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学園6年目

結婚前夜 2

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父さんたちに引き続き兄さんたちも続々と帰ってきて、久々の家族団らんを楽しんだ次の日。
俺は王宮に呼び出されて式典の最終打ち合わせをした後、明日の事もあるから王宮に泊まれ…と言われたので殿下の部屋へ行くことにした。

「ついに、明日ですね」
「ああ…やっとここまで来た」

殿下は王子様から王太子様になり、
俺は貧乏貴族の十二男から王太子正室になる。

早く寝て明日に備えようという事になり、シャワーは明日の朝することにした。
礼服を着る前に風呂に入ったほうが汚れなくていいだろう、との事…

俺はアルに言う。

「俺の誕生日が遅いせいで、初夜が遅れてごめんね?」
「たかが2日だ、その間にも行事が山ほどある。
 丁度良いくらいだ…ところで、何だそれは」

そう、明日が結婚式だというのにベッド横のテーブルには書類がある。
卒業するまでで良いって言われたんだけど…
子どもの事をほっとくわけには行かなくて。

「学園内に保育所を作る案を正式に提出しようと思って、第一寮の「閨係居住区」を改造する案を作ったんだ。
 そもそも自分がお金を払えば寮に閨係を住まわせられるんだし、ぶっちゃけ要らないかなって。
 あそこならお庭もあるし、絵画もあるし、音楽も毎日聞こえるでしょ、だから…」
「音楽科の棟にするんじゃなかったのか?」
「それが、改装を始めてから気づいたの。
 手つかずの場所があるって」
「なるほど?」
「本当は第12寮を改造する案もあったけど、俺と殿下の思い出は残したいから…こっちにした」

それに来年入学予定の生徒たちから申し込みが殺到してるんだって…確かに、王太子と共通の話題が1つ増やせるなら安いもんか。
実際安いしね…。

「そうか…ならそれで良い。
 ところでルース、それを今からどうするんだ?」
「提出前の見直しを…少し」

俺は書類に手を伸ばした。
すると殿下はその手を掴んだ。

「ならん」
「でも」
「な・ら・ん」
「……はい」

確かに、こんな時にまで仕事だなんて…
どうかしてるよな、俺。


アルはベッドの上に座り、俺を誘う。

「来い、ルース」
「うん……」

俺はアルの隣に座り、軽いキスを何度も交わす。
やがてそれは深くて濃いキスになる。

「ん…ふ…んは、ふぅ…」

アルとのキスも、もう何度目だろう。
最初のキスは昼食会だったな…
あれはびっくりした。

「初めてのキスから、随分上手くなった」
「ん…ふ、そう、かな?あん…っ」

いつの間にか感じる様になった場所へ優しく口づけられる。
耳の裏、首筋、鎖骨のあたり…

「今日は印をつけるわけにいかんからな」
「んっ…ふぅ、あっ…いい…」

優しくパジャマのボタンが外される。
3つ目まで開けられたところで、肩からストンと下へ落ちる。
そのままそっと押し倒される。
アルが俺をじっと見つめて言う。

「ふふ……可愛い」
「…ん、ありがと」

俺がお礼を言うと、アルはにっこり笑ってまた口づけを再開する。
キスしながら俺を裸にしていくアル…

最近少し分かってきた。
アルも興奮してるんだって…
俺だけじゃないんだ、って。

「アルも、脱いで…?」
「ん…分かった」

お互い裸になって、ベッドに横たわる。
優しく愛撫し合うだけの時が過ぎ、熱が溜まる。

「あ…っ、ふ、ある…すき」
「ああ、俺もだ…」

触られるところが全部キモチイイ…

俺は快楽を拾うのに没頭し、
アルは快楽を与えるのに集中する。

初夜までに、俺の全身を開発する、だって…

アルったら、何考えて、るんだろ、

「んっ…あっ、はぁっ…ん」

ま、いっ、かぁ…

***

お互いに何度か射精した後、タオルで体を拭きながらふと我に帰る。

「提出書…見直さなきゃ」
「卒業までに出せば良いのだろう?
 今やらねばならない理由があるのか」

アルはぶすくれた顔で俺を見る。
仕事と俺とどっちが大事なんだ、という言葉が今にも出て来そうな顔…

だから、俺は正直な気持ちをアルに伝える。

「仕事してないと…不安なんだ」
「何がだ?」
「自分の存在意義が、子どもを作る事だけに固定されそうな気がして…
 それじゃ今までのユーフォルビアと一緒だから」

俺がそう言うと、アルは俺のこめかみにキスしてから言う。

「安心しろ。
 仕事がお前を追いかけてくる。
 今のこれみたいにな」
「…そうかな」

アルは微笑んで続ける。

「ルースが言ったんだろう?
 結婚したら経済効果や政治的思惑無しの行動は出来なくなる…つまり、行動の全てが仕事になる。
 そして多くの研究者が正室補佐局入りを目指してやって来る……彼らが目指す高みの一つとして、正室補佐局は認識されるようになるはずだからな。
 彼らはルースと共に研究がしたいと、たった7つの座を目指して…」
「えっ…7?」

あれ?
シンカンチョーとダグさんを合わせて21人だから、残りは9のはずじゃ…

俺が戸惑っていると、殿下が言った。

「ああ、言ってなかったか?
 ジュリとミゼが来ることになったんだ。
 ジュリは色街の、ミゼはスラムの連絡係としてな」
「えええええ」

初耳!!
ここに来てまた増えんの!?

一体どうなるんや正室補佐局……!!
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