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学園6年目
詰め込み過ぎた宴 2
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エルさまは言った。
「本日お集まりの皆様には、証人になって頂く」
そして王弟殿下を担いだスプーラ殿下と、並んで大広間へ堂々と入場した。
その後ろにはジョンさんとゴード先輩…
場内は騒然となる。
壇上に上がると、ざわつく場内を鎮めるようにスプーラ殿下は言った。
「皆の者、今までの政治、大変苦労を掛けた。
王家を代表して謝罪する。
そして、この混乱続きの国政を裏で操っていた男を紹介しよう。
我が叔父、ウェルズ・カメリア。
そのイチモツで玉座を手に入れようとした男だ」
ちょ、その説明要る!?
「スプーラ殿下、言い方…」
「ん?はっきりチン「わーーー!!」
スプーラ殿下の発言をさえぎるゴード先輩。
さえぎった声がでかすぎて全員が固まる。
しばらくの沈黙の後、エルさまが咳払いをして、話し始める。
「お父様、叔父上がなぜこのような目に合わされているのか分かりますか?」
「な、何を言っているんだ、エル…」
お父様、つまり正室陛下は目を泳がせる。
エルさまは無慈悲に告げる。
「お父様、あなた叔父上と不倫していましたね?」
「!!!」
「そして、叔父上はお父様を通じて、父上の出す勅書の中に偽物を紛れ込ませた。
自分の派閥に都合の良いように法律をいじったり税制を変えてみたり、騎士の給与を下げてみたり魔法使いにだけ賞与を与えてみたり、官吏の登用試験内容を直前で変更したり漏らしてみたり、おまけに司法にも手を回して勝手に裁判官を首にしたり…。
恐ろしい事に書斎から玉璽が出てきましたよ?
王の執務室にしかないはずのそれがね」
青いを通り越して白い顔の正室陛下。
兄と同じ赤黒い顔になる王弟殿下。
ちなみに王様はもう白目を剥いて放心状態。
エルさまはさらに続ける。
「そして、そちらの側室の方々。
叔父上に『次の国王の側室にしてやる』と言われ、彼と肉体関係を持ちましたね?」
すると、最後に企画されていた側室披露宴の為に近くに控えていた、それらしい数人が震えだす。
「そ、その、こ、断りきれず、仕方なく…」
「家族がやたら乗り気になって、無理矢理…!」
「わ、私は、父が騙されて、借金を、それで」
それを聞いたエルさまは言う。
「つまり、脅されたということですね」
そしてスプーラ殿下が追い打ちをかける。
「おやおや叔父上、自慢のチ「わー!!」で篭絡したのではないのですか」
隙あらば男性器の名前を言おうとするスプーラ殿下と、大声でカバーするゴード先輩。
絶妙なコンビ芸だな…
「だ、だ、黙れ、この礼儀知らずが!」
「恥知らずの叔父上に言われたくありませんな!
何のために私の立太子に反対されたのです?
正々堂々私と勝負する為ではなかったのですか?
少なくとも私はそう信じておりましたよ。
御前会議で自分の方が次の王に相応しいと訴え出れば、この国をどうしていくべきなのかの議論も出来たでしょうに」
「う、うるさい!黙れ!!」
取り乱してがなり散らす王弟殿下に対し、スプーラ殿下は真面目なトーンで語りかける。
そしてエルさまが静かに言い放つ。
「黙るのは叔父上の方ですよ?
これはまだ序の口なのですから…ねえ兄上」
「全くだ」
兄弟仲が悪かったはずの2人の息の合った掛け合いに、集まった貴族の方々がまたもざわつく。
そりゃそうだ、その事を前提に真っ二つに分かれてたんだもん。
それが崩れたら混乱するよな。
そのざわめきを無視してエルさまは続ける。
「そして叔父上、彼らに語った「次の国王」とは、兄上の事ではなくあなたの事だったのでしょう?」
「し、知らん!これは罠だ!」
大声で無実を訴える王弟殿下。
そしてあろうことか、こっちに矛先を向ける。
「そ、そうだ、そこの連中が!
これはローズが我が国を滅ぼそうと、私に有りもしない罪を着せて内乱を誘発するために…」
必死にこちらを睨みつける王弟殿下。
その言葉にため息をつきつつ、殿下が言う。
「本当に頭が足りんのだな。
ローズがカメリアを併合して何がある?
領土が増え、領民が増えても、無駄な血が流れ、国は荒れ、税収は下がり、金は出て行く。
おまけに国際的な信用も下がるだろう。
良い事にはならないと断言できるな。
だったら友好関係を強める方が、ずっと建設的だ。
それにそんな回りくどい事をせずとも、このまま放っておけば勝手に国が傾くだろうしな」
「なっ…!!」
そしてトドメのお言葉を吐く。
「時流に逆らって帝国再興を目論むような連中と懇意になったのが運の尽きだ」
「!!」
…そうだ、もしかしたら…でもやっぱ駄目だ。
王弟殿下も闇魔法の被害者かもしれない。
やり口を全て吹き込まれていたのかもしれない。
それでもやはり罪は消えない。
王位簒奪は、失敗=有罪。
その為に隣国の権力者に近づいたのなら、その時から罪になることは分かっていたはずだからだ。
殿下の言葉が終わり、入場口から大量の証拠品と証拠書類をワゴンに乗せたウィン兄とディー兄が入って来る。
そしてこういう時用の恭しい口調で言う。
「証拠はこちらに。
エルグラン殿下、こちらが偽の玉璽でございます」
「ありがとうございます、これで叔父上が勝手に出した勅書がどれかハッキリしますね」
「もう大分判別は進んでいるがな!
俺の側近は書類事に関して大変に優秀なのだ。
共にあらゆる部署の仕事を捌いてきたからな」
だから違和感のある命令に関する事は大体覚えているのだそうだ。
それで怪しい勅書については大体把握済みだそう…
蓄積ってすごいな。
スプーラ殿下とゴード先輩が畳み掛ける。
「さて、この責任をどうやって取って頂くか。
更には先日、無辜の民を自分の目的達成の為に略取し、虐待を加えた罪も償って頂かねばな」
「ええ、エルグラン殿下の光魔法がなけば彼らは命を落としていたでしょうからね」
「この際、私とゴードを私兵に襲わせた事は不問にして差し上げますよ。
彼らへの補償を手厚くするのならね」
今度は左側の魔法系統の家だけがざわつく。
エルさまが風以外の属性を手に入れた事がこれではっきりしたからだ。
…とはいっても、おじいちゃん先生たちが突撃した領主屋敷にいた人質たちは地下牢の大掃除をさせられていただけらしいから、むしろこっちが領主に謝罪と賠償をしなきゃならないんだけどね。
突貫で土魔法やら何やらを組み合わせたりで見た目だけは直してきたけど…こっちこそ国際問題だよ。
「…まあ、あちらには帰りに謝罪だけはして帰りましょうね」
「そうじゃのう…やりすぎたわい」
「だから止めたじゃないですか」
「すみません…」
まあ、それはそれ。
壇上での断罪は大詰め…
皆さん、着いてきてる?
「本日お集まりの皆様には、証人になって頂く」
そして王弟殿下を担いだスプーラ殿下と、並んで大広間へ堂々と入場した。
その後ろにはジョンさんとゴード先輩…
場内は騒然となる。
壇上に上がると、ざわつく場内を鎮めるようにスプーラ殿下は言った。
「皆の者、今までの政治、大変苦労を掛けた。
王家を代表して謝罪する。
そして、この混乱続きの国政を裏で操っていた男を紹介しよう。
我が叔父、ウェルズ・カメリア。
そのイチモツで玉座を手に入れようとした男だ」
ちょ、その説明要る!?
「スプーラ殿下、言い方…」
「ん?はっきりチン「わーーー!!」
スプーラ殿下の発言をさえぎるゴード先輩。
さえぎった声がでかすぎて全員が固まる。
しばらくの沈黙の後、エルさまが咳払いをして、話し始める。
「お父様、叔父上がなぜこのような目に合わされているのか分かりますか?」
「な、何を言っているんだ、エル…」
お父様、つまり正室陛下は目を泳がせる。
エルさまは無慈悲に告げる。
「お父様、あなた叔父上と不倫していましたね?」
「!!!」
「そして、叔父上はお父様を通じて、父上の出す勅書の中に偽物を紛れ込ませた。
自分の派閥に都合の良いように法律をいじったり税制を変えてみたり、騎士の給与を下げてみたり魔法使いにだけ賞与を与えてみたり、官吏の登用試験内容を直前で変更したり漏らしてみたり、おまけに司法にも手を回して勝手に裁判官を首にしたり…。
恐ろしい事に書斎から玉璽が出てきましたよ?
王の執務室にしかないはずのそれがね」
青いを通り越して白い顔の正室陛下。
兄と同じ赤黒い顔になる王弟殿下。
ちなみに王様はもう白目を剥いて放心状態。
エルさまはさらに続ける。
「そして、そちらの側室の方々。
叔父上に『次の国王の側室にしてやる』と言われ、彼と肉体関係を持ちましたね?」
すると、最後に企画されていた側室披露宴の為に近くに控えていた、それらしい数人が震えだす。
「そ、その、こ、断りきれず、仕方なく…」
「家族がやたら乗り気になって、無理矢理…!」
「わ、私は、父が騙されて、借金を、それで」
それを聞いたエルさまは言う。
「つまり、脅されたということですね」
そしてスプーラ殿下が追い打ちをかける。
「おやおや叔父上、自慢のチ「わー!!」で篭絡したのではないのですか」
隙あらば男性器の名前を言おうとするスプーラ殿下と、大声でカバーするゴード先輩。
絶妙なコンビ芸だな…
「だ、だ、黙れ、この礼儀知らずが!」
「恥知らずの叔父上に言われたくありませんな!
何のために私の立太子に反対されたのです?
正々堂々私と勝負する為ではなかったのですか?
少なくとも私はそう信じておりましたよ。
御前会議で自分の方が次の王に相応しいと訴え出れば、この国をどうしていくべきなのかの議論も出来たでしょうに」
「う、うるさい!黙れ!!」
取り乱してがなり散らす王弟殿下に対し、スプーラ殿下は真面目なトーンで語りかける。
そしてエルさまが静かに言い放つ。
「黙るのは叔父上の方ですよ?
これはまだ序の口なのですから…ねえ兄上」
「全くだ」
兄弟仲が悪かったはずの2人の息の合った掛け合いに、集まった貴族の方々がまたもざわつく。
そりゃそうだ、その事を前提に真っ二つに分かれてたんだもん。
それが崩れたら混乱するよな。
そのざわめきを無視してエルさまは続ける。
「そして叔父上、彼らに語った「次の国王」とは、兄上の事ではなくあなたの事だったのでしょう?」
「し、知らん!これは罠だ!」
大声で無実を訴える王弟殿下。
そしてあろうことか、こっちに矛先を向ける。
「そ、そうだ、そこの連中が!
これはローズが我が国を滅ぼそうと、私に有りもしない罪を着せて内乱を誘発するために…」
必死にこちらを睨みつける王弟殿下。
その言葉にため息をつきつつ、殿下が言う。
「本当に頭が足りんのだな。
ローズがカメリアを併合して何がある?
領土が増え、領民が増えても、無駄な血が流れ、国は荒れ、税収は下がり、金は出て行く。
おまけに国際的な信用も下がるだろう。
良い事にはならないと断言できるな。
だったら友好関係を強める方が、ずっと建設的だ。
それにそんな回りくどい事をせずとも、このまま放っておけば勝手に国が傾くだろうしな」
「なっ…!!」
そしてトドメのお言葉を吐く。
「時流に逆らって帝国再興を目論むような連中と懇意になったのが運の尽きだ」
「!!」
…そうだ、もしかしたら…でもやっぱ駄目だ。
王弟殿下も闇魔法の被害者かもしれない。
やり口を全て吹き込まれていたのかもしれない。
それでもやはり罪は消えない。
王位簒奪は、失敗=有罪。
その為に隣国の権力者に近づいたのなら、その時から罪になることは分かっていたはずだからだ。
殿下の言葉が終わり、入場口から大量の証拠品と証拠書類をワゴンに乗せたウィン兄とディー兄が入って来る。
そしてこういう時用の恭しい口調で言う。
「証拠はこちらに。
エルグラン殿下、こちらが偽の玉璽でございます」
「ありがとうございます、これで叔父上が勝手に出した勅書がどれかハッキリしますね」
「もう大分判別は進んでいるがな!
俺の側近は書類事に関して大変に優秀なのだ。
共にあらゆる部署の仕事を捌いてきたからな」
だから違和感のある命令に関する事は大体覚えているのだそうだ。
それで怪しい勅書については大体把握済みだそう…
蓄積ってすごいな。
スプーラ殿下とゴード先輩が畳み掛ける。
「さて、この責任をどうやって取って頂くか。
更には先日、無辜の民を自分の目的達成の為に略取し、虐待を加えた罪も償って頂かねばな」
「ええ、エルグラン殿下の光魔法がなけば彼らは命を落としていたでしょうからね」
「この際、私とゴードを私兵に襲わせた事は不問にして差し上げますよ。
彼らへの補償を手厚くするのならね」
今度は左側の魔法系統の家だけがざわつく。
エルさまが風以外の属性を手に入れた事がこれではっきりしたからだ。
…とはいっても、おじいちゃん先生たちが突撃した領主屋敷にいた人質たちは地下牢の大掃除をさせられていただけらしいから、むしろこっちが領主に謝罪と賠償をしなきゃならないんだけどね。
突貫で土魔法やら何やらを組み合わせたりで見た目だけは直してきたけど…こっちこそ国際問題だよ。
「…まあ、あちらには帰りに謝罪だけはして帰りましょうね」
「そうじゃのう…やりすぎたわい」
「だから止めたじゃないですか」
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