上 下
152 / 203
恋人同士になる試練

18番目の祠 4

しおりを挟む

封印の間からバニーガールの衣装を持ち出そうとしたミシェルが外に出る扉に拒まれてみたりしたけど、18番目も無事に終了だ。

「ああ、シゲルのうさぎさんが…」
「こっちの世界に無い素材だから仕方ないね」
「何、何の話?」
「うん、今日泊まるとこで言う」

今まで、封印の間で起きた事は全部トモアキに報告してある。
今回の浄化の巡礼はイレギュラーだろうから、こんな時もありましたって記録をちゃんと残しとかないと…と思って。

ちょっと恥ずかしいけど、トモアキも下世話な顔では聞かないから話せる。
言いたくないなら無理するなって、いつも言うし…
だから出来る限り話そうと思う。

「それでは今回も少しばかり移動致しまして、無人宿泊所へ参りましょうか」
「今回も近いんですね」
「そうですね、前にある場合と、後にある場合と御座いますが、大体そばに御座いますね」
「へえ、そうなんだ…ふうん」
「私は先に行っておりますので、ゆっくりお越しください」
「はい、ありがとうございます」

クリスチーヌさんは戦えるところを俺とトモアキに見せてから、単独で先に行くことも増えた。
俺の光が外まで漏れているから、それほど危険でも無いんだって…
ほんとかなぁ。

「無人宿泊所が祠の後にあるパターンって、祠の上が開いてる時だけだと思うから大丈夫じゃね」
「そうだっけ?」
「うん、多分そう…だから大丈夫だ、クリスチーヌさんは格好つけてしくじるタイプじゃないし」
「そっか、じゃあ安心だな」
「心配なら早く行くか?
 手伝いがあった方が早いだろうし…」
「うん、そうしよう。
 トモは誰かに馬借りて…俺、ミシェルに乗せてもらう」
「分かった」

というわけで、俺とミシェルとトモアキは早めに行って、クリスチーヌさんを手伝う事にした。

トモアキはマルコさんに馬を借り、マルコさんは馬車に乗って…。

「道中くすみがあったら、すぐ浄化するね!」
「ああ、頼むぞ!」

マルコさんが馬車に乗った後、行商の人に馬を預けてハイドさんも馬車に乗り込んだのは見なかった事にした。
さすがにこの短距離で何もないだろう…
うん。


***


結論から言うと、マルコさんとハイドさんはこの短距離で何かしたようだ。

「キス、だけです」
「嘘だなぁ」
「嘘だねぇ」
「…ちょっとさわりました」
「それも嘘だね?」

おセッセしたわけでは無いようだけど、そこそこのイチャイチャはあった模様。
馬車は匂いを取るべく窓を開けて放置。
西の街に着いたらクッションを買い直そう…。

「無人宿泊所じゃ、ちょっとセックス出来ないもんな…」
「防音死んでるからな、基本」

無人宿泊所は、ヒソヒソ話ならまだしも喘ぎ声は一発でバレる。
なぜって、多少扉の木が傷んでるからだ。
扉に隙間があるのがデフォルトなのだ。
他にも色々と壊れたりしてるし…修繕場所のリストをクリスチーヌさんが作っているのを見たけど、超長いもん。

「声を出さずにすれば良いのでは?」
「せ、セトさんっ!?」
「ハイドが考えなしにヤるから駄目なのよ」
「リラさんまで!!」

声を出さないようにセックスって、そんなの口をずっと何かで塞いでおかないと…

「あ」
「どうすれば分かった?ハイド」
「ずっとキスしたままセックスする」
「余計な知恵付けないでくれるかな!?」

マルコさんが叫んだけど、もう遅い。

「……みなぎってきた」
「何でだよ!!」
「キスしたままする、とても…よい」

そう言うと、マルコさんとハイドさんは疾風の如く消えた。

「ハイドさんの語彙…」
「ああ、いつもの事です」
「うん…まあ…分かるけど」

あんな渋みのある顔してるのに、ギャップに付いて行けないんだよな…
マルコさんはそういうとこが好きなのかな。
ちょっと可愛い気がするもん…ん?

「何、ミシェル」
「シゲル、したい」
「こっちも語彙無くしてる!?」
「やめろよトラさん、俺とシゲは今から今後についての大事なお話し合いすんだから」
「…………ぃゃっ」
「は?何だって?」
「ひどいやつだ!!」
「言い方がまるでクソガキだなオイ」

そうして久々にトモアキとミシェルが喧嘩したりして…

ちょっと、楽しかったりした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】追放された嫌われ魔法使いは、拾った毛玉を盲愛する

飛鳥えん
BL
聖女のもたらす恵みの雨によって豊かな実りを約束されたパレステア。この国では獣人が奴隷として売り買いされている。 名前のない獣人の少年は貧相な体つきと汚い毛並みから「小汚い毛玉」と呼ばれて、売り物にならない代わりに奴隷小屋で商品の世話をさせられていた。淡々と生きる毛玉の前に、見たことないほど美しく、目を布で覆い隠した異様な風体の魔法使いが現れ「冬用の毛皮にする」と言って獣人たちを買おうとする。仲間の獣人を見逃す代わりに「ひざ掛け一枚分」として自分を買ってもらえるようお願いする少年を、魔法使いは沼地の森に連れ帰った。いつ毛皮を剥がされるかとビクビクしていると、魔法使いは彼を風呂に放り込み、鋏を手に取った…… 事情があって人目を避けて暮らす、齢100歳以上の素直じゃない&家事が出来ない&独占欲が強い天然?魔法使い【受】と、純粋だけど本能的な執着心が強い獣人の少年(→青年)【攻】が、魔法使いの過去の因縁に巻き込まれていくお話です。 女性の登場人物が出てきます。 (完結済。感想いただけたらとても嬉しいです!)  ブクマや評価、誤字報告、大変ありがとうございます!

【R18】翡翠の鎖

環名
ファンタジー
ここは異階。六皇家の一角――翠一族、その本流であるウィリデコルヌ家のリーファは、【翠の疫病神】という異名を持つようになった。嫁した相手が不幸に見舞われ続け、ついには命を落としたからだ。だが、その葬儀の夜、喧嘩別れしたと思っていた翠一族当主・ヴェルドライトがリーファを迎えに来た。「貴女は【幸運の運び手】だよ」と言って――…。 ※R18描写あり→*

義兄に告白されて、承諾したらトロ甘な生活が待ってました。

アタナシア
恋愛
母の再婚をきっかけにできたイケメンで完璧な義兄、海斗。ひょんなことから、そんな海斗に告白をされる真名。 捨てられた子犬みたいな目で告白されたら断れないじゃん・・・!! 承諾してしまった真名に 「ーいいの・・・?ー ほんとに?ありがとう真名。大事にするね、ずっと・・・♡」熱い眼差を向けられて、そのままーーーー・・・♡。

ほらやっぱり、結局貴方は彼女を好きになるんでしょう?

望月 或
恋愛
ベラトリクス侯爵家のセイフィーラと、ライオロック王国の第一王子であるユークリットは婚約者同士だ。二人は周りが羨むほどの相思相愛な仲で、通っている学園で日々仲睦まじく過ごしていた。 ある日、セイフィーラは落馬をし、その衝撃で《前世》の記憶を取り戻す。ここはゲームの中の世界で、自分は“悪役令嬢”だということを。 転入生のヒロインにユークリットが一目惚れをしてしまい、セイフィーラは二人の仲に嫉妬してヒロインを虐め、最後は『婚約破棄』をされ修道院に送られる運命であることを―― そのことをユークリットに告げると、「絶対にその彼女に目移りなんてしない。俺がこの世で愛しているのは君だけなんだ」と真剣に言ってくれたのだが……。 その日の朝礼後、ゲームの展開通り、ヒロインのリルカが転入してくる。 ――そして、セイフィーラは見てしまった。 目を見開き、頬を紅潮させながらリルカを見つめているユークリットの顔を―― ※作者独自の世界設定です。ゆるめなので、突っ込みは心の中でお手柔らかに願います……。 ※たまに第三者視点が入ります。(タイトルに記載)

イケメンスパダリ社長は僕の料理が気に入ったようです

波木真帆
BL
友達の彼女・七海ちゃんに忙しいお兄さんの家で家事代行のバイトを頼まれた僕・佐倉佳都。大学生。 豪華な高級タワマンで一人暮らしをしているお兄さんの直己さんのところにとりあえずお試しで食事を作りに行くと、ものすごく喜んでくれてそのままバイトに採用されたはいいけれど、朝早く起こしてほしいからと頼まれてなぜかお泊まりすることに。しかもベッドがひとつしかなくて……。 イケメンスパダリ社長に溺愛される甘々ハッピーエンド小説です。 短いですが、楽しんでもらえると嬉しいです♡ R18には※つけます。

【R18】両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が性魔法の自習をする話

みやび
恋愛
タイトル通りのエロ小説です。 「両想いでいつもいちゃいちゃしてる幼馴染の勇者と魔王が初めてのエッチをする話」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/902071521/575414884/episode/3378453 の続きです。 ほかのエロ小説は「タイトル通りのエロ小説シリーズ」まで

私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。

木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるアルティリアは、婚約者からある日突然婚約破棄を告げられた。 彼はアルティリアが上から目線だと批判して、自らの妻として相応しくないと判断したのだ。 それに対して不満を述べたアルティリアだったが、婚約者の意思は固かった。こうして彼女は、理不尽に婚約を破棄されてしまったのである。 そのことに関して、アルティリアは実の父親から責められることになった。 公にはなっていないが、彼女は妾の子であり、家での扱いも悪かったのだ。 そのような環境で父親から責められたアルティリアの我慢は限界であった。伯爵家に必要ない。そう言われたアルティリアは父親に告げた。 「私は私で勝手に生きていきますから、どうぞご自由にお捨てになってください。私はそれで構いません」 こうしてアルティリアは、新たなる人生を送ることになった。 彼女は伯爵家のしがらみから解放されて、自由な人生を送ることになったのである。 同時に彼女を虐げていた者達は、その報いを受けることになった。彼らはアルティリアだけではなく様々な人から恨みを買っており、その立場というものは盤石なものではなかったのだ。

【完結】たとえ彼の身代わりだとしても貴方が僕を見てくれるのならば… 〜初恋のαは双子の弟の婚約者でした〜

葉月
BL
《あらすじ》  カトラレル家の長男であるレオナルドは双子の弟のミカエルがいる。天真爛漫な弟のミカエルはレオナルドとは真逆の性格だ。  カトラレル家は懇意にしているオリバー家のサイモンとミカエルが結婚する予定だったが、ミカエルが流行病で亡くなってしまい、親の言いつけによりレオナルドはミカエルの身代わりとして、サイモンに嫁ぐ。  愛している人を騙し続ける罪悪感と、弟への想いを抱き続ける主人公が幸せを掴み取る、オメガバースストーリー。 《番外編 無垢な身体が貴方色に染まるとき 〜運命の番は濃厚な愛と蜜で僕の身体を溺れさせる〜》 番になったレオとサイモン。 エマの里帰り出産に合わせて、他の使用人達全員にまとまった休暇を与えた。 数日、邸宅にはレオとサイモンとの2人っきり。 ずっとくっついていたい2人は……。 エチで甘々な数日間。 ー登場人物紹介ー ーレオナルド・カトラレル(受け オメガ)18歳ー  長男で一卵性双生児の弟、ミカエルがいる。  カトラレル家の次期城主。  性格:内気で周りを気にしすぎるあまり、自分の気持ちを言えないないだが、頑張り屋で努力家。人の気持ちを考え行動できる。行動や言葉遣いは穏やか。ミカエルのことが好きだが、ミカエルがみんなに可愛がられていることが羨ましい。  外見:白肌に腰まである茶色の髪、エメラルドグリーンの瞳。中世的な外見に少し幼さを残しつつも。行為の時、幼さの中にも妖艶さがある。  体質:健康体   ーサイモン・オリバー(攻め アルファ)25歳ー  オリバー家の長男で次期城主。レオナルドとミカエルの7歳年上。  レオナルドとミカエルとサイモンの父親が仲がよく、レオナルドとミカエルが幼い頃からの付き合い。  性格:優しく穏やか。ほとんど怒らないが、怒ると怖い。好きな人には尽くし甘やかし甘える。時々不器用。  外見:黒髪に黒い瞳。健康的な肌に鍛えられた肉体。高身長。  乗馬、剣術が得意。貴族令嬢からの人気がすごい。 BL大賞参加作品です。

処理中です...