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卒業後
<最終話>当て馬にもワンチャンあったんだから…
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「アル、そっちお願い!」
「分かった、任せろ」
俺は今人生最大の事業に取り組んでいる。
それすなわち…
「ふんぎゃあああ」
「おんぎゃあああ」
「はーいはいはい、おしりキレイキレイしようねー」
「こらっ、小便を飛ばすな!うわっ」
双子の子育てである。
初夜でしこたまエッチしたのが効いたのか、それとも新婚旅行で毎日セックスしてたのが良かったのか…
子どもが出来るかどうかなんて不安が嘘みたいに身ごもったのだ。
しかも、一気に2人。
「ベルガモット教授の例を考えればこうなる事は分かっていたはずなのに…」
「7人いないだけましだと考えるべきだな」
毎日振り回されて大変だ。
乳母的な人(乳幼児養育係)がいるにはいるんだけど、あてにはできないのだ。
「あばー!うえぇぇ!」
「だー!うえぇぇん!」
「出したら飲むよね…」
「飲んだら出すしな…」
卒業後、俺たちの後を追うようにジョンさんとエルさまを筆頭に補佐局の皆が続々と結婚。
ローズ王国では16歳から結婚が認められているので、最年少のデューイ君やカート君も結婚してしまった。
カート君ちのお父様方がちょっぴりゴネて、大騒ぎになった事も記憶に新しい…。
と、そんなわけでちょっと前まで補佐局は出産ラッシュだった。
乳幼児養育係の圧倒的人員不足が起こり、いつの間にかゼフ父さんとロイ父さんまで駆り出されている。
なかなかエグイ。
そんな中、夏休みになるからってベルガモット教授と愉快な仲間たちも帰って来るのだ。
しかもあれからまた4人増えて…。
「結局これが一番楽なんじゃないかと思ってな」
といって笑う教授の神経が太すぎてヤバい。
年子で4つ子…あり得なさすぎる…。
上の2歳半チームがイヤイヤ&子ども返りで大騒ぎなのに笑って捌いてるベルガモット父ちゃん…
敬意以外なにも抱けない。
…そんなだから、俺は子どもが産まれる前から殿下に相談していた。
「王宮内に保育所を作りましょう」
「うむ、むしろなぜ今まで無かったのか分からん」
そういうわけで王宮の敷地で空きを探して、そこへ魔法工法で一気に建物を作ったは良いんだけど…
人材の確保が出来ておらず、まだオープンできていないのだ。
俺は双子に授乳しながら殿下に言う。
「施設だけは充実してるんだけどな…」
絵本におもちゃ、広い園庭に遊具は一通りあるし、先生たちの休憩室にはサウナと冷蔵庫も備えている。
「下心のあるやつが多すぎるんだ…
正室補佐局とどうにかしてお近づきになりたいのは分かるがな」
「…もうそれでも良くないですか」
正直、子どもの面倒を少しでも見てくれるなら…
幼少時教育もしていかなきゃならないけど。
「ちゃんと仕事をしてくれるのが前提ですけど、知恵や発想を欲しがってるだけなら害は無いですよ」
「…それもそうだな」
「誰だって、ひとやま当てるチャンスが欲しいのは分かりますしね」
「確かにな…」
そういうわけで、来週からトレッドさんとこの新聞に大々的に求人広告を打つことにした。
…原稿はこんな感じだ。
【仕事内容】保育士のサポート
オムツ替え、ミルク・離乳食の準備
園内清掃(トイレ・園庭含む)
子どもに危険が無いよう目を配る等
【時間】8:00~17:00/15:00~21:00
※交代制 ※休憩1H有
【年齢】18歳以上
【資格】オムツ交換ができる事
掃除・洗濯・簡単な炊事が出来る事
子どもの話をちゃんと聞ける事
★未経験者歓迎
★経験者優遇
★保育士資格保持者優遇
【待遇】保育士資格取得支援有
転職時推薦状有
昼食付
最低限、これぐらいできる人なら誰でも良い。
絵本の読み聞かせは乳幼児養育係がいるし、急な発熱は補佐局付きのお医者さんがいる。
剣技や魔法の指導は5歳からだ。
それまでは元気に育つだけで充分だから…
キャッチコピーはこうだ。
<★正室補佐局、育児スタッフ募集★>
爵位・身分不問!王宮で働けるチャンス!
誰にでも開かれた王室を目指すため。
平民だとか貴族だとか、そんな事で未来が決まる事が無いように。
家に縛られて不幸になる人が出なくなるように…。
「誰にでも、ワンチャンあってしかるべき!」
---< お し ま い >---
=======================
あとがき
1年以上にわたり更新してきましたこのお話は一旦ここで完結となります。
長らくお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
落ち着いたら、番外編で新婚旅行とウィン兄・ディー兄のお話や回収出来てないあれこれについて書いていこうと思います。
最初はこんなにたくさんの皆様に読んで頂けるとは思ってもおらず、感謝感激でございます。
本当にありがとうございました。
2023/3/30 紫蘇
「分かった、任せろ」
俺は今人生最大の事業に取り組んでいる。
それすなわち…
「ふんぎゃあああ」
「おんぎゃあああ」
「はーいはいはい、おしりキレイキレイしようねー」
「こらっ、小便を飛ばすな!うわっ」
双子の子育てである。
初夜でしこたまエッチしたのが効いたのか、それとも新婚旅行で毎日セックスしてたのが良かったのか…
子どもが出来るかどうかなんて不安が嘘みたいに身ごもったのだ。
しかも、一気に2人。
「ベルガモット教授の例を考えればこうなる事は分かっていたはずなのに…」
「7人いないだけましだと考えるべきだな」
毎日振り回されて大変だ。
乳母的な人(乳幼児養育係)がいるにはいるんだけど、あてにはできないのだ。
「あばー!うえぇぇ!」
「だー!うえぇぇん!」
「出したら飲むよね…」
「飲んだら出すしな…」
卒業後、俺たちの後を追うようにジョンさんとエルさまを筆頭に補佐局の皆が続々と結婚。
ローズ王国では16歳から結婚が認められているので、最年少のデューイ君やカート君も結婚してしまった。
カート君ちのお父様方がちょっぴりゴネて、大騒ぎになった事も記憶に新しい…。
と、そんなわけでちょっと前まで補佐局は出産ラッシュだった。
乳幼児養育係の圧倒的人員不足が起こり、いつの間にかゼフ父さんとロイ父さんまで駆り出されている。
なかなかエグイ。
そんな中、夏休みになるからってベルガモット教授と愉快な仲間たちも帰って来るのだ。
しかもあれからまた4人増えて…。
「結局これが一番楽なんじゃないかと思ってな」
といって笑う教授の神経が太すぎてヤバい。
年子で4つ子…あり得なさすぎる…。
上の2歳半チームがイヤイヤ&子ども返りで大騒ぎなのに笑って捌いてるベルガモット父ちゃん…
敬意以外なにも抱けない。
…そんなだから、俺は子どもが産まれる前から殿下に相談していた。
「王宮内に保育所を作りましょう」
「うむ、むしろなぜ今まで無かったのか分からん」
そういうわけで王宮の敷地で空きを探して、そこへ魔法工法で一気に建物を作ったは良いんだけど…
人材の確保が出来ておらず、まだオープンできていないのだ。
俺は双子に授乳しながら殿下に言う。
「施設だけは充実してるんだけどな…」
絵本におもちゃ、広い園庭に遊具は一通りあるし、先生たちの休憩室にはサウナと冷蔵庫も備えている。
「下心のあるやつが多すぎるんだ…
正室補佐局とどうにかしてお近づきになりたいのは分かるがな」
「…もうそれでも良くないですか」
正直、子どもの面倒を少しでも見てくれるなら…
幼少時教育もしていかなきゃならないけど。
「ちゃんと仕事をしてくれるのが前提ですけど、知恵や発想を欲しがってるだけなら害は無いですよ」
「…それもそうだな」
「誰だって、ひとやま当てるチャンスが欲しいのは分かりますしね」
「確かにな…」
そういうわけで、来週からトレッドさんとこの新聞に大々的に求人広告を打つことにした。
…原稿はこんな感じだ。
【仕事内容】保育士のサポート
オムツ替え、ミルク・離乳食の準備
園内清掃(トイレ・園庭含む)
子どもに危険が無いよう目を配る等
【時間】8:00~17:00/15:00~21:00
※交代制 ※休憩1H有
【年齢】18歳以上
【資格】オムツ交換ができる事
掃除・洗濯・簡単な炊事が出来る事
子どもの話をちゃんと聞ける事
★未経験者歓迎
★経験者優遇
★保育士資格保持者優遇
【待遇】保育士資格取得支援有
転職時推薦状有
昼食付
最低限、これぐらいできる人なら誰でも良い。
絵本の読み聞かせは乳幼児養育係がいるし、急な発熱は補佐局付きのお医者さんがいる。
剣技や魔法の指導は5歳からだ。
それまでは元気に育つだけで充分だから…
キャッチコピーはこうだ。
<★正室補佐局、育児スタッフ募集★>
爵位・身分不問!王宮で働けるチャンス!
誰にでも開かれた王室を目指すため。
平民だとか貴族だとか、そんな事で未来が決まる事が無いように。
家に縛られて不幸になる人が出なくなるように…。
「誰にでも、ワンチャンあってしかるべき!」
---< お し ま い >---
=======================
あとがき
1年以上にわたり更新してきましたこのお話は一旦ここで完結となります。
長らくお付き合い頂き、誠にありがとうございました。
落ち着いたら、番外編で新婚旅行とウィン兄・ディー兄のお話や回収出来てないあれこれについて書いていこうと思います。
最初はこんなにたくさんの皆様に読んで頂けるとは思ってもおらず、感謝感激でございます。
本当にありがとうございました。
2023/3/30 紫蘇
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