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ロイ・ユーフォルビアの恋愛相談室

公爵家同士、一人っ子同士 2

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…つまり、お二人の問題点とは。

「抱く…とは言うものの、奥で精を放つ方法を学ぶだけで…挿入に必要な用意は向こうがしてくる事だから、というか…」

…これ本気で言ってるの?
この子たち、ナチュラル偉そうだけど、公爵家ってどこもこういう教育なの?

もう全然わかんない。

貴族わかんない。

相手のいる事って、相手の事も知っとくもんじゃないの?
だからわざわざ…

そう!そうだよ!

「閨係は居たんでしょ?」

高位貴族の間では、産ませる側になる人の閨教育は大体実践を伴うって…。
アルファード殿下はルースを愛する余り、その伝統を断固として受け入れなかったって、自慢してた気が…。

「そ、その、自慰の仕方を教わったりとか…手伝ってもらったりはするんですけど」
「公爵家の子種が流出しないようにするために、接合については座学のみと…」
「……は?」

なんなの!
プロを頼んでおいてまでなんなの!?
大体、子どもが足りないからって無理矢理人に産ませといて、隠し子の心配してる場合か!?
高位貴族って何考えて生きてんの!?
ねえ!!

「そういう時の為のコンドームでしょ!?」
「こ、こんどーむ…?」
「避妊具のことですよ!!」
「…ひにんぐ?」

フリージア家のラミー様は真剣に首をひねっている…こりゃ駄目だ。

「…子種を相手の胎へ入れないように、男根に被せる皮のようなものです」
「皮を被せる?せっかく剥けたのに」
「そういうことじゃないんですよ」

圧倒的知識の無さ…!!
どうしてこうなるの?

僕はとても馬鹿らしくなった。
なので言った。

「まあ別に、恋仲にセックス有る無しは関係ないし、無理にヤらなくてもいんじゃねっすか」
「だ…だが、子どもを授からねば家が潰れて」
「潰れればいんじゃねっすか」
「そんな!!」

なんかもう時代遅れも甚だしいっていうか。
10歳まで平民だった僕には、爵位の何がそんなに大事なのかいまいち分からない。
だって爵位があったからって有能とは限らないし…
誰とは言わないけど!

「公爵だか講釈だか知らねっすけど、相手ありきの事なのに相手の事学ばねえ時点でおかしいと思わねえと」
「……はい」
「お貴族様は跡継ぎをこさえるのが人の命より大事なんでしょ?じゃあ産んでくれる人の事をもっと大事にするべきでしょ?子ども産むのは命がけなんすよ?だから当主が産む側に回らないって事になってんでしょ?
 それすら忘れて特権だと思ってっからこんな事になるんでしょうが」
「「……すみません……」」

ラミー様とトーリ様は俯いて謝るばかりだ。

「…まあ、君らだけが悪いんじゃない。
 君らの親とそのまた親が悪いんだけどさ。
 そういうの、君らの代で終わりにしてくれる?」
「はい、それは…もちろん」

言いたい事が山ほどある。
彼らの父親が一体何をしたか。

ゼフさんを道具扱いした事。
ルースとルースの子どもたちを道具にするつもりだった事。

…父さんを殺した男の計画に乗った事。


「……ふー……」


でも、子どもに罪は無いって、ゼフさんが言うから。
だから許すしかない。

一応、仕事は真面目にやってるみたいだしね。

はあ…仕方ない。
どうにかしてやるしかないか。

僕は仕方なく、ユーフォルビア謹製の閨教本を持ってくる事にした。

「とにかく、正しい知識を得るところから始めてもらいます」
「…はい」
「お二人とも、まずはこれを読んでください」
「は…はあ、これは…」
「ユーフォルビア家に伝わる、超初級閨教本です」
「「しょきゅう」」
「超・初級です」
「「ちょうしょきゅう」」

そう言って2人は僕の渡した冊子をさっそく広げ…たはいいが、1ページ目から顔が真っ赤になる。

どうやら相当、家によって閨教育にばらつきがあるみたい…なのは、分かったけど…

「し、しりのあなをあらう…?」
「指を突っ込…?えっ、指が汚れてしまうのでは」
「だーかーらー!
 そういう魔道具もあるって書いてあるじゃん!
 嫌ならそれを使え!!」

これ…前途多難過ぎない?
僕の手に負えるのかしら…。
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