上 下
46 / 209
聖人様になる旅路

神様 in my dream 1

しおりを挟む
祠から戻るとすっかり夕暮れ…にも関わらず、沢山の村人が俺たちを出迎えてくれて、聖人様万歳の歓声を受けるなどしつつお祭り騒ぎに参加し、あれこれ食べたり飲んだりしているうちにいつの間にか寝てしまい…


<シゲル!シゲル、起きて♡>
「う…うーん」
「シゲ~、起きろ~」
「えっトモ!?」

何でここにトモアキが……はっ!

「まさか、トモ、何かあったのか!?」
「いんや何もねえ。クリスチーヌさんとの仲も何もねえ」

<残念ながらね?>

「何もねえのか…でも無事で良かった」
「シゲの方こそ、何かあったんじゃねえの?」

<むふふ、そうなのよう>

「へっあっうん何もねえっす」
「完全に何かあったやつじゃん」

ははは、と笑うトモ。
どうしよう。
今日の祠で何があったのかどう説明したら…
いや、説明すべきでも無い?
どうしよ…………

<ちょっとぉ!無視しないでよぉ!!>

あれ、ラブラヴ神様…?

***

<二人とも、私が呼んだの♡>

どうやらここは夢の中らしい。

寝る前に呼びかけた訳でも無いのに何事ナニゴト

俺が困惑していると、神様はニタァ…と下世話な顔になって言った。

<グフフ…今回の祠、スゴク良かったわ♡>
「へ?」
<ほら、あれよ、あ・れ!
 シゲルとミシェルの初キッス♡>
「ぎゃー!!」
<あの子奥手っぽかったけど、やる時はやるのね~!愛の告白をした後、チュッ♡って♡>
「やめてぇええ!!」

なんでこういう事を発表しちゃうかな!?
この世界にデリカシーは無いの!?
ねえ!!

「なるほど、吊り橋効果的な事だな」
「トモも何納得してるんだよ!!」

ちょっとは驚くとか無いの!?

<凄かったのよ~♡
 怒涛の愛の告白、からの優しいキス♡>
「ほうほう」
<ミシェルも自分で自分のした事にびっくりしちゃったりして……♡>
「あー、目に浮かぶわ」
<トモアキにも見せたかったわ…甘酸っぱくて初々しくて…♡胸がキュンキュンよぉ♡>
「あんたそういうの好きだねぇ」

ムフフと笑う神様。
やれやれと笑うトモアキ。

…これどういう空間なの?

俺をほっぽって神様とトモアキの会話は続く。

<もうねぇ、ドロドロの恋愛劇はこりごり!
 前の子の時はねぇ、彼女の愛を巡って決闘騒ぎまで起きちゃって!
 それに、彼女に恋した子たちがね、誰にも見せたくないって彼女を隠したりしちゃうし、そのせいで親愛が集められなくて力が上がらなくてぇ…
 それが災いして、彼女、祠巡りが終わってしばらくで、魔物に襲われて亡くなったの…>
「えっ」
「もしかして、闇の力が今までより多いのって…」
<そうなのよう…
 あっでも彼女、今は輪廻して、私の世界で幸せに過ごしてるから安心してね♡>
「えっ」

俺の視線は神様とトモの間を行ったり来たり…
って、今すごく大事な事さらっと言わなかった?

<その点シゲルは親愛の数量が過去イチ!その上、召喚したその日に性愛まで…>
「ちょ、ちょっと待って!
 その生まれ変わった人って光の力を使えたり…」
<しないわ、残念ながら。
 治癒魔法が使えたりはするけど…ほら、マルコちゃんいるでしょ?あんな感じ>

えっ、どういう事!?

「まさか、マルコさんは聖人様の生まれ変わり…」
<違うわぁ、先々代の聖女よ♡>
「生まれ変わりじゃん!!」

何かとんでもない話になってきた…

<とまあ、この話は置いといて。
 大事な話っていうのはここからよ♡>
「置いとくの!?」
<昔より今が大事って言うでしょ?>
「ふむ、確かにそうだな」
「なんでそんなに柔軟ジュウナンかなトモは!?」

もうちょっとこう、気にならないの!?
人の過去とか、そういうの!!


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

職業寵妃の薬膳茶

なか
BL
大国のむちゃぶりは小国には断れない。 俺は帝国に求められ、人質として輿入れすることになる。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

あなたの子ですが、内緒で育てます

椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」  突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。  夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。  私は強くなることを決意する。 「この子は私が育てます!」  お腹にいる子供は王の子。  王の子だけが不思議な力を持つ。  私は育った子供を連れて王宮へ戻る。  ――そして、私を追い出したことを後悔してください。 ※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ ※他サイト様でも掲載しております。 ※hotランキング1位&エールありがとうございます!

転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる

塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった! 特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。

虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)

美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!

悪役なので大人しく断罪を受け入れたら何故か主人公に公開プロポーズされた。

柴傘
BL
侯爵令息であるシエル・クリステアは第二王子の婚約者。然し彼は、前世の記憶を持つ転生者だった。 シエルは王立学園の卒業パーティーで自身が断罪される事を知っていた。今生きるこの世界は、前世でプレイしていたBLゲームの世界と瓜二つだったから。 幼い頃からシナリオに足掻き続けていたものの、大した成果は得られない。 然しある日、婚約者である第二王子が主人公へ告白している現場を見てしまった。 その日からシナリオに背く事をやめ、屋敷へと引き篭もる。もうどうにでもなれ、やり投げになりながら。 「シエル・クリステア、貴様との婚約を破棄する!」 そう高らかに告げた第二王子に、シエルは恭しく礼をして婚約破棄を受け入れた。 「じゃあ、俺がシエル様を貰ってもいいですよね」 そう言いだしたのは、この物語の主人公であるノヴァ・サスティア侯爵令息で…。 主人公×悪役令息、腹黒溺愛攻め×無気力不憫受け。 誰でも妊娠できる世界。頭よわよわハピエン。

処理中です...