174 / 203
恋人同士になる試練
次の祠へ
しおりを挟む
晩餐会の後、ミシェルの家にみんなで宿泊して、翌日。
「あのラノベ風神話以外にも、色々あったな」
「だな、お城に帰ったらお城の書庫も探さしてもらおうぜ」
さすがは貴族で旧家…そして多分狼王の末裔。
歴代当主様がマメな性格だったのか、大事なお仕事の一つなのかは分からないけど、めちゃくちゃ膨大な量の日記が残っていたのだ。
見つけてくれたのはクリスチーヌさん。
だけどあまりにすごい量だったので、みんなが必要そうな部分を抜き出すのを手伝ってくれて…
そうやって気が付いたら書庫で朝を迎えてしまって、今回の旅で初めて日程が一日遅れになってしまった。
「もう人の住む場所にある祠は全て浄化し終わっておりますから、それほど急がなくても宜しいかと」
ってクリスチーヌさんは言ってくれたけど、外周最初の祠がある北の街はどうしても気になる。
途中、上手い事まくれるように頑張らなきゃね。
朝の盛大なお見送りを受けつつ、俺は気持ちを新たにする。
あれ、そういえば北の街の祠と言えば…。
「北の街の祠で、リゲルさんやリュールミエール王子が出てきたんですよね?」
「ええ、そうです。
気がつけばあの祠の中で、闇に侵食されておりました…」
リゲルさんはちょっと申し訳なさそうな顔。
だけど、それで獣人さんがいる事も分かったし、獣人さんが闇の力に弱い事も分かったし…
この国の人が特別らしい事も分かってきた。
やっぱりあそこがゲート、なのかな。
確かゲートの話は最初のラッキースケベ「スカート破れてパンツが見える」から結構経ってからだったような…
っていうか、最初に降り立った場所が一体どこなのかって問題もあるよな。
「スカートを連想させる祠…か…」
ふと、クリスチーヌさんのスカートを見る。
形で言えば、鳥かごみたいな形だった18番目の祠…。
あっ、中が暗い…だとすれば、東の街から一つ進んだ8番目のは真っ暗な祠…
「1つ目の祠の扉がゲートだとすれば、どっちも間にある祠の数は一緒だよな」
「18番目だったらいいけど、8番目のだとすれば回り方も逆って事になるよな…」
「それ困るよな」
順序が逆、だったら、今度は北の街から反時計回りにやり直さないといけない。
「でも、実際外から内だったし、回り方も逆かも…」
「外から左回りと、外から右回り…とか、色々組み合わせて回ってたらいつの間にか寿命になってそうだな」
「うん…でも、それもありなのかもな。
する事無いし…ハンバーグ屋をやりつつぐるぐる回るの、良いかもしんない」
「居住性高めの馬車がいるな…」
「はい、もう頼んでございます」
「さすがクリスチーヌさん!」
馬車の中には俺とトモアキ、クリスチーヌさんとリゲルさん。
今のうちに終わってからの段取りを話した方が良いのか…
悩むところだな。
***
魔物の出現もなく、恐ろしく順調に旅が進んで、夕方。
「宿泊所にも人が戻ってくれば良いんだけどな…」
「その前に復旧作業でございますね」
「うん、まあ…確かに、これじゃあね」
無人宿泊所は惨憺たる有様で、大工を連れていけって言ったミシェルのお父さんに感謝しかない。
俺は一帯を浄化して、明日進む道も浄化して、一番大事な井戸の浄化にも励んだ。
地下に染み込んだ闇の力が少しでも払われるように、気合いを入れたつもりだ。
ただ土地が浄化されても、宿泊所が修繕されるわけじゃないからな…。
「野営スタイルで行くしか無いな」
「部屋もボロボロだしな」
「炊事場も崩壊しておりますし」
聖騎士団の面々は手馴れた様子でちゃっちゃと野営の準備を進めていく。
こういう事態でも動じないでいつも通りなのは流石だ。
焚火の向こうからミシェルが呼ぶ。
「シゲル!鍋の用意が出来たぞ」
「うん、分かった!今行く~」
今日は野菜と肉の煮込みだ。
調味料が少ないから、ワインと塩で味付けする。
「お肉ゴロゴロのスープはやっぱり野営じゃ難しいね」
「どうしても柔らかくならないからな」
時間をかけて煮込む事ができないので、小さく切って…あっ!
「お肉、もっと細かく切って、団子にしよう」
「ふむ?」
「それなら柔らかくてお肉ゴロゴロのスープが出来る…よーし、切るぞ!」
塊肉をミンチにするのは大変だけど、お湯が沸くまでに何とか頑張ろう。
「ごめん、ミシェルも手伝って!
あと手が空いてる人がいたら、お願い」
「分かりました!」
全員で肉を細かく切る。
こういうのも楽しくていいな…。
「あのラノベ風神話以外にも、色々あったな」
「だな、お城に帰ったらお城の書庫も探さしてもらおうぜ」
さすがは貴族で旧家…そして多分狼王の末裔。
歴代当主様がマメな性格だったのか、大事なお仕事の一つなのかは分からないけど、めちゃくちゃ膨大な量の日記が残っていたのだ。
見つけてくれたのはクリスチーヌさん。
だけどあまりにすごい量だったので、みんなが必要そうな部分を抜き出すのを手伝ってくれて…
そうやって気が付いたら書庫で朝を迎えてしまって、今回の旅で初めて日程が一日遅れになってしまった。
「もう人の住む場所にある祠は全て浄化し終わっておりますから、それほど急がなくても宜しいかと」
ってクリスチーヌさんは言ってくれたけど、外周最初の祠がある北の街はどうしても気になる。
途中、上手い事まくれるように頑張らなきゃね。
朝の盛大なお見送りを受けつつ、俺は気持ちを新たにする。
あれ、そういえば北の街の祠と言えば…。
「北の街の祠で、リゲルさんやリュールミエール王子が出てきたんですよね?」
「ええ、そうです。
気がつけばあの祠の中で、闇に侵食されておりました…」
リゲルさんはちょっと申し訳なさそうな顔。
だけど、それで獣人さんがいる事も分かったし、獣人さんが闇の力に弱い事も分かったし…
この国の人が特別らしい事も分かってきた。
やっぱりあそこがゲート、なのかな。
確かゲートの話は最初のラッキースケベ「スカート破れてパンツが見える」から結構経ってからだったような…
っていうか、最初に降り立った場所が一体どこなのかって問題もあるよな。
「スカートを連想させる祠…か…」
ふと、クリスチーヌさんのスカートを見る。
形で言えば、鳥かごみたいな形だった18番目の祠…。
あっ、中が暗い…だとすれば、東の街から一つ進んだ8番目のは真っ暗な祠…
「1つ目の祠の扉がゲートだとすれば、どっちも間にある祠の数は一緒だよな」
「18番目だったらいいけど、8番目のだとすれば回り方も逆って事になるよな…」
「それ困るよな」
順序が逆、だったら、今度は北の街から反時計回りにやり直さないといけない。
「でも、実際外から内だったし、回り方も逆かも…」
「外から左回りと、外から右回り…とか、色々組み合わせて回ってたらいつの間にか寿命になってそうだな」
「うん…でも、それもありなのかもな。
する事無いし…ハンバーグ屋をやりつつぐるぐる回るの、良いかもしんない」
「居住性高めの馬車がいるな…」
「はい、もう頼んでございます」
「さすがクリスチーヌさん!」
馬車の中には俺とトモアキ、クリスチーヌさんとリゲルさん。
今のうちに終わってからの段取りを話した方が良いのか…
悩むところだな。
***
魔物の出現もなく、恐ろしく順調に旅が進んで、夕方。
「宿泊所にも人が戻ってくれば良いんだけどな…」
「その前に復旧作業でございますね」
「うん、まあ…確かに、これじゃあね」
無人宿泊所は惨憺たる有様で、大工を連れていけって言ったミシェルのお父さんに感謝しかない。
俺は一帯を浄化して、明日進む道も浄化して、一番大事な井戸の浄化にも励んだ。
地下に染み込んだ闇の力が少しでも払われるように、気合いを入れたつもりだ。
ただ土地が浄化されても、宿泊所が修繕されるわけじゃないからな…。
「野営スタイルで行くしか無いな」
「部屋もボロボロだしな」
「炊事場も崩壊しておりますし」
聖騎士団の面々は手馴れた様子でちゃっちゃと野営の準備を進めていく。
こういう事態でも動じないでいつも通りなのは流石だ。
焚火の向こうからミシェルが呼ぶ。
「シゲル!鍋の用意が出来たぞ」
「うん、分かった!今行く~」
今日は野菜と肉の煮込みだ。
調味料が少ないから、ワインと塩で味付けする。
「お肉ゴロゴロのスープはやっぱり野営じゃ難しいね」
「どうしても柔らかくならないからな」
時間をかけて煮込む事ができないので、小さく切って…あっ!
「お肉、もっと細かく切って、団子にしよう」
「ふむ?」
「それなら柔らかくてお肉ゴロゴロのスープが出来る…よーし、切るぞ!」
塊肉をミンチにするのは大変だけど、お湯が沸くまでに何とか頑張ろう。
「ごめん、ミシェルも手伝って!
あと手が空いてる人がいたら、お願い」
「分かりました!」
全員で肉を細かく切る。
こういうのも楽しくていいな…。
0
お気に入りに追加
391
あなたにおすすめの小説
【完結】追放された嫌われ魔法使いは、拾った毛玉を盲愛する
飛鳥えん
BL
聖女のもたらす恵みの雨によって豊かな実りを約束されたパレステア。この国では獣人が奴隷として売り買いされている。
名前のない獣人の少年は貧相な体つきと汚い毛並みから「小汚い毛玉」と呼ばれて、売り物にならない代わりに奴隷小屋で商品の世話をさせられていた。淡々と生きる毛玉の前に、見たことないほど美しく、目を布で覆い隠した異様な風体の魔法使いが現れ「冬用の毛皮にする」と言って獣人たちを買おうとする。仲間の獣人を見逃す代わりに「ひざ掛け一枚分」として自分を買ってもらえるようお願いする少年を、魔法使いは沼地の森に連れ帰った。いつ毛皮を剥がされるかとビクビクしていると、魔法使いは彼を風呂に放り込み、鋏を手に取った……
事情があって人目を避けて暮らす、齢100歳以上の素直じゃない&家事が出来ない&独占欲が強い天然?魔法使い【受】と、純粋だけど本能的な執着心が強い獣人の少年(→青年)【攻】が、魔法使いの過去の因縁に巻き込まれていくお話です。
女性の登場人物が出てきます。
(完結済。感想いただけたらとても嬉しいです!)
ブクマや評価、誤字報告、大変ありがとうございます!
【R18】翡翠の鎖
環名
ファンタジー
ここは異階。六皇家の一角――翠一族、その本流であるウィリデコルヌ家のリーファは、【翠の疫病神】という異名を持つようになった。嫁した相手が不幸に見舞われ続け、ついには命を落としたからだ。だが、その葬儀の夜、喧嘩別れしたと思っていた翠一族当主・ヴェルドライトがリーファを迎えに来た。「貴女は【幸運の運び手】だよ」と言って――…。
※R18描写あり→*
義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。
アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。
捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!!
承諾してしまった真名に
「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。
ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?
望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。
ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。
転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを――
そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。
その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。
――そして、セイフィーラは見てしまった。
目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を――
※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。
※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)
イケメンスパダリ社長は僕の料理が気に入ったようです
波木真帆
BL
友達の彼女・七海ちゃんに忙しいお兄さんの家で家事代行のバイトを頼まれた僕・佐倉佳都。大学生。
豪華な高級タワマンで一人暮らしをしているお兄さんの直己さんのところにとりあえずお試しで食事を作りに行くと、ものすごく喜んでくれてそのままバイトに採用されたはいいけれど、朝早く起こしてほしいからと頼まれてなぜかお泊まりすることに。しかもベッドがひとつしかなくて……。
イケメンスパダリ社長に溺愛される甘々ハッピーエンド小説です。
短いですが、楽しんでもらえると嬉しいです♡
R18には※つけます。
【R18】両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が性魔法の自習をする話
みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。
「両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が初めてのエッチをする話」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/575414884/episode/3378453
の続きです。
ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで
私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。
彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。
それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。
そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。
公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。
そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。
「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」
こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。
彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。
同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。
【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜
葉月
BL
《あらすじ》
カトラレル家の長男であるレオナルドは双子の弟のミカエルがいる。天真爛漫な弟のミカエルはレオナルドとは真逆の性格だ。
カトラレル家は懇意にしているオリバー家のサイモンとミカエルが結婚する予定だったが、ミカエルが流行病で亡くなってしまい、親の言いつけによりレオナルドはミカエルの身代わりとして、サイモンに嫁ぐ。
愛している人を騙し続ける罪悪感と、弟への想いを抱き続ける主人公が幸せを掴み取る、オメガバースストーリー。
《番外編 無垢な身体が貴方色に染まるとき 〜運命の番は濃厚な愛と蜜で僕の身体を溺れさせる〜》
番になったレオとサイモン。
エマの里帰り出産に合わせて、他の使用人達全員にまとまった休暇を与えた。
数日、邸宅にはレオとサイモンとの2人っきり。
ずっとくっついていたい2人は……。
エチで甘々な数日間。
ー登場人物紹介ー
ーレオナルド・カトラレル(受け オメガ)18歳ー
長男で一卵性双生児の弟、ミカエルがいる。
カトラレル家の次期城主。
性格:内気で周りを気にしすぎるあまり、自分の気持ちを言えないないだが、頑張り屋で努力家。人の気持ちを考え行動できる。行動や言葉遣いは穏やか。ミカエルのことが好きだが、ミカエルがみんなに可愛がられていることが羨ましい。
外見:白肌に腰まである茶色の髪、エメラルドグリーンの瞳。中世的な外見に少し幼さを残しつつも。行為の時、幼さの中にも妖艶さがある。
体質:健康体
ーサイモン・オリバー(攻め アルファ)25歳ー
オリバー家の長男で次期城主。レオナルドとミカエルの7歳年上。
レオナルドとミカエルとサイモンの父親が仲がよく、レオナルドとミカエルが幼い頃からの付き合い。
性格:優しく穏やか。ほとんど怒らないが、怒ると怖い。好きな人には尽くし甘やかし甘える。時々不器用。
外見:黒髪に黒い瞳。健康的な肌に鍛えられた肉体。高身長。
乗馬、剣術が得意。貴族令嬢からの人気がすごい。
BL大賞参加作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる