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新婚旅行
道中、2人の会話
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ファセリア領でウィン兄・ディー兄・モロー君・御者さんの4人と合流し、テナチュール領、ジェンティアナ領、ベルガモット領…と来て、間に鉱山都市を挟んでからの大神殿。
テナチュール家では、伴侶の方から「今までの非礼と無礼をお詫びしたい」と頭を下げられて慌ててみたり、フィーデ君の弟と一緒にご本を読んでみたり、幼少時教育について議論したり。
ジェンティアナ家では、ご当主から神官長の幼少期の話を聞いたり、神殿とタッグを組んでお洒落雑貨店を展開させたい話を聞いたり、陶芸用の窯を作ってみたり。
ベルガモット家では、教授が5~8人目を産んだ話を聞かされて白目を剥いてみたり。
ベルガモット・パパさんズは
「ベルガモット家を継ぐ者として、本来なら産ませる側であって欲しかったとは思いますがね」
と言いながらも笑っていて、この歳にしてとても柔軟な思考の持ち主なんだろうな…と思ってみたり。
お二人とも、教授が同時に4人も伴侶を得る事に対して、それほど抵抗なく受け入れているというか…
「昔から、彼らは『セドリックを共有したい』旨、私どもに宣言しておりましたのでな」
「ええっ!?」
「我々も驚きはしましたが…彼らはセドリックのどこにあれほど焦がれたのでしょうなあ。
突出した才があるわけでも無いのに…」
「ええっ、あれほど何でもこなされるのに?」
「はは、あれはただの器用貧乏ですよ」
って、あれは器用貧乏ってレベルじゃないと思うんだけどな…
なんて、恐ろしい話を聞かされてみたり。
そして鉱山都市ではいつも通りの視察と、白い石のお土産を大量に持たされてみたり…。
ちなみに大神殿の東はリリー領で、その隣は巨大ダンジョン「古龍の墓」擁するフリージア領なんだけど、今回はフリージア領の視察はしない。
だって、結婚式の前に、陛下が「お前んちの代わりに立て替えたユーフォルビア家への養育費を支払うまで、王家はフリージア家と一切の関わりを持たない」って通達したのに、まだ支払わないんだもん。
こういう時の為に、ローズには「婚外子に対しても、自分の子であると認めた場合には養育費の支払い義務が生じる」って法律があるねんで?
自分らが作った法律よりずっっと昔から。
せやのに、仮にも元法務大臣が「親権が無いから支払いの義務はない」とか書面にしてきよる場合か?あ?
アホか?
それともつける薬の無い方か?お?
「…フリージア公、これでよく今までやってきましたね?」
「ああ、伴侶が非常に優秀でな、息子を連れては領内の視察をしたり、法務の仕事を見せたりしていたそうだ。
彼のおかげで、ラミー・フリージアはそれなりに優秀なのだな。
まあ、とっくに離縁して母国へ戻っているが」
「あっ…あー…それで…。
もう強制執行したほうが早いのかなぁ」
先輩のほうは、説明すればすぐに分かってくれそうだしな。
「ま、私腹を肥やすのに随分と熱心だったようだが、隠居すれば金も要らんだろうしな」
「ですよねー」
払うつもりがないんなら、ヒデル兄さんが結婚するときに「実の父親」面して出てくんなや。
ほんでホスタまでタダで行こうとすな。
金を払え金を!!
「蓄財の半分じゃなくて、全額いったろかな…」
「随分とご立腹だな、ルース」
「だって、金払いの悪い金持ちって腹立つんですもん」
「確かに…支払うべき金を払わんのはな」
「支払わなくていいように考える、の意味がおかしいんですよ。
難癖つけて支払わないのは節約と言わないでしょ、普通」
予算オーバーだったら、最初から買わない、してもらわない。
それが節約やん。
買うけど払わん、やってもらったけど払わんって、タカリと一緒やろが!!
「そういう連中が、貴族全体に対する国民感情を悪くするんですよ!?
市場に買い物に行って貴族ってバレた時の大変さを、奴らに身をもって知って貰いたいですね!!」
「…そうだな」
それまでの行いで「貴族扱いしなくていい奴」認定されるせいか、アホほど忌憚のない苦情を頂くんやぞ!
どこの家は支払いがまだやとか、どこの家が商品に難癖つけて支払いを拒否しよったとか!
そうやって俺がプリプリ怒っていると、殿下が静かな声で言った。
「…もしかしてルース、その家名を記録して残していたりするか?」
「してますよ!
忘れないように手帳に書いて帰れってみんなが言うんだもん!!」
「…ほほう」
そりゃあもう、家の名前から金額から何買ったかまで…まで…
……あれ?これってまさか…
「ふふ…ククク」
「あの、殿下…?」
「また1つ、弱みを握れる名簿が出来たな?」
…うん。
やっぱ、そうなるよねえ…。
テナチュール家では、伴侶の方から「今までの非礼と無礼をお詫びしたい」と頭を下げられて慌ててみたり、フィーデ君の弟と一緒にご本を読んでみたり、幼少時教育について議論したり。
ジェンティアナ家では、ご当主から神官長の幼少期の話を聞いたり、神殿とタッグを組んでお洒落雑貨店を展開させたい話を聞いたり、陶芸用の窯を作ってみたり。
ベルガモット家では、教授が5~8人目を産んだ話を聞かされて白目を剥いてみたり。
ベルガモット・パパさんズは
「ベルガモット家を継ぐ者として、本来なら産ませる側であって欲しかったとは思いますがね」
と言いながらも笑っていて、この歳にしてとても柔軟な思考の持ち主なんだろうな…と思ってみたり。
お二人とも、教授が同時に4人も伴侶を得る事に対して、それほど抵抗なく受け入れているというか…
「昔から、彼らは『セドリックを共有したい』旨、私どもに宣言しておりましたのでな」
「ええっ!?」
「我々も驚きはしましたが…彼らはセドリックのどこにあれほど焦がれたのでしょうなあ。
突出した才があるわけでも無いのに…」
「ええっ、あれほど何でもこなされるのに?」
「はは、あれはただの器用貧乏ですよ」
って、あれは器用貧乏ってレベルじゃないと思うんだけどな…
なんて、恐ろしい話を聞かされてみたり。
そして鉱山都市ではいつも通りの視察と、白い石のお土産を大量に持たされてみたり…。
ちなみに大神殿の東はリリー領で、その隣は巨大ダンジョン「古龍の墓」擁するフリージア領なんだけど、今回はフリージア領の視察はしない。
だって、結婚式の前に、陛下が「お前んちの代わりに立て替えたユーフォルビア家への養育費を支払うまで、王家はフリージア家と一切の関わりを持たない」って通達したのに、まだ支払わないんだもん。
こういう時の為に、ローズには「婚外子に対しても、自分の子であると認めた場合には養育費の支払い義務が生じる」って法律があるねんで?
自分らが作った法律よりずっっと昔から。
せやのに、仮にも元法務大臣が「親権が無いから支払いの義務はない」とか書面にしてきよる場合か?あ?
アホか?
それともつける薬の無い方か?お?
「…フリージア公、これでよく今までやってきましたね?」
「ああ、伴侶が非常に優秀でな、息子を連れては領内の視察をしたり、法務の仕事を見せたりしていたそうだ。
彼のおかげで、ラミー・フリージアはそれなりに優秀なのだな。
まあ、とっくに離縁して母国へ戻っているが」
「あっ…あー…それで…。
もう強制執行したほうが早いのかなぁ」
先輩のほうは、説明すればすぐに分かってくれそうだしな。
「ま、私腹を肥やすのに随分と熱心だったようだが、隠居すれば金も要らんだろうしな」
「ですよねー」
払うつもりがないんなら、ヒデル兄さんが結婚するときに「実の父親」面して出てくんなや。
ほんでホスタまでタダで行こうとすな。
金を払え金を!!
「蓄財の半分じゃなくて、全額いったろかな…」
「随分とご立腹だな、ルース」
「だって、金払いの悪い金持ちって腹立つんですもん」
「確かに…支払うべき金を払わんのはな」
「支払わなくていいように考える、の意味がおかしいんですよ。
難癖つけて支払わないのは節約と言わないでしょ、普通」
予算オーバーだったら、最初から買わない、してもらわない。
それが節約やん。
買うけど払わん、やってもらったけど払わんって、タカリと一緒やろが!!
「そういう連中が、貴族全体に対する国民感情を悪くするんですよ!?
市場に買い物に行って貴族ってバレた時の大変さを、奴らに身をもって知って貰いたいですね!!」
「…そうだな」
それまでの行いで「貴族扱いしなくていい奴」認定されるせいか、アホほど忌憚のない苦情を頂くんやぞ!
どこの家は支払いがまだやとか、どこの家が商品に難癖つけて支払いを拒否しよったとか!
そうやって俺がプリプリ怒っていると、殿下が静かな声で言った。
「…もしかしてルース、その家名を記録して残していたりするか?」
「してますよ!
忘れないように手帳に書いて帰れってみんなが言うんだもん!!」
「…ほほう」
そりゃあもう、家の名前から金額から何買ったかまで…まで…
……あれ?これってまさか…
「ふふ…ククク」
「あの、殿下…?」
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やっぱ、そうなるよねえ…。
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