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恋人同士になる試練
15番目の祠 4
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キスして、他愛のない会話をして、またキスして、くすぐりあって、キスして…。
つまりイチャイチャしている間にすっかり時は流れ、どうやらそろそろ夕方になるようだ。
「…そういえばお風呂、無かったね」
「そうだな…沢で水浴びをするくらいか」
「…洗浄棒も無かったしね」
「そろそろ無しで挑めという事かもしれんな」
「ええっ、駄目だよ、病気になるよ?」
「こんな事もあろうかと、ちゃんと下準備用の道具は一通り持ってきた」
「えっ、いつの間に揃えたの!?」
「それは…その、北の街で…」
「そんな早くから!?」
ミシェルが言うには、男同士のやり方を学びに行った先で道具についても教えてもらったついでに買ったのだそう。
「…その、黙っていたのだが、娼館に行って…あっ!でも、人形相手にだぞ!」
「つまり、人形を使って練習した、と?」
「…シゲル以外の者にそういう事をする気には、どうしてもなれなくて」
「つまり、実践経験は無い…と」
「…………うん」
「そっか、そりゃそうだよね…」
ミシェルは超誠実な男だ。
例え練習だ学びだという名目でも、そんな事が出来る人間じゃない。
分かってる。
分かってるんだけど、不安だ。
「…それって、ぬるま湯が要るでしょ」
「うん」
「トイレでしなきゃいけないやつじゃない?」
「…うん」
「…道具貸して、俺、してくるから」
「えっ、いや、私が…」
「いやいや、さすがにそれは…。
だって、腸を綺麗に、って事は、そういう事じゃんか?人に見せるもんじゃなくない?」
「でも、特別な間柄だし…」
なんてこった。
ミシェルの性癖が、より変態な方向へ舵を切ってる…!
「いい!いいから、とりあえずその道具持ってお湯持って沢行ってくるから、見ないで!?」
「でも」
「でもじゃない!!」
コレは早すぎる、いくら何でも。
そういうのは一人でトイレにも行けなくなった時に、相応の覚悟を決めてからしてもらう事でしょ!?
「いい、ミシェル。
そういうのは俺が寝たきりになってからにして」
「なぜ?」
「恥ずかしいから!!」
何考えてるの!?
無理ったら無理!!
***
…とかなんとか言い合いをしながらも一緒に沢の方へ行ってみると、少し川下のほうに湯気が出ている池が見えた。
まさかと思って近づいてみると、やっぱりそこは…
「露天風呂だ!」
「露天風呂?」
「うん、屋根の無いお風呂…みたいなことかな」
そういえば、こっちに来る直前にも入ってたな…懐かしい。
ただあの時は宿の風呂だったけど、こっちは完全に秘湯。
テレビでしか見た事ないやつ…
すごい!!
「入ろう、ミシェル!」
「あ、ああ…その、シゲルは、外で裸になるのは、良いのか?」
「えっ…だって、お風呂だし」
「それは分かっている、だが…裸で」
「俺が元いた国には、大きなお風呂に知らない人とでも一緒に入る施設もあるんだ。
みんな裸で、湯舟にタオル漬けちゃ駄目っていうルールもあってね」
「…それで、マキタ様と一緒に風呂へ?」
「うん」
銭湯や温泉の大浴場は、見知らぬ他人と一緒に風呂へ入るのは普通だった。
俺はミシェルに日本の文化を説明しながら服を脱ぐ。
「昔々はね、家にお風呂無いのが普通で、みんな銭湯っていう大きなお風呂へ行ってたんだよ」
「なるほど…変わった文化だな」
大きな岩の上に畳んだ服を置いて、手でお湯を掬って掛湯して、いざ入浴!
「…はー、きもちい~…湯加減最高!」
「私も入って良いか?」
「もちろん!早く入って来なよ」
俺の誘いに、ミシェルも服を脱いでから見様見真似で掛湯してから入る。
お湯がざあ…っと溢れて流れる量で、ミシェルの身体の大きさが分かる。
「やっぱりミシェルは大きいなぁ」
「えっ」
「背も高いし、筋肉もしっかりついてるし…俺の2倍くらいありそう」
「あ、ああ…体の事か、はは」
「家族もみんな背が高いの?」
「そうだな、兄2人も姉も、背が高いぞ」
「やっぱそういう家系なんだな」
いいなあ、羨ましい。
俺んとこは母さんも小さいし、親父は…
ん?
「家系…か…。
貴族って、こっちの世界でも血筋とか気にする?」
「まあそうだな、一般よりは多少…だが、私は別に子どもを作る必要も無いし」
「え、あ、ううん、そっか…うん」
貴族は血筋を気にしなきゃいけない家系…
うーん、何か…
気になる。
つまりイチャイチャしている間にすっかり時は流れ、どうやらそろそろ夕方になるようだ。
「…そういえばお風呂、無かったね」
「そうだな…沢で水浴びをするくらいか」
「…洗浄棒も無かったしね」
「そろそろ無しで挑めという事かもしれんな」
「ええっ、駄目だよ、病気になるよ?」
「こんな事もあろうかと、ちゃんと下準備用の道具は一通り持ってきた」
「えっ、いつの間に揃えたの!?」
「それは…その、北の街で…」
「そんな早くから!?」
ミシェルが言うには、男同士のやり方を学びに行った先で道具についても教えてもらったついでに買ったのだそう。
「…その、黙っていたのだが、娼館に行って…あっ!でも、人形相手にだぞ!」
「つまり、人形を使って練習した、と?」
「…シゲル以外の者にそういう事をする気には、どうしてもなれなくて」
「つまり、実践経験は無い…と」
「…………うん」
「そっか、そりゃそうだよね…」
ミシェルは超誠実な男だ。
例え練習だ学びだという名目でも、そんな事が出来る人間じゃない。
分かってる。
分かってるんだけど、不安だ。
「…それって、ぬるま湯が要るでしょ」
「うん」
「トイレでしなきゃいけないやつじゃない?」
「…うん」
「…道具貸して、俺、してくるから」
「えっ、いや、私が…」
「いやいや、さすがにそれは…。
だって、腸を綺麗に、って事は、そういう事じゃんか?人に見せるもんじゃなくない?」
「でも、特別な間柄だし…」
なんてこった。
ミシェルの性癖が、より変態な方向へ舵を切ってる…!
「いい!いいから、とりあえずその道具持ってお湯持って沢行ってくるから、見ないで!?」
「でも」
「でもじゃない!!」
コレは早すぎる、いくら何でも。
そういうのは一人でトイレにも行けなくなった時に、相応の覚悟を決めてからしてもらう事でしょ!?
「いい、ミシェル。
そういうのは俺が寝たきりになってからにして」
「なぜ?」
「恥ずかしいから!!」
何考えてるの!?
無理ったら無理!!
***
…とかなんとか言い合いをしながらも一緒に沢の方へ行ってみると、少し川下のほうに湯気が出ている池が見えた。
まさかと思って近づいてみると、やっぱりそこは…
「露天風呂だ!」
「露天風呂?」
「うん、屋根の無いお風呂…みたいなことかな」
そういえば、こっちに来る直前にも入ってたな…懐かしい。
ただあの時は宿の風呂だったけど、こっちは完全に秘湯。
テレビでしか見た事ないやつ…
すごい!!
「入ろう、ミシェル!」
「あ、ああ…その、シゲルは、外で裸になるのは、良いのか?」
「えっ…だって、お風呂だし」
「それは分かっている、だが…裸で」
「俺が元いた国には、大きなお風呂に知らない人とでも一緒に入る施設もあるんだ。
みんな裸で、湯舟にタオル漬けちゃ駄目っていうルールもあってね」
「…それで、マキタ様と一緒に風呂へ?」
「うん」
銭湯や温泉の大浴場は、見知らぬ他人と一緒に風呂へ入るのは普通だった。
俺はミシェルに日本の文化を説明しながら服を脱ぐ。
「昔々はね、家にお風呂無いのが普通で、みんな銭湯っていう大きなお風呂へ行ってたんだよ」
「なるほど…変わった文化だな」
大きな岩の上に畳んだ服を置いて、手でお湯を掬って掛湯して、いざ入浴!
「…はー、きもちい~…湯加減最高!」
「私も入って良いか?」
「もちろん!早く入って来なよ」
俺の誘いに、ミシェルも服を脱いでから見様見真似で掛湯してから入る。
お湯がざあ…っと溢れて流れる量で、ミシェルの身体の大きさが分かる。
「やっぱりミシェルは大きいなぁ」
「えっ」
「背も高いし、筋肉もしっかりついてるし…俺の2倍くらいありそう」
「あ、ああ…体の事か、はは」
「家族もみんな背が高いの?」
「そうだな、兄2人も姉も、背が高いぞ」
「やっぱそういう家系なんだな」
いいなあ、羨ましい。
俺んとこは母さんも小さいし、親父は…
ん?
「家系…か…。
貴族って、こっちの世界でも血筋とか気にする?」
「まあそうだな、一般よりは多少…だが、私は別に子どもを作る必要も無いし」
「え、あ、ううん、そっか…うん」
貴族は血筋を気にしなきゃいけない家系…
うーん、何か…
気になる。
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