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恋人同士になる試練

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晩餐会の後、ミシェルの家にみんなで宿泊して、翌日。

「あのラノベ風神話以外にも、色々あったな」
「だな、お城に帰ったらお城の書庫も探さしてもらおうぜ」

さすがは貴族で旧家…そして多分狼王の末裔。
歴代当主様がマメな性格だったのか、大事なお仕事の一つなのかは分からないけど、めちゃくちゃ膨大な量の日記が残っていたのだ。

見つけてくれたのはクリスチーヌさん。
だけどあまりにすごい量だったので、みんなが必要そうな部分を抜き出すのを手伝ってくれて…

そうやって気が付いたら書庫で朝を迎えてしまって、今回の旅で初めて日程が一日遅れになってしまった。

「もう人の住む場所にある祠は全て浄化し終わっておりますから、それほど急がなくても宜しいかと」

ってクリスチーヌさんは言ってくれたけど、外周最初の祠がある北の街はどうしても気になる。
途中、上手い事まくれるように頑張らなきゃね。

朝の盛大なお見送りを受けつつ、俺は気持ちを新たにする。

あれ、そういえば北の街の祠と言えば…。

「北の街の祠で、リゲルさんやリュールミエール王子が出てきたんですよね?」
「ええ、そうです。
 気がつけばあの祠の中で、闇に侵食されておりました…」

リゲルさんはちょっと申し訳なさそうな顔。
だけど、それで獣人さんがいる事も分かったし、獣人さんが闇の力に弱い事も分かったし…
この国の人が特別らしい事も分かってきた。

やっぱりあそこがゲート、なのかな。
確かゲートの話は最初のラッキースケベ「スカート破れてパンツが見える」から結構経ってからだったような…
っていうか、最初に降り立った場所が一体どこなのかって問題もあるよな。

「スカートを連想させる祠…か…」

ふと、クリスチーヌさんのスカートを見る。
形で言えば、鳥かごみたいな形だった18番目の祠…。
あっ、中が暗い…だとすれば、東の街から一つ進んだ8番目のは真っ暗な祠…

「1つ目の祠の扉がゲートだとすれば、どっちも間にある祠の数は一緒だよな」
「18番目だったらいいけど、8番目のだとすれば回り方も逆って事になるよな…」
「それ困るよな」

順序が逆、だったら、今度は北の街から反時計回りにやり直さないといけない。

「でも、実際外から内だったし、回り方も逆かも…」
「外から左回りと、外から右回り…とか、色々組み合わせて回ってたらいつの間にか寿命になってそうだな」
「うん…でも、それもありなのかもな。
 する事無いし…ハンバーグ屋をやりつつぐるぐる回るの、良いかもしんない」
「居住性高めの馬車がいるな…」
「はい、もう頼んでございます」
「さすがクリスチーヌさん!」

馬車の中には俺とトモアキ、クリスチーヌさんとリゲルさん。
今のうちに終わってからの段取りを話した方が良いのか…
悩むところだな。

***

魔物の出現もなく、恐ろしく順調に旅が進んで、夕方。

「宿泊所にも人が戻ってくれば良いんだけどな…」
「その前に復旧作業でございますね」
「うん、まあ…確かに、これじゃあね」

無人宿泊所は惨憺たる有様で、大工を連れていけって言ったミシェルのお父さんに感謝しかない。
俺は一帯を浄化して、明日進む道も浄化して、一番大事な井戸の浄化にも励んだ。
地下に染み込んだ闇の力が少しでも払われるように、気合いを入れたつもりだ。

ただ土地が浄化されても、宿泊所が修繕されるわけじゃないからな…。

「野営スタイルで行くしか無いな」
「部屋もボロボロだしな」
「炊事場も崩壊しておりますし」

聖騎士団の面々は手馴れた様子でちゃっちゃと野営の準備を進めていく。
こういう事態でも動じないでいつも通りなのは流石だ。
焚火の向こうからミシェルが呼ぶ。

「シゲル!鍋の用意が出来たぞ」
「うん、分かった!今行く~」

今日は野菜と肉の煮込みだ。
調味料が少ないから、ワインと塩で味付けする。

「お肉ゴロゴロのスープはやっぱり野営じゃ難しいね」
「どうしても柔らかくならないからな」

時間をかけて煮込む事ができないので、小さく切って…あっ!

「お肉、もっと細かく切って、団子にしよう」
「ふむ?」
「それなら柔らかくてお肉ゴロゴロのスープが出来る…よーし、切るぞ!」

塊肉をミンチにするのは大変だけど、お湯が沸くまでに何とか頑張ろう。

「ごめん、ミシェルも手伝って!
 あと手が空いてる人がいたら、お願い」
「分かりました!」

全員で肉を細かく切る。
こういうのも楽しくていいな…。
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