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聖人様になる練習

穴だらけ!脳内知識

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 その後、ラブラヴ神様が直接脳味噌に刻んだ知識から紐パンの穿き方を取り出し、俺たちは事なきを得た。

 祝・脱・ノーパン!
 そしておいでませペアルック!

「はぁ……」

 俺がトモアキと自分の服を見比べてため息をついていると、トモアキが言った。

「シゲ、これは双子コーデだ」
「ふ…たご、こーで?」
「双子コーデとは、仲良しの友人とファッションを合わせることだ…
 断じて、ペアルックでは、ない。」
「……なるほど」
「それが無理なら漫才師の衣装だと思え。
 シゲがボケで俺がツッコミ」
「それはどうかな」

 大体この状況でお前が「突っ込む」側って、誤解を加速させるだけ…

 だっ、誰がガリチビだって!?
 うるさいっ、今から成長期なの!!


 …だがともかく、全裸よりは100倍良い。
 俺はようやく人間になった気分で、座る場所を探して部屋の中を見渡す。

 修学旅行で泊まった部屋の2倍以上あるこの部屋には、シンプルなテーブルと椅子、豪華なソファーと猫足テーブル、重厚なデスクと、カーテンの付いたデカいベッドとデカいクローゼットがあり、小市民たる俺は一番質素っぽいシンプルなテーブルの椅子に座ることにした。

「しまった、この椅子フカフカだ…」
「シンプルだけど材質にこだわってる系か」
「聖人様マジやべえ」

 しかし床に座るわけにもいかない。
 ケツに高級感を感じつつ腰掛ける事にする。

 トモアキはでかいベッドでゴロゴロしている…
 服がシワになるからヤメレ。

「なートモ、脳味噌に刻まれた知識?とか共有しとかねえ?俺とトモで内容違うかもしんないし」
「あー、それ大事な!
 ちょっと待て、紙とペン探すし」

 ベッドから飛び降り、ズカズカ豪華なデスクのとこに行って物怖じせず引き出しを開けるトモアキ…

 頼もしい相方はすぐに紙とペンを発見した。

 さすがである。

「んじゃ、書き出していくぞ。
 どんどん言ってくれ、シゲ」
「んじゃまずは闇の力を打ち消す方法なー」

 ***

 トモアキと一個一個「知識」を書き出して確認していると、クリスチーヌさんがやって来てパンと水を置いていった。

 とりま腹が減っていた俺たちは、パンを齧りつつまた確認作業に戻った。

「ちょっと酸っぱいのな」
「ライ麦パンか何かじゃね?」
「んー、知識には入ってないな」
「俺の脳にも飯の情報はないな」

 知識は主に
 ・光の力について
 ・闇の力について
 ・封印仕方と儀式をする場所
 ・ラブラヴ神様と交信する方法
 ・紐パンの履き方
 …の5種類だ。

 あ、あと言語ね。
 彼ら、日本語喋ってるわけじゃないんだ。
 俺たちが神様のおかげで、聞けて喋れて書けて読めるようになってるだけ…
 これポルトガル語で出来ねえかなぁ。

 トモアキが俺に聞いた。

「そういや晩餐会ってなんなん?」
「マナーを超気にしながら偉い人と飯を食う会」
「まじか、んじゃ俺もパスだな」
「マナー出来てるやつだけでやれよなー」
「そうだそうだ」

 ラヴラブ神様の刻んだ知識には、残念ながらマナーとかは入ってなかった。
 給食以外箸で飯食ってきた俺にはハードルが高い…

 コンコン!
「はーいどうぞー」
「失礼します」

 そこへ騎士さんがやって来た。
 さっきマントを貸してくれたうちのひとりだ。

「あっ、さっきはマントありがとうございます」
「いえ、聖人様の裸をあれ以上人前に晒すのははばかられましたゆえ」
「お気遣い痛み入ります」
「ところで、お二方とも、晩餐会がお気に召されないとお聞きしましたが……」

 どうやらこの騎士さんは、俺たちにもう一度晩餐会に出るよう説得に来たらしい。

「ここは宮中で御座いますれば、何かと式典や儀式が必要でございまして…。
 お二人様にはご負担でございましょうが、」
「国庫への負担の方が数倍気になるけど」
「おいシゲ!」「あっ」

 しまった。

 うっかり食いぎみに突っ込んでしまった。
 しかも完全に内政干渉な発言だ。
 今日来た余所者が一番言っちゃいけないやつ……


 やばい。


 とりあえずその場をしのぐため、この国を心配している感を出しつつ丁重に再度お断りする。

「えっと…俺ら、そういうのより、この国の住人の皆様の事のほうが気になるというか」
「そうそう、国土死にかけてるのに、なあ」

 トモアキも俺に同調する。
 堅苦しいメシは絶対回避の構えだ。
 俺はだめ押しとばかりに言う。

「なんで、浄化が終わって、俺らが元の世界に戻ってから皆様だけでおやりになったらいかがかと」

 すると、騎士さんは急に申し訳なさそうに言う。

「それですと、聖人様とご伴侶様が共に天寿を全うされた後になってしまいます」
「えっ」

 はっ?

 どうゆうこと?

 終わったら帰れるんじゃないの?
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