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学園6年目

生徒会の引継ぎ

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生徒会ではいち早く、学園祭の下準備が始まった。
指揮を執るのは当然生徒会長である殿下だ。
新学期に募集した新メンバーは24人中22人が残った。
…はてさて、ここから何人残るやら。

現在、フィーデ君の下で書記をしているのが10人。
プリムラ君の下で会計をしているのが8人。
そして…俺の下で副会長の仕事を習っているのが4人。

あれ、俺いつの間に副会長なん?
副会長ってフィーデ君だったのでは…

「書記の仕事はフィーデしか知らないんだもん、副会長のことはルースが責任取らないとぉ」
「プリムラ君だって副会長…」
「会計の仕事は僕しか知らないもーん」
「……」

確かに去年の副会長と会計をドロップアウトさせたのは俺だけど、プリムラ君に言われると何かムカつく。

お前に責任とか、一番言われたないわ!!
こんちくしょう!!


ちなみに副会長の仕事は、会長不在時に指揮を執る事と、会長の方針に基づいて交渉を行う事…
というわけで、ぞろぞろと4人の新人を引き連れて食堂の個室へやってきた…んだけど。

「ルース殿、そちらの4人は?」
「新しい生徒会役員です。
 皆さん、こちらサマリア・アンジャベル卿と、えー…スフィア・でいらっしゃいます」
「は、初めまして」
「ああ、宜しく」
「ルースさん、私の事は今まで通り「クリビア」で結構ですよ?
 皆様、宜しくお願い致しますね」
「ヨロシクオネガイシマス」

…いきなり冒険者ギルドの2トップと交渉とか、先制パンチがすぎるかもしれない。

***

「早速、先日お尋ねした件についてどのように検討頂いたかお聞かせ願いたい」
「学園の武術大会に冒険者ギルドからの参加者枠を設ける事について、ですね。
 その件につきましては…」

俺は壁で見学している4人にも分かる様に、ギルドから来た要望について説明しつつ検討内容を話す。
アンジャベル卿は腕組みをして難しい顔。

「ふむ、なるほど…予選会か」
「できればギルドの各管轄区から1名ずつまでにして貰いたいんです、そうしないと1日で終わらなくなるので」
「…時間制限をつけても?」
「そうですね、制限時間10分、入れ替えで5分…と考えて、1時間で4試合。
 太陽が出ている7:00~17:30の間で開催となりますと、最高でも42試合。
 ということはトーナメント制ですと43名が限界です」
「ギルドの管轄区の数、ということは18か…半々で21では駄目なのか」
「そうですね、騎士団から最低限25枠は確保してくれ、との要望がありまして」

すると、スフィア・クリビア改めスフィア・グロリオサになったクリビアさんが言う。

「武術大会と騎士団に何の関係が?」
「各騎士団から毎年スカウトに来られるんです。
 近衛含め騎士団が5つあるので、均等に5人ずつという事で」
「それは毎年になりそうか?」
「いや、今年のやり方で上手く行かなければ都度変えていかないといけませんから、何とも」
「ふむ…ということは、今後もギルドからの参加について毎年話し合わねばならんという事になるか」
「そうなりますね」

そう言ってチラリと見学者4名を見ると…
全員が必死に首を横にフルフルしている。

くくく…と笑いながらアンジャベル卿が言う。

「…どうやら今後も、この話はルース殿としたほうが良さそうだな?」
「いやいや来年までには鍛えておきますから」

そんなこと言ってたらいつまで経っても成長しないじゃん!
ちゃんと代替わりしてもらわないと…って、そこの4人、何を全力で頷いとんねん。

俺は4人にも聞こえる様に言う。

「まあ交渉事ってのは初対面の時が一番緊張するんで…外部関係者とは順次顔つなぎして行くつもりですから、大丈夫ですよ」

あ。初対面と言えば。

「そういえばダンピエラ男爵とはお話されました?」
「いや、まだだ」
「この後お時間あったら…男爵と今晩第1砦で会食するんですけど、ご一緒にいかがです?」
「ふむ…特に用は無いし、ついでに済ませられるなら有難い」
「すみません、私は息子のお迎えが…」
「旦那様に頼んでおけば良いのでは?
 この時間なら魔法棟のどこかにおられますよ」
「そうでした、学園勤務になったんでしたね」

あ、そうだ。
だったらついでに…

「そこの4人も、参加する?」
「えっ…」「あ、あの」
「いや、無理なら無理でいいんだけど」
「えっと…だったら…」


…全員「無理です」だって。

何がやねん!!
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