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学園6年目

駆け抜ける披露宴

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昨日の挙式に続き、今日は披露宴。

「今日の衣装もまた…」
「うん?何か問題があるか?」

ちょっと分かってきた。
結婚式の衣装もこの衣装も、どうやらデザインしたのはアルじゃないかって事…
少なくとも案は出しているだろう。

だってこの衣装、首に巻いた布から袖の長さの布が伸びていて、それが手首に巻かれた布に繋がっているんだ。

あやしい。

相変わらず背中はぱっくり開いてるし、肩は全開。
どう表現したもんか分からないけど、ハイネックのタートル部分から金太郎の前掛け的な物が付いている感じだろうか…そして首と手首は布で繋がってて、色は青。
宝飾品が指輪しか無いのが救い…

まだ2月なのに露出多すぎない?

結局白のケープで防寒対策してるの、本末転倒なのでは…。

「まあ…いっか」

今はお客様をお迎えするのが大事。

「おめでとうございます、両殿下」
「ありがとう大使殿」

各国の大使がまずやってきて、兄さんたちのサポートに着く。
補佐官のみんなもすでにやってきてお客様を案内してくれている。

「おめでとうございます、両殿下」
「有難う御座います」

それから昨日結婚式に参加してくれた皆と、いわゆる地方貴族の当主様、最後に俺の友人…という扱いのトレッドさんと色街の元締めさんとスラムの顔役に各大学の学長様方…

最初は晩餐会をするんだって言ってたんだけど、人数が多すぎて大ホールとその隣の庭園も開放して立食形式のパーティーになった。
最初はやたらジャガイモを使うメニューでどうしたもんかと思ったけど、立食形式ならメニュー数を増やせるし食材もばらけさせる事ができて一石二鳥……


「ルース、そろそろ中へ行くぞ」
「うん」



長すぎるお出迎えの後、大ホールから先に挨拶回りだ。
俺の事を苗床扱いする貴族はもういない。
心の中はどうかしらないけど、少なくとも表に出さない賢さの人が集まっている。

ま、それで充分…なんて思いながらニコニコと挨拶を受け続ける俺。

相変わらず学長様からは論文と質問状の束を渡され続ける。

「是非わが校にも視察を…」
「ええ勿論です、日程の方は側近が把握しておりますから、ご確認頂ければ」

卒業後の全国行脚でちゃんと話し合えるようにしとかないとな。
後で行く順番を確認しとこう…。

「ウィン兄、これ補佐局のサロンに…」
「ええ~また?すごいな」
「すごくは無いよ、ものすごくいつも通り」

しかし大学って各領地に1つはあるのな。
神殿も大体あるし…

うちには両方ないけどね!!

そうして来てくれた人全員との会話を目指して奮闘していたら、遠くから気になる声が聞こえた。


「兄上、来て下さったのですか」
「そりゃ王太子殿下の結婚式なら来るしかないだろう…補佐局入りおめでとう、セント」
「ありがとう兄上!」

あっ、シンカンチョーのお兄さん!?
似てる!!

「おいルース、よそ見するな」
「いや、シンカンチョーのお兄さんを初めて見たので」

また後で挨拶しないとな。
おっといけない、来客をもてなさねば…

「おめでとうございます両殿下」
「有難う御座います」

政治的な会話は殿下にお任せして、俺はその他の事に対応する。

大ホールが終わったら園庭、それが終わったらようやく食事…そしてダンス。

「目が回りそうです」
「何か飲み物だけでも取ってくるか…」

俺もアルもお疲れだ。
頭を回転させ続けるのには慣れてるけど…
この量はエグい。

「もうダンスはパスしても…」
「それはならん」

ええ…なんでよ…。


大ホールの端でジュースを2杯ほど一気し、気合いを入れ直して園庭へ出る。

園庭では相変わらず魔法馬鹿たちによる「ちょっとファイヤー」実演会が行われ、ノースさんがコーヒーをドリップし続け、それをトレッドさんとガーベラ先輩がサーブする…という光景が見られた。



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