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聖人様になる旅路
再会!
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村に着いて2日目。
朝飯の時間になっても、他のみんなはまだ宿に来ていなかった。
「…先に祠、行こうか」
「そうだな、行こう」
スケジュールを遅らせるわけにはいかない。
俺とミシェルは連れ立って森へ向かった。
「やっぱ何かあったのかな…」
「いや、そもそも前の前の村からここまで4日程かかるからな。それに一旦戻るのにも1日は必要だ。
想定内、むしろ遅いのが普通だ」
「あー、そっか!そうだよね…うん」
不安な気持ちを無理矢理納めて、ミシェルと歩く。
「シゲル、入口はどこだ?」
「うん、神様知識では多分あの岩のとこ…
あれ?何だろ、馬がいる…あっ!!」
「あっ…」
俺はミシェルと顔を見合わせる。
トモアキたちだ!!
俺は思いっきり手を振った。
そうしたらみんなも俺たちに気付いてくれた。
「おー、来た来た」
「待ってましたよシゲル様!」
「トモ!みんな!!」
なんと祠に続く道の入口で、みんなが俺たちを待っていた。
***
「馬車、駄目だったんですか…」
「ですので、王宮へ調達を頼みました。
給金や物資とともに最初の村に届けてくれるそうです。
壊れた方も追々直して村の方で使うとの事で、そのまま寄付してきました」
「そうなんですね」
マルコさんによると、馬車を直すのに必要な部品が村に無かったんだそうだ。
「車輪の付け替えまでは良かったんですが、車体下のバネが引きちぎれてましてね…」
「車体のバネ…?」
すると、マルコさんの後ろからトモアキが出てきて言った。
「サスペンションが効かねえんだってさ」
「なるほど、それでバネ…」
「俺もちょっとガタガタするくらいって思ったんだけど、予想以上で…無理だわ」
「そっか…」
「落ち込むなよシゲ」
「だってさ、ちょっと思い入れも出て来たとこだったから…」
「あー、そういうことか」
ずっと使ってたものが壊れて新しいやつを買った時の気持ちっていうか…そんな感じ。
けど、みんなちゃんと追いついてくれたんだな。
馬車は無いけど、それが一番嬉しい。
「でも無事で良かった、トモも、みんなも!」
「おう!しかも俺ちょっと強くなったぜ」
「えっそうなん?」
「そうなんよ、これ見てみ」
トモアキの腰には、別れた時には着けていなかった剣がぶら下がっている。
「皆にいっぱい教えてもらってさ、ちっちゃい魔物なら倒せるようになったぞ」
「まじか、すげえな」
「祠がお役御免になったからって、記録係が付いて行かないわけにいかないだろ?
自分の身は自分で守らなきゃと思って」
「さすがトモ!」
トモアキは背も高いしガタイもいいから、きっと強くなるに違いない。
そうして、すげえすげえと2人で言い合っていると、クリスチーヌさんがぬっと出てきて言った。
「カラタニ様。
マキタ様は、ご自分の為だけでなくカラタニ様の為に強くなられたのです。これは間違いなく愛の力だと、私どもは確信しております」
えっ、何を急に?
するとリラさんとセレスさんが続ける。
「良いですかカラタニ様、団長が何か悪さをしたらすぐに我々に言うのですよ?」
「ミシェルは恋人がいた事が無いので、我々にもどう出るか予測が付かないのです。
異様な独占欲ですとか、束縛ですとか、そういう兆候が現れたらすぐにお教え下さい」
「は、はい」
何という信頼の無さ!
俺はちらりとミシェルを見る。
ちょっとブスくれた顔をしている。
そんなミシェルに3人は口々に言う。
「調子こくんじゃないわよミシェル」
「節度を守ってくださいね団長」
「カラタニ様を一瞬でも苦しめたら殺しますよトライデント殿」
3人は一丸となってミシェルに圧をかけ…
さすがのミシェルも小さい声で「分かった」と言った。
朝飯の時間になっても、他のみんなはまだ宿に来ていなかった。
「…先に祠、行こうか」
「そうだな、行こう」
スケジュールを遅らせるわけにはいかない。
俺とミシェルは連れ立って森へ向かった。
「やっぱ何かあったのかな…」
「いや、そもそも前の前の村からここまで4日程かかるからな。それに一旦戻るのにも1日は必要だ。
想定内、むしろ遅いのが普通だ」
「あー、そっか!そうだよね…うん」
不安な気持ちを無理矢理納めて、ミシェルと歩く。
「シゲル、入口はどこだ?」
「うん、神様知識では多分あの岩のとこ…
あれ?何だろ、馬がいる…あっ!!」
「あっ…」
俺はミシェルと顔を見合わせる。
トモアキたちだ!!
俺は思いっきり手を振った。
そうしたらみんなも俺たちに気付いてくれた。
「おー、来た来た」
「待ってましたよシゲル様!」
「トモ!みんな!!」
なんと祠に続く道の入口で、みんなが俺たちを待っていた。
***
「馬車、駄目だったんですか…」
「ですので、王宮へ調達を頼みました。
給金や物資とともに最初の村に届けてくれるそうです。
壊れた方も追々直して村の方で使うとの事で、そのまま寄付してきました」
「そうなんですね」
マルコさんによると、馬車を直すのに必要な部品が村に無かったんだそうだ。
「車輪の付け替えまでは良かったんですが、車体下のバネが引きちぎれてましてね…」
「車体のバネ…?」
すると、マルコさんの後ろからトモアキが出てきて言った。
「サスペンションが効かねえんだってさ」
「なるほど、それでバネ…」
「俺もちょっとガタガタするくらいって思ったんだけど、予想以上で…無理だわ」
「そっか…」
「落ち込むなよシゲ」
「だってさ、ちょっと思い入れも出て来たとこだったから…」
「あー、そういうことか」
ずっと使ってたものが壊れて新しいやつを買った時の気持ちっていうか…そんな感じ。
けど、みんなちゃんと追いついてくれたんだな。
馬車は無いけど、それが一番嬉しい。
「でも無事で良かった、トモも、みんなも!」
「おう!しかも俺ちょっと強くなったぜ」
「えっそうなん?」
「そうなんよ、これ見てみ」
トモアキの腰には、別れた時には着けていなかった剣がぶら下がっている。
「皆にいっぱい教えてもらってさ、ちっちゃい魔物なら倒せるようになったぞ」
「まじか、すげえな」
「祠がお役御免になったからって、記録係が付いて行かないわけにいかないだろ?
自分の身は自分で守らなきゃと思って」
「さすがトモ!」
トモアキは背も高いしガタイもいいから、きっと強くなるに違いない。
そうして、すげえすげえと2人で言い合っていると、クリスチーヌさんがぬっと出てきて言った。
「カラタニ様。
マキタ様は、ご自分の為だけでなくカラタニ様の為に強くなられたのです。これは間違いなく愛の力だと、私どもは確信しております」
えっ、何を急に?
するとリラさんとセレスさんが続ける。
「良いですかカラタニ様、団長が何か悪さをしたらすぐに我々に言うのですよ?」
「ミシェルは恋人がいた事が無いので、我々にもどう出るか予測が付かないのです。
異様な独占欲ですとか、束縛ですとか、そういう兆候が現れたらすぐにお教え下さい」
「は、はい」
何という信頼の無さ!
俺はちらりとミシェルを見る。
ちょっとブスくれた顔をしている。
そんなミシェルに3人は口々に言う。
「調子こくんじゃないわよミシェル」
「節度を守ってくださいね団長」
「カラタニ様を一瞬でも苦しめたら殺しますよトライデント殿」
3人は一丸となってミシェルに圧をかけ…
さすがのミシェルも小さい声で「分かった」と言った。
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