72 / 203
聖人様になる旅路
謝罪からの出発式
しおりを挟む
目を覚ますと、そこはお宿のベッドだった。
ふと隣に目をやると、心配そうな顔のミシェルとトモアキがいた。
「…シゲル、すまなかった」
「シゲ、ほんとごめん…」
「妙な意地の張り合いをするの、良くないと思う」
「はい…」
俺の暴走を招いた二人が仲良く頭を下げたので、俺は仕方なく許すことにした。
ってか許すしかなくない?
だってもう半分土下座みたいだもん。
「今後は二人とも気を付けてね」
「「はい…」」
これを期に、二人がもう少し仲良くなってくれたらそれでいい。
多分他の人たちにも散々怒られただろうし、俺もトモアキが飲んでるの知ってて放置してたし…
お互い様ってことで。
「いま何時くらい?」
「もうすぐ明け方」
「2人とも、ちょっとでも寝た方が良くない?」
「うん…ねる」「私もねる…」
そういって2人は仲良く部屋を出て行き…
朝飯の時間になっても起きて来なかった。
***
とまあ多少のトラブルはあったものの、ここでも簡単な出発式をした。
王都を出た時と同じ様に王子様のスピーチがあって、俺たちも一言言ったりした。
光は昨日の晩にしっかり撒いた(暴走した)ので、式では簡略化した。
俺がちょっとばかし立て替えてたお金も戻ってきたし追加の資金も貰ったので、外周ではちょっとだけ自分へのご褒美も買おうかなと思っている。
「じゃあみんな、行ってきます」
「聖人様、頑張れー!」
「聖騎士団もがんばれー!」
「皆様ご武運をー!」
「またきてねぇー!!」
俺は馬車の中から集まった人たちに手を振り、
集まった人たちは俺たちに手を振ってくれた。
するとなんだかすごく力が湧いてきて、調子に乗った俺は投げキッスしながら光を振りまいてみた。
「きゃぁー!きらきらだぁ!」
「元気になるのう!」
村の人たちには好評だったけど、ふと冷静になったらめちゃ恥ずかしかったので今後はやめようと思う。
馬も調子よくパカパカ走る。
ここから北へ9日間、外周北の街までの旅だ。
俺たちはみんなに見送られながら、来た時と別のゲートから出発した。
クリスチーヌさんによると、道中には旅人が雨露をしのぐための無人宿泊所がポツポツとあるだけで、行商の人と出会えなければ物を買うことも出来ないんだって。
「こんな時期でなければ、大体は行商人がいるのですが…今はすべて停止しています」
「つまり何も買えないって事ですね」
だから馬車にしこたま食料を積んであるのか…
すごい量だもんでびっくりしたよ。
結構広い車内なのに俺ともう一人くらいしか乗れないもんで、押し出されたトモアキは馬移動だ。
「午前中は私が、午後の最初はセト殿が、最後はマキタ様がお乗りになる予定です。
食料が減りましたら、またマキタ様とカラタニ様と私で乗って行くことになるかと」
「じゃあ明日からはまた3人で?」
「はい」
じゃあ、クリスチーヌさんと2人だけで馬車に乗るのは今だけ…。
よし、ここはひとつ情報収集といくか。
ふと隣に目をやると、心配そうな顔のミシェルとトモアキがいた。
「…シゲル、すまなかった」
「シゲ、ほんとごめん…」
「妙な意地の張り合いをするの、良くないと思う」
「はい…」
俺の暴走を招いた二人が仲良く頭を下げたので、俺は仕方なく許すことにした。
ってか許すしかなくない?
だってもう半分土下座みたいだもん。
「今後は二人とも気を付けてね」
「「はい…」」
これを期に、二人がもう少し仲良くなってくれたらそれでいい。
多分他の人たちにも散々怒られただろうし、俺もトモアキが飲んでるの知ってて放置してたし…
お互い様ってことで。
「いま何時くらい?」
「もうすぐ明け方」
「2人とも、ちょっとでも寝た方が良くない?」
「うん…ねる」「私もねる…」
そういって2人は仲良く部屋を出て行き…
朝飯の時間になっても起きて来なかった。
***
とまあ多少のトラブルはあったものの、ここでも簡単な出発式をした。
王都を出た時と同じ様に王子様のスピーチがあって、俺たちも一言言ったりした。
光は昨日の晩にしっかり撒いた(暴走した)ので、式では簡略化した。
俺がちょっとばかし立て替えてたお金も戻ってきたし追加の資金も貰ったので、外周ではちょっとだけ自分へのご褒美も買おうかなと思っている。
「じゃあみんな、行ってきます」
「聖人様、頑張れー!」
「聖騎士団もがんばれー!」
「皆様ご武運をー!」
「またきてねぇー!!」
俺は馬車の中から集まった人たちに手を振り、
集まった人たちは俺たちに手を振ってくれた。
するとなんだかすごく力が湧いてきて、調子に乗った俺は投げキッスしながら光を振りまいてみた。
「きゃぁー!きらきらだぁ!」
「元気になるのう!」
村の人たちには好評だったけど、ふと冷静になったらめちゃ恥ずかしかったので今後はやめようと思う。
馬も調子よくパカパカ走る。
ここから北へ9日間、外周北の街までの旅だ。
俺たちはみんなに見送られながら、来た時と別のゲートから出発した。
クリスチーヌさんによると、道中には旅人が雨露をしのぐための無人宿泊所がポツポツとあるだけで、行商の人と出会えなければ物を買うことも出来ないんだって。
「こんな時期でなければ、大体は行商人がいるのですが…今はすべて停止しています」
「つまり何も買えないって事ですね」
だから馬車にしこたま食料を積んであるのか…
すごい量だもんでびっくりしたよ。
結構広い車内なのに俺ともう一人くらいしか乗れないもんで、押し出されたトモアキは馬移動だ。
「午前中は私が、午後の最初はセト殿が、最後はマキタ様がお乗りになる予定です。
食料が減りましたら、またマキタ様とカラタニ様と私で乗って行くことになるかと」
「じゃあ明日からはまた3人で?」
「はい」
じゃあ、クリスチーヌさんと2人だけで馬車に乗るのは今だけ…。
よし、ここはひとつ情報収集といくか。
0
お気に入りに追加
391
あなたにおすすめの小説
元会計には首輪がついている
笹坂寧
BL
【帝華学園】の生徒会会計を務め、無事卒業した俺。
こんな恐ろしい学園とっとと離れてやる、とばかりに一般入試を受けて遠く遠くの公立高校に入学し、無事、魔の学園から逃げ果すことが出来た。
卒業式から入学式前日まで、誘拐やらなんやらされて無理くり連れ戻されでもしないか戦々恐々としながら前後左右全ての気配を探って生き抜いた毎日が今では懐かしい。
俺は無事高校に入学を果たし、無事毎日登学して講義を受け、無事部活に入って友人を作り、無事彼女まで手に入れることが出来たのだ。
なのに。
「逃げられると思ったか?颯夏」
「ーーな、んで」
目の前に立つ恐ろしい男を前にして、こうも身体が動かないなんて。
断罪フラグを回避したらヒロインの攻略対象者である自分の兄に監禁されました。
慎
BL
あるきっかけで前世の記憶を思い出し、ここが『王宮ラビンス ~冷酷王の熱い眼差しに晒されて』という乙女ゲームの中だと気付く。そのうえ自分がまさかのゲームの中の悪役で、しかも悪役は悪役でもゲームの序盤で死亡予定の超脇役。近いうちに腹違いの兄王に処刑されるという断罪フラグを回避するため兄王の目に入らないよう接触を避け、目立たないようにしてきたのに、断罪フラグを回避できたと思ったら兄王にまさかの監禁されました。
『オーディ… こうして兄を翻弄させるとは、一体どこでそんな技を覚えてきた?』
「ま、待って!待ってください兄上…ッ この鎖は何ですか!?」
ジャラリと音が鳴る足元。どうしてですかね… なんで起きたら足首に鎖が繋いでるんでしょうかッ!?
『ああ、よく似合ってる… 愛しいオーディ…。もう二度と離さない』
すみません。もの凄く別の意味で身の危険を感じるんですが!蕩けるような熱を持った眼差しを向けてくる兄上。…ちょっと待ってください!今の僕、7歳!あなた10歳以上も離れてる兄ですよね…ッ!?しかも同性ですよね!?ショタ?ショタなんですかこの国の王様は!?僕の兄上は!??そもそも、あなたのお相手のヒロインは違うでしょう!?Σちょ、どこ触ってるんですか!?
ゲームの展開と誤差が出始め、やがて国に犯罪の合法化の案を検討し始めた兄王に…。さらにはゲームの裏設定!?なんですか、それ!?国の未来と自分の身の貞操を守るために隙を見て逃げ出した――。
実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…
彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜??
ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。
みんなから嫌われるはずの悪役。
そ・れ・な・の・に…
どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?!
もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣)
そんなオレの物語が今始まる___。
ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️
第10回BL小説大賞に参加中!
よろしくお願いします🙇♀️
悪役令息に憑依したけど、別に処刑されても構いません
ちあ
BL
元受験生の俺は、「愛と光の魔法」というBLゲームの悪役令息シアン・シュドレーに憑依(?)してしまう。彼は、主人公殺人未遂で処刑される運命。
俺はそんな運命に立ち向かうでもなく、なるようになる精神で死を待つことを決める。
舞台は、魔法学園。
悪役としての務めを放棄し静かに余生を過ごしたい俺だが、謎の隣国の特待生イブリン・ヴァレントに気に入られる。
なんだかんだでゲームのシナリオに巻き込まれる俺は何度もイブリンに救われ…?
※旧タイトル『愛と死ね』
悪役令息の従者に転職しました
*
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。
依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました!
スパダリ(本人の希望)な従者と、ちっちゃくて可愛い悪役令息の、溺愛無双なお話です。
ハードな境遇も利用して元気にほのぼのコメディです! たぶん!(笑)
助けてくれたあなたは僕を嫌っている
ユキノカオリ
BL
藤乃侑はある日突然異世界に飛ばされた。
周りは聞いたこともない言語で喋る人たち。
何もわからず途方に暮れていた時、手を差し伸べてくれた人。
けどその人は侑を嫌っているそうで。。。。。
主人公可哀想に書きます。
モブレは絶対にしません。
えっちは少なめで、イチャイチャ多めです。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
悪役令嬢の兄です、ヒロインはそちらです!こっちに来ないで下さい
たなぱ
BL
生前、社畜だったおれの部屋に入り浸り、男のおれに乙女ゲームの素晴らしさを延々と語り、仮眠をしたいおれに見せ続けてきた妹がいた
人間、毎日毎日見せられたら嫌でも内容もキャラクターも覚えるんだよ
そう、例えば…今、おれの目の前にいる赤い髪の美少女…この子がこのゲームの悪役令嬢となる存在…その幼少期の姿だ
そしておれは…文字としてチラッと出た悪役令嬢の行いの果に一家諸共断罪された兄
ナレーションに
『悪役令嬢の兄もまた死に絶えました』
その一言で説明を片付けられ、それしか登場しない存在…そんな悪役令嬢の兄に転生してしまったのだ
社畜に優しくない転生先でおれはどう生きていくのだろう
腹黒?攻略対象×悪役令嬢の兄
暫くはほのぼのします
最終的には固定カプになります
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる