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ロイ・ユーフォルビアの恋愛相談室
大人の恋愛相談 3
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話を終えたゼフさんはお茶を持ってくると言って部屋を出て行った。
後に残された僕らは、さっきの話からスフィアさんの悩みを解決する糸口を探すことにした。
「ゼフさんの話からすると、前の伴侶さんの特徴を持った子が生まれてその子が結婚すると吹っ切れる…
ってことは、ヘザー君…はもう結婚してるし、この前生まれたお孫さんが…となると先は長いな…」
「…ロイさん?」
「実はもう、グロリオサ候の中では、前の伴侶さんとの恋愛に結論が出てる可能性もあるか」
うーん、もうちょっと何か無いかな。
グロリオサ候の心を探るきっかけになること。
「前の伴侶さん…ライトさん、でしたっけ。
どんな人だったかとか聞いた事あります?」
「え、ええっと…」
「無いなら一度聞いてみるのはどうですかね?
それで少し関係が変わるかもしれないし…」
僕にはヘヴィさんの私的な事柄に関する情報が無い。
恋愛関連で一般的に知られている事…
舞台になるほどの熱愛、ライトさんと結婚する為のあれこれ…
性格やら何やらは、多分ルースのほうが詳しい。
下手するとヘザー君より詳しいかもしれない。
「いっそルースを呼んでくるか…」
「あの、ロイさん!」
突然スフィアさんが大きな声で僕に呼びかける。
何か気づいた事があるのかな?
「どうしました?」
「さっきのゼフさんの話…そんなふうに言ってしまって良いんですか?」
ん?そんなふうにって?
僕が首を傾げると、スフィアさんは妙に真剣な顔で続けた。
「だって、あれほど繊細な…ゼフさんの過去や心情の話を利用…というか…身も蓋もないというか…」
「ああ、それはまあ、それですよ」
「えっ」
「ここは心情を取っ払って考えないと先に進まないので」
「良いんですか!?」
…スフィアさんは優しい人なんだな。
こうして、ゼフさんの話に共感して、その心情に囚われてしまうくらい。
もしかしたらその優しいところに、ヘヴィさんは心を寄せているのかもしれないな。
「良いも悪いも、ゼフさんも解決の糸口になればって話してくれたんですし、良いんですよ」
「…何だか、すごいですね」
「そうですか?」
「さっきのお話…ロイさんだって思うところがあるはずなのに」
うーん…まあ、それは…ゼフさんが僕の事を愛してるって言ってくれたのは嬉しかったけどさ。
その感情は今一旦置いとくべきだもん。
「思うところが問題解決に役立つんなら使いますけど、役に立たなさそうだからなあ」
僕がそう言うと、スフィアさんは微笑んだ。
「現状を打破するために、一旦人の感情を切り捨てて考える…ルースさんにそっくりです」
「そうなんですか?」
「…あれはロイさん譲りだったんですね。
非情な戦略家の一面を持ちながら、人の心も汲み取る…正室教育の賜物かと思っていましたが、まさか」
僕とルースに似たところがあるなんて、考えた事無かったなぁ…。
ほら、見た目はすっかりリード父さんに似ちゃってるし。
時折見せる色香はゼフさんそのものだし。
「僕とルースって、似てますかね?」
「ええ、そっくりです。
話し方もルースさんにそっくりですし」
ああー…それね。
5歳くらいまではちゃんとした言葉遣いだったのに…困ったもんだ。
「貴族教育もしこたまやったんですけどね…」
「あっ、それです」
「それ?」
「『しこたま』って言葉をルースさんもよく使うのですけど、ロイさんの影響だったんですね」
「そんな細かい部分!?」
「ふふ、ほんとにそっくりですね…話せば話すほど、似ている所が見つかって、面白いです」
なんだ、ルースと僕は似てたんだ。
僕の欠片なんてどこにも無いと思ってたけど…
「まあ、親子ですからねぇ」
「ふふ、本当に」
スフィアさんの優しい心は、僕の心にずっとあったモヤモヤを払ってくれた。
そうか、スフィアさんの武器は麗しい外見じゃなくて…
「やっぱり、優しさだな」
「?」
「この話、うまく行きそうな気がします」
「本当ですか?」
今回の目標はセックスする事じゃない。
お互いの気持ちを確認することだ。
僕は少しの時間、考えを巡らし…
いくつかの作戦をスフィアさんに伝えた。
後に残された僕らは、さっきの話からスフィアさんの悩みを解決する糸口を探すことにした。
「ゼフさんの話からすると、前の伴侶さんの特徴を持った子が生まれてその子が結婚すると吹っ切れる…
ってことは、ヘザー君…はもう結婚してるし、この前生まれたお孫さんが…となると先は長いな…」
「…ロイさん?」
「実はもう、グロリオサ候の中では、前の伴侶さんとの恋愛に結論が出てる可能性もあるか」
うーん、もうちょっと何か無いかな。
グロリオサ候の心を探るきっかけになること。
「前の伴侶さん…ライトさん、でしたっけ。
どんな人だったかとか聞いた事あります?」
「え、ええっと…」
「無いなら一度聞いてみるのはどうですかね?
それで少し関係が変わるかもしれないし…」
僕にはヘヴィさんの私的な事柄に関する情報が無い。
恋愛関連で一般的に知られている事…
舞台になるほどの熱愛、ライトさんと結婚する為のあれこれ…
性格やら何やらは、多分ルースのほうが詳しい。
下手するとヘザー君より詳しいかもしれない。
「いっそルースを呼んでくるか…」
「あの、ロイさん!」
突然スフィアさんが大きな声で僕に呼びかける。
何か気づいた事があるのかな?
「どうしました?」
「さっきのゼフさんの話…そんなふうに言ってしまって良いんですか?」
ん?そんなふうにって?
僕が首を傾げると、スフィアさんは妙に真剣な顔で続けた。
「だって、あれほど繊細な…ゼフさんの過去や心情の話を利用…というか…身も蓋もないというか…」
「ああ、それはまあ、それですよ」
「えっ」
「ここは心情を取っ払って考えないと先に進まないので」
「良いんですか!?」
…スフィアさんは優しい人なんだな。
こうして、ゼフさんの話に共感して、その心情に囚われてしまうくらい。
もしかしたらその優しいところに、ヘヴィさんは心を寄せているのかもしれないな。
「良いも悪いも、ゼフさんも解決の糸口になればって話してくれたんですし、良いんですよ」
「…何だか、すごいですね」
「そうですか?」
「さっきのお話…ロイさんだって思うところがあるはずなのに」
うーん…まあ、それは…ゼフさんが僕の事を愛してるって言ってくれたのは嬉しかったけどさ。
その感情は今一旦置いとくべきだもん。
「思うところが問題解決に役立つんなら使いますけど、役に立たなさそうだからなあ」
僕がそう言うと、スフィアさんは微笑んだ。
「現状を打破するために、一旦人の感情を切り捨てて考える…ルースさんにそっくりです」
「そうなんですか?」
「…あれはロイさん譲りだったんですね。
非情な戦略家の一面を持ちながら、人の心も汲み取る…正室教育の賜物かと思っていましたが、まさか」
僕とルースに似たところがあるなんて、考えた事無かったなぁ…。
ほら、見た目はすっかりリード父さんに似ちゃってるし。
時折見せる色香はゼフさんそのものだし。
「僕とルースって、似てますかね?」
「ええ、そっくりです。
話し方もルースさんにそっくりですし」
ああー…それね。
5歳くらいまではちゃんとした言葉遣いだったのに…困ったもんだ。
「貴族教育もしこたまやったんですけどね…」
「あっ、それです」
「それ?」
「『しこたま』って言葉をルースさんもよく使うのですけど、ロイさんの影響だったんですね」
「そんな細かい部分!?」
「ふふ、ほんとにそっくりですね…話せば話すほど、似ている所が見つかって、面白いです」
なんだ、ルースと僕は似てたんだ。
僕の欠片なんてどこにも無いと思ってたけど…
「まあ、親子ですからねぇ」
「ふふ、本当に」
スフィアさんの優しい心は、僕の心にずっとあったモヤモヤを払ってくれた。
そうか、スフィアさんの武器は麗しい外見じゃなくて…
「やっぱり、優しさだな」
「?」
「この話、うまく行きそうな気がします」
「本当ですか?」
今回の目標はセックスする事じゃない。
お互いの気持ちを確認することだ。
僕は少しの時間、考えを巡らし…
いくつかの作戦をスフィアさんに伝えた。
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