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恋人同士になる試練
外周の祠、第一 2
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こまめに浄化しながら、慎重に通路を進む。
「積極的に光の力を使う作戦、当たってるな」
「ふふ…攻めの姿勢ってやつよ」
俺とトモアキは列の中心あたりで、皆に守られながら普段の速度で歩いている。
途中魔物も出て来たりしたけど、リラさん含む聖騎士団の皆さんがバッサバッサとなぎ倒す。
それをまた俺が浄化して、どんどん闇の力を減らしていく…。
「順調に進めているな」
「ええ、シゲル様がこまめに闇を払ってくださるので、体の調子も良いですし」
ところが…。
「総員止まれ!」
「どうしたリラ」
「団長、あれを」
「…!」
通路が狭まったところに、デカイ熊の魔物が堂々と居座っている。
というか、詰まっている…。
「…元に戻しても、絶対襲ってくるじゃん」
「襲ってくるだろうなあ」
「あれがもしかして罠…?」
「罠にしては雑じゃないか…?」
「罠に捕まってああなっているのでは?」
「ふむ、一理ある」
そもそもあいつ、どっから入ってきたんだろう。
「あの状態で倒すか、それとも元に戻してから駆除するか…」
「…やっぱそうなりますよね」
「可哀想だけど、やるしかないよな」
あそこに罠があった場合、そのまま倒すとなると罠にも同時に対応しなければならない。
浄化して元に戻せば、熊は動けるようになってこっちへ来るかあっちへ行くか…
ともかく、罠から引き離すことは出来るだろう。
「ってことは、浄化か…」
「…シゲル、いけるか?」
「うん…やるよ」
騎士団の皆が俺の前に出る。
光を邪魔しないように通路の両側に控えて、いつでも飛び出せる体制を整える。
「…シゲル様、お願い致します」
「分かりました、それでは…」
俺は熊に心の中で謝りながら、闇を払うべく光を体の中に圧縮していく…………!
「ごめんよ……熊さん」
意識的暴走、の五歩手前。
倒れない程度に、一気に力を放出する…!
「戻れぇえ!!!」
ぐぉおおああ!!
光は前方に真っ直ぐ突進し魔物熊に直撃、熊は咆哮を上げ、くすんだ靄を勢いよく噴出!
おぉぉおん……おんっ………ぐぉ…………
次第に縮んでいく熊。
ギラギラと光る目も、少しずつ穏やかになり…
「ぐるる?」
元の熊に、戻った。
「ふがっ」
……そして、祠の奥の方へと駆けていった。
「……行っちゃった」
「このまま進むとどっかでまた会いそうだけどな」
「それな」
何はともあれ、問題は一旦回避されたようだ。
熊のつっかえてた所に罠がないかをリラさんが調べ、ハイドさんが試しに通過してみて特に何も起きないことを確認。
「では、前方に気をつけながら進もう」
熊が出たからには他にも大型動物の魔物がいる可能性がある。慎重に進もう。
***
途中、イノシシの魔物が出たり鹿の魔物が出たりしたけど最後まで熊は出ず。
いよいよあの熊がどこへ行ったか分からないまま通路を進み…俺たちは終点らしき場所に着いた。
そこはまあまあの広さの部屋になっており、かなりの量の闇の気配が漂っていた。
「何だ、ここは…?」
「…とりあえず浄化してみよう」
俺が割と気合いを入れて光を撒くと、広間の奥にその光の当たり具合が少し他と違う部分があった。
「…もしかして、これ…罠?」
「調べてみましょう、皆、離れて」
と、リラさんがその境目をチェックしようと、その当たり具合が違った所にそっと触れて…
「っ!この壁、何か変です…!」
「やはり罠か!?」
「いえ、そうではなく…見ててください」
リラさんがカンテラを持ち直し、カンテラを持っていない方の手でそこの壁を押すと…
手が、ズブズブと吸い込まれていく!?
「なんだこりゃ!」
「どうなってるんだ!?」
皆が壁の前に集まり、興味津々で壁をつつく。
指や腕がそこを突き抜け、引き抜けばまた戻る。
「…どこかと、繋がってる?」
「…まさか、この先が封印の間…?」
「いや、でも…じゃああの扉は?」
「えっ?」
その壁とは逆の壁、マルコさんが指差す方向には…
いつの間にか重厚な、観音開きの扉があった。
「積極的に光の力を使う作戦、当たってるな」
「ふふ…攻めの姿勢ってやつよ」
俺とトモアキは列の中心あたりで、皆に守られながら普段の速度で歩いている。
途中魔物も出て来たりしたけど、リラさん含む聖騎士団の皆さんがバッサバッサとなぎ倒す。
それをまた俺が浄化して、どんどん闇の力を減らしていく…。
「順調に進めているな」
「ええ、シゲル様がこまめに闇を払ってくださるので、体の調子も良いですし」
ところが…。
「総員止まれ!」
「どうしたリラ」
「団長、あれを」
「…!」
通路が狭まったところに、デカイ熊の魔物が堂々と居座っている。
というか、詰まっている…。
「…元に戻しても、絶対襲ってくるじゃん」
「襲ってくるだろうなあ」
「あれがもしかして罠…?」
「罠にしては雑じゃないか…?」
「罠に捕まってああなっているのでは?」
「ふむ、一理ある」
そもそもあいつ、どっから入ってきたんだろう。
「あの状態で倒すか、それとも元に戻してから駆除するか…」
「…やっぱそうなりますよね」
「可哀想だけど、やるしかないよな」
あそこに罠があった場合、そのまま倒すとなると罠にも同時に対応しなければならない。
浄化して元に戻せば、熊は動けるようになってこっちへ来るかあっちへ行くか…
ともかく、罠から引き離すことは出来るだろう。
「ってことは、浄化か…」
「…シゲル、いけるか?」
「うん…やるよ」
騎士団の皆が俺の前に出る。
光を邪魔しないように通路の両側に控えて、いつでも飛び出せる体制を整える。
「…シゲル様、お願い致します」
「分かりました、それでは…」
俺は熊に心の中で謝りながら、闇を払うべく光を体の中に圧縮していく…………!
「ごめんよ……熊さん」
意識的暴走、の五歩手前。
倒れない程度に、一気に力を放出する…!
「戻れぇえ!!!」
ぐぉおおああ!!
光は前方に真っ直ぐ突進し魔物熊に直撃、熊は咆哮を上げ、くすんだ靄を勢いよく噴出!
おぉぉおん……おんっ………ぐぉ…………
次第に縮んでいく熊。
ギラギラと光る目も、少しずつ穏やかになり…
「ぐるる?」
元の熊に、戻った。
「ふがっ」
……そして、祠の奥の方へと駆けていった。
「……行っちゃった」
「このまま進むとどっかでまた会いそうだけどな」
「それな」
何はともあれ、問題は一旦回避されたようだ。
熊のつっかえてた所に罠がないかをリラさんが調べ、ハイドさんが試しに通過してみて特に何も起きないことを確認。
「では、前方に気をつけながら進もう」
熊が出たからには他にも大型動物の魔物がいる可能性がある。慎重に進もう。
***
途中、イノシシの魔物が出たり鹿の魔物が出たりしたけど最後まで熊は出ず。
いよいよあの熊がどこへ行ったか分からないまま通路を進み…俺たちは終点らしき場所に着いた。
そこはまあまあの広さの部屋になっており、かなりの量の闇の気配が漂っていた。
「何だ、ここは…?」
「…とりあえず浄化してみよう」
俺が割と気合いを入れて光を撒くと、広間の奥にその光の当たり具合が少し他と違う部分があった。
「…もしかして、これ…罠?」
「調べてみましょう、皆、離れて」
と、リラさんがその境目をチェックしようと、その当たり具合が違った所にそっと触れて…
「っ!この壁、何か変です…!」
「やはり罠か!?」
「いえ、そうではなく…見ててください」
リラさんがカンテラを持ち直し、カンテラを持っていない方の手でそこの壁を押すと…
手が、ズブズブと吸い込まれていく!?
「なんだこりゃ!」
「どうなってるんだ!?」
皆が壁の前に集まり、興味津々で壁をつつく。
指や腕がそこを突き抜け、引き抜けばまた戻る。
「…どこかと、繋がってる?」
「…まさか、この先が封印の間…?」
「いや、でも…じゃああの扉は?」
「えっ?」
その壁とは逆の壁、マルコさんが指差す方向には…
いつの間にか重厚な、観音開きの扉があった。
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