ああ、猫は闇の力が濃くなってくると、何故か姿を隠してしまうんだ」
「へえ…危険を察知する力があるのかな」
「犬と違って、村や街単位で飼われている事もあるだろうな」

何とトラネキサムでは、家の中に猫を閉じ込めてはいけないのだそうだ。
ネズミを捕って貰うために放し飼いなんだって。

「そういう法があるわけでなく、慣習だがな。
 その代わり、怪我した猫や病気の猫を見つけたらちゃんと保護するんだ」
「それは、見つけた人が?」
「ああ、そうだな。だが治療して良くなる猫ばかりでは無いから…酷い場合には、そのまま…ということもあるがな」
「ふーん…動物のお医者さんっていないの?」
「猫に関しては、残念ながらいない。
 馬は騎士が、鶏や牛や豚は農家が、犬は猟師が面倒を見るが、猫にはそういう者がいないから」
「ああ、そっか…猫にはネズミを捕って『もらう』んだもんね」

つまり猫は皆のもので、誰のものでもない。
この世界では野生生物って事だ。
全然感覚が違う。
日本でこの扱いをしてると確実に大炎上&袋叩きだろうな…。

「出来ないことをしろってわけには、いかないもんな」
「そうだな、ネズミが減って、猫にネズミを捕る事を頼まなくても良くならねばな」

それでも元に戻った3匹の猫は街に連れて行く事にした。
きっと街の方が過ごしやすいんじゃないかと思ったからだ。
街の方がネズミに困ってそうだしな…。

「さて、先にお風呂入る?
 それともたまにはお茶飲んで落ち着いてからにしようか」
「そうだな、茶を飲む方にしよう」

簡易的な台所にはポットとカップと茶葉らしきものが置いてあった。
せっかくだから頂いて行こう。

「ここが無事に終わったら、あと2つだね」
「そうだな…長いようで、短かった」

俺とミシェルはここまであった事の話をしながら、のんびりとした時間を過ごした。

***

封印の儀式が終わって外に出て、次の祠に行くために馬車に乗る。
中には猫が3匹…かわいい。

「猫って癒されるよな…」
「結構お行儀よくしてるもんだな」

人に飼われた事が無いわりに、人懐っこいのは確かに不思議だ。
何故か3匹とも俺に集ってくるけど。

「なんで俺、猫に好かれてるんだろう」
「シゲの身体からにじみ出てる光の力に惹かれてるのかもしれないな」
「そういう事もあるかもなー」

トモアキは自分に猫が近寄って来ないのがちょっと不満らしい。
お互いペットを飼った事のない身だから、こういうのに憧れがあるのは分かる。

「んでさ、シゲ。
 20、21、22は封印の間、普通だったんだよな?」
「うん、まあ…19番目のやつは、一番心臓に悪かったけど」
「急にトラウマ刺激してくるの何なんだろうな」

今回の封印の間も、大きなベッドと風呂と簡易的な台所。
外周最初の部屋に似ている造りだ…

ん?

「20~24まで、もし普通だったとしたら、これって『おっぱいハプニング』…で表されてるやつなんじゃ」
「つまり、祠の罠の事じゃなくて封印の間の事…だとしたら、書いたのは…聖女か、一緒に封印の間に入った誰か…多分『勇者』か、どっちか、って事か」

つまりあの本の作者は、第三者じゃなくて思いっきり当事者の、あの二人の内どちらか。
トライデント家の人が書いたものじゃないって事だ。
その本がトライデント家にあった事の意味…

「だめだ、分からん」
「まあ、おいおいだな…一旦浄化の巡礼が終わってから、考えようぜ。
 いまのとこ知らなくても対処は出来てるからな」

でも、祠の罠は変化するけど、封印の間は変化しないとしたら…

最初の聖女は、俺と同じ境遇の人ってことに、ならないのかな。

「19番目の祠…か」

でも昔住んでた場所が反映される間、っていうだけかもしれないし…

「やっぱ分かんないな」

難しい事は後から考えよう。
次で23。
もうすぐでこの旅も終わりを迎える…。
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