別にこいつとは付き合ってませんけど？

恋人同士になる試練

東の祠 １

もう何も知らんもんね！

というわけで、王様や王妃様、それから勝手に付いてきた人たちを王都からの使者さんに丸投げして俺たちは東の祠へ出発した。

一応、獣人さんのいる場所をこれでもかと浄化してきたし、食べる物も水もたっぷり浄化してきたし、闇の力をちょっとでも吸うと魔物化するかもしれない、という話も使者さん達にしておいたから大丈夫だと思う…

「俺、ちょっと図太くなったかも」
「図太いって何が？」
「人に任せるの、平気になってきた」
「それは何よりだな」

俺が出来る事は限られてる。
光の力は万能じゃない。
そんな事分かってたはずなのに、それ以外の事を他の人にしてもらうのがどうしても申し訳なくて…

でもそれは、出来る人に囲まれてる今、必要な事じゃなかった。

「俺がするより頼んだ方が確実だしね」
「シゲが消耗すると俺らも困るしな」

ここの祠の攻略が終わって次の祠へ行く準備はクリスチーヌさんがしてくれる。
治癒はマルコさんが…

そう！
マルコさんが、本調子じゃないけどって付いて来てくれる事になったんだ。
祠には入れないんだけど、これでハイドさんも安心して一緒に来られるよね。
ただ今回は街の病院でお休み中だけど。

「マルコさんの分は俺が頑張る！」
「その前に誰も怪我をしないようにしないとな」
「うむ、細心の注意を払って行こう」

安全第一！
時間がかかってもそれが一番だ。
引き締めて行こー！

＊＊＊

東の祠は北の祠と同じく、長くくねった通路を進んで行くスタイルだった。

「前回は先に浄化しながら進んだんだっけ」
「ええ、確かそうですね」
「じゃあリラさん、俺が浄化したらした分を進んで貰えますか」
「分かりました」

いつも通り先頭はリラさん。
次にハイドさんとセレスさん。
その後ろに俺とセトさんとトモアキ、一番後ろをミシェルが行く。

俺はいつも通り浄化多めの光を行き止まりまで放つ。

「………せいっ！」

いつもだったら一番後ろをマルコさんが歩いてくれるんだけど、今日はいないからミシェルの役目だ。

「…しんがりは大事だからな」
「ああ」

ミシェルは相当な不満顔。

「怒るなってトラさん」
「怒ってはいない」
「じゃあ拗ねてんだ」
「拗ねてない」

でも仕方ないじゃん…浄化してたって罠があるかもしれないしさ。
超渋々のミシェルを宥めるトモアキ…
何だか珍しい光景だな。

「じゃあリラさん、お願いします」
「はい、シゲル様。
　皆！慎重に前に進もう」

東の祠攻略、開始だ！