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学園6年目
トリプル新年会 2
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殿下の俵担ぎ疾走により、パレードは無事終了。
両陛下とおじいちゃん先生は終了地点から王宮へ戻り、俺と殿下は馬車を乗り換えて色街方面へ向かう。
さっきの謁見で抱えた資料を読みながら途中の神殿へ到着。
視察…といっても、お菓子作りのアドバイスと孤児院の子どもたちにグッズ製作の寸志を手渡して終わりだ。
「今年のグッズ製作ではお世話になりました。
来年も良い物を作ってくださいね」
「はい!」
「来年はグッズの提案もしてもらうからね。
選ばれた施設には金一封だよ!よろしくね」
「はい!」
実はこの寸志渡し視察、MDMのみんなや地方アイドルの皆様にも手伝ってもらって全国展開しているんだ。
視察先でダンスを教えたり歌を歌ってあげたりして欲しいって事で、ちゃんとそのギャラも出してる。
彼らが自力でチャリティーできるようになるまでにはまだ時間がかかる。
そして、寄付をすると良い事があるのが分かる様になるにも…。
何でも少しずつだな。
まずはチャリティーコンサートから始めよう。
王宮のダンスパーティーにダンピエラ男爵も来るだろうし、イドラ君とモロー君も呼んで話せば、きっと良い案も出てくるはず…。
お金の事はプロに相談するのが一番だ。
寸志を渡し終わって、ここの神官長さんと話していると神殿の入口から声がした。
「殿下!坊ちゃま!お待たせ致しました」
「あっ、リチャードさん!」
「乗合馬車のダイヤ変更をすっかり忘れておりまして…申し訳ありません」
「はは、間に合ったんだからいいよ!
では神官長様、我々はここで失礼致します」
「くれぐれも子どもたちの事を頼む」
「はい、お任せください!」
執事リチャードと合流し、色街方面へ馬車を走らせる。
ま、走らせてるのはウィン兄とディー兄だけど!
俺が旅行誘致パンフを読んでいる間にいつものレストランに到着。
「さすが早い…」
「馬同士の息を合わさせるのがコツだよ!
行ってらっしゃい、ルー」
「行ってきます!」
今年はリチャードさんへの引継ぎもあるし、全員と挨拶だけでもしておかなきゃ。
こういうところは、不義理が一番こじれるからな。
一歩間違えば命が無くなるかもしれない緊張感は、ちゃんと持っておかないと…。
俺は気を引き締めて、会場への階段に足をかけた。
学園都市の「元締め」さんが俺に気付いて片手を上げた。
「ルース殿、今年も来てくれたのか」
「ええ、今年も宜しくお願いします」
「手紙で読んだが、来年からお前のとこの執事が代わりに来るんだって?」
「ええ、リチャードなら色街の事情に詳しいですし、適任かと」
ぴり…っと緊張が走る。
所詮お前も貴族なのか…という空気だ。
仕方が無い話だけど。
「そうか…やっぱり王太子の正室殿下がこういうとこに出入りしてちゃな」
「まあ…、そうなんですよね。
あの名簿を頂いてからというもの、そういう連中にこの場に来てる理由がバレたみたいなんですよ。
一昨年から道中で多少物騒な目に遭うようになってですね…。
それで、万が一、子どもを2人産む前に何かあったら困るって事で」
名簿を頂いて色々と捗った事を感謝している、でもそのせいで面倒事も増えた…という、痛し痒しな話に持って行く。
「へえ?」
「去年は行きの馬車と帰りの馬車を変えてみたり…対策はしてるんですけどね。
全く、そんな金払うくらいなら最初からお店とお相手に礼儀を払いなさいよって…」
「違いない」
ハハハ…と笑って丸く収める。
本当は「この時期異様に忙しいから」だけどね。
王宮から意外と近いところでやってるから来れなくはないんだけど、しんどいのさ…。
「そういうわけですから、今後はうちのリチャードを宜しくお願い致します…
リチャードさん!」
「こ、今後よろしくおねがいします」
「ああ、分かった」
さてと、ここから挨拶回りスタートだ。
気合い入れてこ!!
***
結局新年会は2時間で終わらず、申し訳ないけどリチャードさん1人を残して俺と殿下は出発。
元庭師トリエステも居たから何とかなるだろう…
なってくださいお願いします。
馬車は次の場所へと移動…次は養老院だ。
「お疲れだったなルース」
「まあ…反発は予想されてましたからね。
リチャードさんが上手い事やってくれるのを後は祈るだけです」
「時々抜き打ちで視察にでも行くか?」
「そうしましょう、乱れがちな場所ですしね」
行きに読めなかった企画書に目を通す。
どうやらこの方、自分の領地でもフェスがしたいらしい…
ふーんなるほどね。
「しかし、みんな色々考え始めましたね」
「いい傾向だ、何もしないでいると現状すら維持できんからな」
「確かに」
馬車はどんどん速度を上げる。
次の場所は少し遠いらしい。
養老院の視察が終わったら、次は王宮でダンス…
「ダンスか…」
はー…憂鬱。
両陛下とおじいちゃん先生は終了地点から王宮へ戻り、俺と殿下は馬車を乗り換えて色街方面へ向かう。
さっきの謁見で抱えた資料を読みながら途中の神殿へ到着。
視察…といっても、お菓子作りのアドバイスと孤児院の子どもたちにグッズ製作の寸志を手渡して終わりだ。
「今年のグッズ製作ではお世話になりました。
来年も良い物を作ってくださいね」
「はい!」
「来年はグッズの提案もしてもらうからね。
選ばれた施設には金一封だよ!よろしくね」
「はい!」
実はこの寸志渡し視察、MDMのみんなや地方アイドルの皆様にも手伝ってもらって全国展開しているんだ。
視察先でダンスを教えたり歌を歌ってあげたりして欲しいって事で、ちゃんとそのギャラも出してる。
彼らが自力でチャリティーできるようになるまでにはまだ時間がかかる。
そして、寄付をすると良い事があるのが分かる様になるにも…。
何でも少しずつだな。
まずはチャリティーコンサートから始めよう。
王宮のダンスパーティーにダンピエラ男爵も来るだろうし、イドラ君とモロー君も呼んで話せば、きっと良い案も出てくるはず…。
お金の事はプロに相談するのが一番だ。
寸志を渡し終わって、ここの神官長さんと話していると神殿の入口から声がした。
「殿下!坊ちゃま!お待たせ致しました」
「あっ、リチャードさん!」
「乗合馬車のダイヤ変更をすっかり忘れておりまして…申し訳ありません」
「はは、間に合ったんだからいいよ!
では神官長様、我々はここで失礼致します」
「くれぐれも子どもたちの事を頼む」
「はい、お任せください!」
執事リチャードと合流し、色街方面へ馬車を走らせる。
ま、走らせてるのはウィン兄とディー兄だけど!
俺が旅行誘致パンフを読んでいる間にいつものレストランに到着。
「さすが早い…」
「馬同士の息を合わさせるのがコツだよ!
行ってらっしゃい、ルー」
「行ってきます!」
今年はリチャードさんへの引継ぎもあるし、全員と挨拶だけでもしておかなきゃ。
こういうところは、不義理が一番こじれるからな。
一歩間違えば命が無くなるかもしれない緊張感は、ちゃんと持っておかないと…。
俺は気を引き締めて、会場への階段に足をかけた。
学園都市の「元締め」さんが俺に気付いて片手を上げた。
「ルース殿、今年も来てくれたのか」
「ええ、今年も宜しくお願いします」
「手紙で読んだが、来年からお前のとこの執事が代わりに来るんだって?」
「ええ、リチャードなら色街の事情に詳しいですし、適任かと」
ぴり…っと緊張が走る。
所詮お前も貴族なのか…という空気だ。
仕方が無い話だけど。
「そうか…やっぱり王太子の正室殿下がこういうとこに出入りしてちゃな」
「まあ…、そうなんですよね。
あの名簿を頂いてからというもの、そういう連中にこの場に来てる理由がバレたみたいなんですよ。
一昨年から道中で多少物騒な目に遭うようになってですね…。
それで、万が一、子どもを2人産む前に何かあったら困るって事で」
名簿を頂いて色々と捗った事を感謝している、でもそのせいで面倒事も増えた…という、痛し痒しな話に持って行く。
「へえ?」
「去年は行きの馬車と帰りの馬車を変えてみたり…対策はしてるんですけどね。
全く、そんな金払うくらいなら最初からお店とお相手に礼儀を払いなさいよって…」
「違いない」
ハハハ…と笑って丸く収める。
本当は「この時期異様に忙しいから」だけどね。
王宮から意外と近いところでやってるから来れなくはないんだけど、しんどいのさ…。
「そういうわけですから、今後はうちのリチャードを宜しくお願い致します…
リチャードさん!」
「こ、今後よろしくおねがいします」
「ああ、分かった」
さてと、ここから挨拶回りスタートだ。
気合い入れてこ!!
***
結局新年会は2時間で終わらず、申し訳ないけどリチャードさん1人を残して俺と殿下は出発。
元庭師トリエステも居たから何とかなるだろう…
なってくださいお願いします。
馬車は次の場所へと移動…次は養老院だ。
「お疲れだったなルース」
「まあ…反発は予想されてましたからね。
リチャードさんが上手い事やってくれるのを後は祈るだけです」
「時々抜き打ちで視察にでも行くか?」
「そうしましょう、乱れがちな場所ですしね」
行きに読めなかった企画書に目を通す。
どうやらこの方、自分の領地でもフェスがしたいらしい…
ふーんなるほどね。
「しかし、みんな色々考え始めましたね」
「いい傾向だ、何もしないでいると現状すら維持できんからな」
「確かに」
馬車はどんどん速度を上げる。
次の場所は少し遠いらしい。
養老院の視察が終わったら、次は王宮でダンス…
「ダンスか…」
はー…憂鬱。
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