上 下
23 / 203
聖人様になる旅路

【幕間】クリスチーヌからの報告書 1

しおりを挟む
我らが主、リンデ様へ

旅に出て1週間ほどが過ぎ、順調に次の村へ到着致しました。

カラタニ様は本日診療所を含め、井戸や市場、孤児院など数カ所をご訪問になり、その全てを見事に浄化なさいました。
明日は村の見張り台からできるだけ広い範囲の浄化に挑むと仰っていました。

本当に素晴らしいお方です。

最初の村でのカラタニ様の「力の暴走」ですが、森と村がまとめて浄化されただけで特に問題はありません。
畑まですっかり浄化されて、皆喜んでおりました。

ご本人も至って元気でいらっしゃいますし、今日もマキタ様と仲睦まじくお話をされています。

大変に眼福でございます。
この任務に付けて頂き、誠に有難う御座います。

この旅は始まったばかりですが、お二人の人柄が見えて参りました。

マキタ様はまず人を疑う方。
カラタニ様はまず人を信じる方です。

マキタ様が「人間は9割がクソ」と言うのに対し、
カラタニ様はなるべく多くを救おうとなさいます。

マキタ様は非情な部分をお持ちになれますが、
カラタニ様にはそれができません。

不思議と反対の部分の多いお二人ですが、だからこそ支え合えるのだと確信しています。
カラタニ様も、マキタ様の前では普通の男の子でいられるご様子…



どう考えてもこのお二人が伴侶になるべきかと思いますが?



本日もミシェル・トライデントは元気にカラタニ様に横恋慕しております。

カラタニ様はもうすでにマキタ様という素晴らしい方がいると言うのに、諦めが悪いのも大概です。

性懲りもなくカラタニ様のお体に触れる機会を伺うなど、紳士的態度に欠けています。

昨日も、診療所からの帰りにカラタニ様を姫抱きにしようとしてマキタ様に叱られていました。
カラタニ様は女性的な扱いを好まれないと、あれほどマキタ様に教えて頂いたにも関わらず!

奴がマキタ様のいう事を聞けないのであれば、カラタニ様には近づけない…と、私とリラとセレスで話し合って決めました。

どうみても、今の段階で、カラタニ様の横に相応しいのはマキタ様です。
伴侶ではないと聞かされて驚天動地の思いをしたのは私だけではないはずです。
マキタ様もカラタニ様も、お互いを「生涯の友人」と定められているそうですが、我々女子3人は、この旅でお二人が恋人同士になる事を願ってやみません。


ところでこの件で殿下に確認したい事がございます。


ミシェル・トライデントのあれは何なのですか?

隙あらばカラタニ様の肩や腰に手を回そうとしたり、歯の浮くようなセリフで褒めたり。

彼はなぜ、酒場で人を口説くようなやりかたをするのでしょう?
元々は朴念仁なアレがあの態度、誰かに何かを吹き込まれたとしか思えません。

だってとても大真面目にやるんですもの。

リンデ殿下にお心当たりございませんか?
念の為この件でマルコさんとハイドさんを尋問致しましたが、シロでしたので。

いえ、お心当たりが無ければ宜しいのですよ?

無ければ。
無ければ、です。

あるなら早めに仰っていただけますか?
半分同じ血が流れている兄様の事を、私は信じておりますからね?
ま・さ・か、執事のアルバートに相談なすったのではありませんよね?
あれの「モテる技」は、酒場で一夜の相手を探す女性限定の技ですからね?
向こうも「良い男がいたら一晩楽しみたい」と思っている場合にしか通じませんからね?
それとお兄様の執務室にあった「モテる男の処世術」という本の作者は、屑ナンパ師ですからね?
この前裁判が開かれて、あらゆる女性から石を投げられてましたからね?

一応、一応忠告しておきますね?

この技をリンデ様…
いえ、お兄様が使ったら、殺します。

正確に言いましょう。

お義姉様に使ったら殺します。
お義姉様以外に使ったらから殺します。

いいですね、お兄様?
必ず殺しますからね?

貴方は、私にその能力があることをご存知のはずですよね?いいですね?

…ああ、浄化の巡礼は滞り無く進みそうです。
また次の村へ付いたらご報告致します。

では。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

元会計には首輪がついている

笹坂寧
BL
 【帝華学園】の生徒会会計を務め、無事卒業した俺。  こんな恐ろしい学園とっとと離れてやる、とばかりに一般入試を受けて遠く遠くの公立高校に入学し、無事、魔の学園から逃げ果すことが出来た。  卒業式から入学式前日まで、誘拐やらなんやらされて無理くり連れ戻されでもしないか戦々恐々としながら前後左右全ての気配を探って生き抜いた毎日が今では懐かしい。  俺は無事高校に入学を果たし、無事毎日登学して講義を受け、無事部活に入って友人を作り、無事彼女まで手に入れることが出来たのだ。    なのに。 「逃げられると思ったか?颯夏」 「ーーな、んで」  目の前に立つ恐ろしい男を前にして、こうも身体が動かないなんて。

実は俺、悪役なんだけど周りの人達から溺愛されている件について…

彩ノ華
BL
あのぅ、、おれ一応悪役なんですけど〜?? ひょんな事からこの世界に転生したオレは、自分が悪役だと思い出した。そんな俺は…!!ヒロイン(男)と攻略対象者達の恋愛を全力で応援します!断罪されない程度に悪役としての責務を全うします_。 みんなから嫌われるはずの悪役。  そ・れ・な・の・に… どうしてみんなから構われるの?!溺愛されるの?! もしもーし・・・ヒロインあっちだよ?!どうぞヒロインとイチャついちゃってくださいよぉ…(泣) そんなオレの物語が今始まる___。 ちょっとアレなやつには✾←このマークを付けておきます。読む際にお気を付けください☺️ 第10回BL小説大賞に参加中! よろしくお願いします🙇‍♀️

風紀“副”委員長はギリギリモブです

柚実
BL
名家の子息ばかりが集まる全寮制の男子校、鳳凰学園。 俺、佐倉伊織はその学園で風紀“副”委員長をしている。 そう、“副”だ。あくまでも“副”。 だから、ここが王道学園だろうがなんだろうが俺はモブでしかない────はずなのに! BL王道学園に入ってしまった男子高校生がモブであろうとしているのに、主要キャラ達から逃げられない話。

断罪フラグを回避したらヒロインの攻略対象者である自分の兄に監禁されました。

BL
あるきっかけで前世の記憶を思い出し、ここが『王宮ラビンス ~冷酷王の熱い眼差しに晒されて』という乙女ゲームの中だと気付く。そのうえ自分がまさかのゲームの中の悪役で、しかも悪役は悪役でもゲームの序盤で死亡予定の超脇役。近いうちに腹違いの兄王に処刑されるという断罪フラグを回避するため兄王の目に入らないよう接触を避け、目立たないようにしてきたのに、断罪フラグを回避できたと思ったら兄王にまさかの監禁されました。 『オーディ… こうして兄を翻弄させるとは、一体どこでそんな技を覚えてきた?』 「ま、待って!待ってください兄上…ッ この鎖は何ですか!?」 ジャラリと音が鳴る足元。どうしてですかね… なんで起きたら足首に鎖が繋いでるんでしょうかッ!? 『ああ、よく似合ってる… 愛しいオーディ…。もう二度と離さない』 すみません。もの凄く別の意味で身の危険を感じるんですが!蕩けるような熱を持った眼差しを向けてくる兄上。…ちょっと待ってください!今の僕、7歳!あなた10歳以上も離れてる兄ですよね…ッ!?しかも同性ですよね!?ショタ?ショタなんですかこの国の王様は!?僕の兄上は!??そもそも、あなたのお相手のヒロインは違うでしょう!?Σちょ、どこ触ってるんですか!? ゲームの展開と誤差が出始め、やがて国に犯罪の合法化の案を検討し始めた兄王に…。さらにはゲームの裏設定!?なんですか、それ!?国の未来と自分の身の貞操を守るために隙を見て逃げ出した――。

悪役令息の従者に転職しました

  *  
BL
暗殺者なのに無様な失敗で死にそうになった俺をたすけてくれたのは、BLゲームで、どのルートでも殺されて悲惨な最期を迎える悪役令息でした。 依頼人には死んだことにして、悪役令息の従者に転職しました! スパダリ(本人の希望)な従者と、ちっちゃくて可愛い悪役令息の、溺愛無双なお話です。 ハードな境遇も利用して元気にほのぼのコメディです! たぶん!(笑)

助けてくれたあなたは僕を嫌っている

ユキノカオリ
BL
藤乃侑はある日突然異世界に飛ばされた。 周りは聞いたこともない言語で喋る人たち。 何もわからず途方に暮れていた時、手を差し伸べてくれた人。 けどその人は侑を嫌っているそうで。。。。。 主人公可哀想に書きます。 モブレは絶対にしません。 えっちは少なめで、イチャイチャ多めです。

残虐悪徳一族に転生した

白鳩 唯斗
BL
 前世で読んでいた小説の世界。  男主人公とヒロインを阻む、悪徳一族に転生してしまった。  第三皇子として新たな生を受けた主人公は、残虐な兄弟や、悪政を敷く皇帝から生き残る為に、残虐な人物を演じる。  そんな中、主人公は皇城に訪れた男主人公に遭遇する。  ガッツリBLでは無く、愛情よりも友情に近いかもしれません。 *残虐な描写があります。

俺にはラブラブな超絶イケメンのスパダリ彼氏がいるので、王道学園とやらに無理やり巻き込まないでくださいっ!!

しおりんごん
BL
俺の名前は 笹島 小太郎 高校2年生のちょっと激しめの甘党 顔は可もなく不可もなく、、、と思いたい 身長は170、、、行ってる、、、し ウルセェ!本人が言ってるんだからほんとなんだよ! そんな比較的どこにでもいそうな人柄の俺だが少し周りと違うことがあって、、、 それは、、、 俺には超絶ラブラブなイケメン彼氏がいるのだ!!! 容姿端麗、文武両道 金髪碧眼(ロシアの血が多く入ってるかららしい) 一つ下の学年で、通ってる高校は違うけど、一週間に一度は放課後デートを欠かさないそんなスパダリ完璧彼氏! 名前を堂坂レオンくん! 俺はレオンが大好きだし、レオンも俺が大好きで (自己肯定感が高すぎるって? 実は付き合いたての時に、なんで俺なんか、、、って1人で考えて喧嘩して 結局レオンからわからせという名のおしお、(re 、、、ま、まぁレオンからわかりやすすぎる愛情を一思いに受けてたらそりゃ自身も出るわなっていうこと!) ちょうどこの春レオンが高校に上がって、それでも変わりないラブラブな生活を送っていたんだけど なんとある日空から人が降って来て! ※ファンタジーでもなんでもなく、物理的に降って来たんだ 信じられるか?いや、信じろ 腐ってる姉さんたちが言うには、そいつはみんな大好き王道転校生! 、、、ってなんだ? 兎にも角にも、そいつが現れてから俺の高校がおかしくなってる? いやなんだよ平凡巻き込まれ役って! あーもう!そんな睨むな!牽制するな! 俺には超絶ラブラブな彼氏がいるからそっちのいざこざに巻き込まないでくださいっ!!! ※主人公は固定カプ、、、というか、初っ端から2人でイチャイチャしてるし、ずっと変わりません ※同姓同士の婚姻が認められている世界線での話です ※王道学園とはなんぞや?という人のために一応説明を載せていますが、私には文才が圧倒的に足りないのでわからないままでしたら、他の方の作品を参照していただきたいです🙇‍♀️ ※シリアスは皆無です 終始ドタバタイチャイチャラブコメディでおとどけします

処理中です...