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新婚旅行
ウィン兄・ディー兄と合流
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ケルベラ領では神殿・鉱山・名勝…と一通りを視察して、晩餐会や交流会などの一通りの行事を終え、今日は最後の予定である南ケルベラ大学の視察と座談会。
南ケルベラ大学では農学部の他に魔石工学部や魔生物学部もあり、学園との交流も進めたいとの事。
「魔石工学のほうは一般にも公開されていますから、うちから何人か一年間通わせて頂いております。
ですから、できれば魔生物学の方もと…」
「そうですね、魔石工学の一般受講者さんと同じ条件でなら出来るかもしれません。
校長に検討するようお願いしておきます」
さすがに学園をどうこうする権限は俺に無いので何とも言えないけどね…
なんて思っていると、殿下が言った。
「いっそ教師を交換したらどうだ?
ビスカリアにとっても、ここは最高の環境だろう」
「なるほど!」
「そういえばビスカリア卿とソラン様は、一部の魔生物と意思疎通を図れるとか…あれはどうやって?」
うっ…また雷か。
一般の人を属性開放したら、100%強制絶頂しちゃうよな…危険すぎる。
うん、出来ない時は出来ないと言おう。
それも大事。
「あれは雷魔法を中位まで覚えていないと出来ないんです。
今のところ再現できる魔道具の開発もしていませんので、技術を一般公開するのは難しいですね」
「何と、残念な…」
「魔法が使える事が前提だったんですか…」
がっかりする魔生物学の人々。
するとそれを聞いていたらしい魔石工学の先生が手を挙げて言った。
「ではその開発、我が校にやらせてください!」
「…良いんですか?
正直、元が取れるとは思えませんが…」
「うちは農学部が稼いでくれるので、研究費も少し余裕がありますし、魔石や素材は取り放題ですから」
「あっ、あー…なるほど!」
さすが鉱山とダンジョンの領地。
そして大学の教授陣はなかなかの筋肉…。
あれ?
もしかして属性開放しても問題ない…?
***
座談会は恙無く終了し、南ケルベラ大学を出てさらに南へ1日。
ここはなんとソラン先輩の実家、ファセリア領だ。
ちなみに東隣はアレクさんの実家でコスモス領…と言っても、叔父さん親子がいるだけで、アレクさんのご両親は2人とも今財務大臣と財務副大臣をやっているから里帰りはしないそうだ。
「ウィン兄とディー兄とは、ホテルで待ち合わせでしたっけ?」
「うむ、すでに到着しているそうだ」
「久しぶりに会う気がするなあ…モロー君いるかな」
「ああ、ウィンがしっかりやっていればな」
「……えっ?何?どういう事!?」
すると俺の疑問に殿下が答える。
「ああ、ウィンはモローが気に入っているんだ」
「えっ、そうなんですか!?」
「まさかお前をダシにしてまでモローの気を引こうとするとは思わなかったが」
「えっ!?ダシ?俺が!?」
何のこっちゃ…
またいつの間にか当て馬になってるの?俺。
「まあ、着いてみれば分かる…
トルセン!そろそろ着く頃だな?」
「はっ、先ほどアレクが先触れに出ました」
「うむ」
馬車はパカパカと順調に進む。
俺は混乱したまま馬車に揺られる。
「えっ、でもウィン兄がモロー君の事好きだとして、ディー兄は?」
「ああディーか?
セリンセ商会がお前につけた影と付き合っているぞ」
「えっ…えええええ!?」
か、かげ!?
それ誰!?
「結婚を前提に、だそうだ」
「何その急展開!!」
ついていけない。
ついていけないよ!?
俺の混乱はますます加速していく。
そうしてファセリア領北のホテルに着いてみると…
「殿下!ルースさん!お久しぶりです!」
「お待ちしておりました、両殿下!!」
「モロー君!?御者さん!?」
殿下の言った通り、
モロー君がウィン兄の隣で、
途中で別れた御者さんがディー兄の隣で…
それぞれ微笑んでいたのであった。
南ケルベラ大学では農学部の他に魔石工学部や魔生物学部もあり、学園との交流も進めたいとの事。
「魔石工学のほうは一般にも公開されていますから、うちから何人か一年間通わせて頂いております。
ですから、できれば魔生物学の方もと…」
「そうですね、魔石工学の一般受講者さんと同じ条件でなら出来るかもしれません。
校長に検討するようお願いしておきます」
さすがに学園をどうこうする権限は俺に無いので何とも言えないけどね…
なんて思っていると、殿下が言った。
「いっそ教師を交換したらどうだ?
ビスカリアにとっても、ここは最高の環境だろう」
「なるほど!」
「そういえばビスカリア卿とソラン様は、一部の魔生物と意思疎通を図れるとか…あれはどうやって?」
うっ…また雷か。
一般の人を属性開放したら、100%強制絶頂しちゃうよな…危険すぎる。
うん、出来ない時は出来ないと言おう。
それも大事。
「あれは雷魔法を中位まで覚えていないと出来ないんです。
今のところ再現できる魔道具の開発もしていませんので、技術を一般公開するのは難しいですね」
「何と、残念な…」
「魔法が使える事が前提だったんですか…」
がっかりする魔生物学の人々。
するとそれを聞いていたらしい魔石工学の先生が手を挙げて言った。
「ではその開発、我が校にやらせてください!」
「…良いんですか?
正直、元が取れるとは思えませんが…」
「うちは農学部が稼いでくれるので、研究費も少し余裕がありますし、魔石や素材は取り放題ですから」
「あっ、あー…なるほど!」
さすが鉱山とダンジョンの領地。
そして大学の教授陣はなかなかの筋肉…。
あれ?
もしかして属性開放しても問題ない…?
***
座談会は恙無く終了し、南ケルベラ大学を出てさらに南へ1日。
ここはなんとソラン先輩の実家、ファセリア領だ。
ちなみに東隣はアレクさんの実家でコスモス領…と言っても、叔父さん親子がいるだけで、アレクさんのご両親は2人とも今財務大臣と財務副大臣をやっているから里帰りはしないそうだ。
「ウィン兄とディー兄とは、ホテルで待ち合わせでしたっけ?」
「うむ、すでに到着しているそうだ」
「久しぶりに会う気がするなあ…モロー君いるかな」
「ああ、ウィンがしっかりやっていればな」
「……えっ?何?どういう事!?」
すると俺の疑問に殿下が答える。
「ああ、ウィンはモローが気に入っているんだ」
「えっ、そうなんですか!?」
「まさかお前をダシにしてまでモローの気を引こうとするとは思わなかったが」
「えっ!?ダシ?俺が!?」
何のこっちゃ…
またいつの間にか当て馬になってるの?俺。
「まあ、着いてみれば分かる…
トルセン!そろそろ着く頃だな?」
「はっ、先ほどアレクが先触れに出ました」
「うむ」
馬車はパカパカと順調に進む。
俺は混乱したまま馬車に揺られる。
「えっ、でもウィン兄がモロー君の事好きだとして、ディー兄は?」
「ああディーか?
セリンセ商会がお前につけた影と付き合っているぞ」
「えっ…えええええ!?」
か、かげ!?
それ誰!?
「結婚を前提に、だそうだ」
「何その急展開!!」
ついていけない。
ついていけないよ!?
俺の混乱はますます加速していく。
そうしてファセリア領北のホテルに着いてみると…
「殿下!ルースさん!お久しぶりです!」
「お待ちしておりました、両殿下!!」
「モロー君!?御者さん!?」
殿下の言った通り、
モロー君がウィン兄の隣で、
途中で別れた御者さんがディー兄の隣で…
それぞれ微笑んでいたのであった。
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