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王子様と皇太子殿下 5
作戦会議【緊急】2
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会議は脱線して、あらぬ方向へ進みかける。
顔を真っ赤にしながら咳払いをして、ソラが方向を無理矢理戻す。
「…さっきの「王族の伴侶」の続きですけど。
カラス君は、王族や貴族の結婚だと皇后様と糞野郎みたいな政略結婚と…お母さんみたいに、無理やり召し上げられるやつしか、知らないから…お互い好き同士で結婚するなんてあり得なくて、良くてお互いが利用し合う関係か、普通なら一方的に搾取される関係しか想像できないんじゃないすかね?
だから王子様の伴侶になって「幸せになる」なんてのより、「死ぬまで搾取されて苦しむ」ことのほうが、カラス君には現実的なんすよ」
ほうほう、と頷くエース。
そのエースに、ソラはとんでもない提案をする。
「だからね、エース様。」
「?何じゃ?」
「王子様を辞めたらどうすかね」
「何!?」
「カラス君は、平民同士の幸せな結婚なら、王子様との幸せな結婚よりずっと想像しやすいんじゃないかなって。だとしたら、平民同士になったほうが有利じゃないかな…と思うんっすよ。
……どうすか?」
ソラは、意地悪なことを言ったかな…と思った。
しかしエースは満面の笑みで言う。
「なるほど…なるほど!さすが親友じゃ!!」
「はあ、ありがとうございます…?」
「そんなことなら、今すぐ辞めよう!ユーゴ、」
「へいへい、事後処理ね」
ソラと北の猟犬は驚き、声を上げる。
「ええっ!?」
ユーゴが言う。
「大丈夫、だってこいつ今まで何回も王子様になったり辞めたりしてるからさ。
事後処理も慣れたもんよ」
「そうなの!?」
「今も王子でいるのって、多分クロエの為だしな」
「えっ…」
「そりゃそうじゃ。権力があればこそ、守れることもあるじゃろうと思うてな。
じゃが、それが枷になっておったとは思わなんだ…
ソラ、感謝するぞ!!」
ニコニコ笑う第3王子に、ソラと北の猟犬はとても微妙な顔になった。
愛する人のためにとはいえ、そうも簡単に特権階級から降りられるなんて思わなかったからである。
それなら、と特に驚いた様子もない先生が言う。
「今、この国の一般的な家を立てて、どこにどう薬草を育てられるか実際にやってみようって話があるんだけど、それをもう今すぐスタートさせよう。
もう目星はつけてあってさ、何にもないとこだけど、自然は豊かで湖に近いから釣りもできるし、ちょっと離れた川沿いに温泉もあるし、別荘地にならないかなって、色々、土木科と建築科が合同で実習してた場所なんだけどね、実は物件ももうあるんだ、去年実習で建てたやつがさ。
そんで、クロエ君とただのエースと、ふたりでそこに同棲してもらう」
「ほう」
「それで、ソラ君にはロウと一緒におとなりに住んでもらって、しっかりクロエ君に「好き同士でするエッチなこと」の素晴らしさを伝えてもらう、と」
「わかった、オレ頑張るよ先生!」
「いやいやいやいや無理無理無理無理」
「で、俺らは?」
「……猟犬君たちのぶんも、ちゃんとお家あるよ」
「やった!」
「あくまでも見守りだよ、悪い輩がこないかとか補助が必要なときに手伝うとか、でも最低限だからね」
「得意であります、お任せを!」
ソラが、真っ赤な顔でエースを睨む。
「これで上手く行かなかったら許しませんよ」
エースが返す。
「う、うむ…お前さんのためにも、頑張るぞ」
顔を真っ赤にしながら咳払いをして、ソラが方向を無理矢理戻す。
「…さっきの「王族の伴侶」の続きですけど。
カラス君は、王族や貴族の結婚だと皇后様と糞野郎みたいな政略結婚と…お母さんみたいに、無理やり召し上げられるやつしか、知らないから…お互い好き同士で結婚するなんてあり得なくて、良くてお互いが利用し合う関係か、普通なら一方的に搾取される関係しか想像できないんじゃないすかね?
だから王子様の伴侶になって「幸せになる」なんてのより、「死ぬまで搾取されて苦しむ」ことのほうが、カラス君には現実的なんすよ」
ほうほう、と頷くエース。
そのエースに、ソラはとんでもない提案をする。
「だからね、エース様。」
「?何じゃ?」
「王子様を辞めたらどうすかね」
「何!?」
「カラス君は、平民同士の幸せな結婚なら、王子様との幸せな結婚よりずっと想像しやすいんじゃないかなって。だとしたら、平民同士になったほうが有利じゃないかな…と思うんっすよ。
……どうすか?」
ソラは、意地悪なことを言ったかな…と思った。
しかしエースは満面の笑みで言う。
「なるほど…なるほど!さすが親友じゃ!!」
「はあ、ありがとうございます…?」
「そんなことなら、今すぐ辞めよう!ユーゴ、」
「へいへい、事後処理ね」
ソラと北の猟犬は驚き、声を上げる。
「ええっ!?」
ユーゴが言う。
「大丈夫、だってこいつ今まで何回も王子様になったり辞めたりしてるからさ。
事後処理も慣れたもんよ」
「そうなの!?」
「今も王子でいるのって、多分クロエの為だしな」
「えっ…」
「そりゃそうじゃ。権力があればこそ、守れることもあるじゃろうと思うてな。
じゃが、それが枷になっておったとは思わなんだ…
ソラ、感謝するぞ!!」
ニコニコ笑う第3王子に、ソラと北の猟犬はとても微妙な顔になった。
愛する人のためにとはいえ、そうも簡単に特権階級から降りられるなんて思わなかったからである。
それなら、と特に驚いた様子もない先生が言う。
「今、この国の一般的な家を立てて、どこにどう薬草を育てられるか実際にやってみようって話があるんだけど、それをもう今すぐスタートさせよう。
もう目星はつけてあってさ、何にもないとこだけど、自然は豊かで湖に近いから釣りもできるし、ちょっと離れた川沿いに温泉もあるし、別荘地にならないかなって、色々、土木科と建築科が合同で実習してた場所なんだけどね、実は物件ももうあるんだ、去年実習で建てたやつがさ。
そんで、クロエ君とただのエースと、ふたりでそこに同棲してもらう」
「ほう」
「それで、ソラ君にはロウと一緒におとなりに住んでもらって、しっかりクロエ君に「好き同士でするエッチなこと」の素晴らしさを伝えてもらう、と」
「わかった、オレ頑張るよ先生!」
「いやいやいやいや無理無理無理無理」
「で、俺らは?」
「……猟犬君たちのぶんも、ちゃんとお家あるよ」
「やった!」
「あくまでも見守りだよ、悪い輩がこないかとか補助が必要なときに手伝うとか、でも最低限だからね」
「得意であります、お任せを!」
ソラが、真っ赤な顔でエースを睨む。
「これで上手く行かなかったら許しませんよ」
エースが返す。
「う、うむ…お前さんのためにも、頑張るぞ」
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