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学園6年目

夜の結婚式

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すっかり日が暮れ、今は夜。
煌びやかな星空の下、幸せそうな2人が歩く。
それを待ち構えていた俺たちは、一斉に薔薇の花びらを蒔いた。

「おめでとう!スプーラ殿下!」
「おめでとうございます、兄上!」
「おめでとうゴード先輩!」
「しっかりやれよゴード!」

ようやく漕ぎつけた結婚式。
新郎2人も俺たちも、衣装はヘロヘロだし靴もドロドロ。
だけど一生忘れられない結婚式になったことは確かだ…この後の処理が大変だけど。

スプーラ殿下曰く、

「父達の後ろで糸を引くものがいるかもしれない、と側近たちから聞かされてはいたが、まさか本当に黒幕がいて、しかもそれが叔父上だったとはな!
 側室披露宴で大々的に叔父上のやった事を晒し、断罪するつもりだ」

とのことで、どんなザマァが繰り広げられるのか今から楽しみだ。
ついでに王座も奪取して、労働環境もしっかり改善してもらいたい。


王弟殿下のお屋敷制圧は結構あっけなく終わった。
やっぱり闇魔法って便利だわ…
なんせ、聞けば何でも本人が答えてくれるからね。

そのおかげで

・ギャンブルと投資の失敗で大借金している
・うちの帝国再興派と繋がって王位簒奪を図った
・勝手に戦争の準備をしていた
 ↑この過程で宮廷官吏の皆様にしわ寄せが?
  超過勤務の原因である可能性
・国王の正室と不倫してた
 (しかも共謀して玉璽を盗み違法コピー)
・自分の愛人達を次期国王の側室にねじ込んだ
 (それを餌に関係を迫り、または脅した)
  ↑最低クソ野郎
・自派閥の家に有利になるように税率を操作した
・兄王を操ってスプーラ殿下の立太子を阻んでいた
 (操られる国王もいかがなものか)

等々の悪事が明るみに出た。
特に最後の1つはうちの帝国再興派との繋がりを感じさせる。

ちなみに伴侶の方は15年ほど前に屋敷を出てそれっきりだという。
公式の場に出る時には愛人の誰かに変装させて乗り切っていたんだとさ…

誰も気が付かなかったのか、皆が気が付かないふりをしてたのかは謎だけど、少なくともスプーラ殿下とエルさまは気が付かなかったらしい。

「そもそも顔が見えるほど近くに寄った事がない」んだって……

なるほどねー。

もちろん証拠になる文書も全部押収して馬車に積んである。ついでに本人も縛り上げて同じ馬車に押し込んである。
誰かが証拠を燃やそうとしたら王弟殿下も燃えるシステムだ…当然馬車の扉は外からガッチリ板を打ちつけておいた。
何かあった時の為に魔法棟5公爵に見張ってもらっているし、古代魔法版「祈り」で結界の内側は魔法も魔道具も一切使用不可のやつを掛けてある…

…用心してし過ぎる事はないでしょ。

ベルガモット教授は
「王弟を拘束すると、国際問題にならないか…?」
なんて気にしてたけど、次期王様が良いって言ってるしヘーキヘーキ。

罪も無い人を攫って地下に閉じ込めただけならまだしも、調子こいて随分と痛めつけていたみたいだし?
しかも子どもの目の前で親に何したって?

…極刑にしてやりたいよ。

とは言っても、加害者が罰を受ければ被害者の心の傷がチャラになる…なんて都合の良い事は無いし、カメリアにも法律がある以上刑罰の内容は法に基づいて下すしかないんだけどさ。

ここは他国だから俺がどうこう出来ないけど、何とか彼らは救われて欲しいと思う。


…とまあ、奴の悪事の話はここまで。

俺と殿下は2人の所へ行って、お祝いの言葉を述べる。

「スプーラ、ゴード、おめでとう」
「お2人とも末永くお幸せに」

するとスプーラ殿下は満面の笑みで言った。

「当然だ、ゴードが隣にいれば良いのだからな!」

そう言ってゴード先輩に熱烈なキスをする。
顔を真っ赤にしてゴード先輩も言う。

「俺も頑張って王子様の正室やってみるよ」
「うむ、こちらで出来る事があれば、内政干渉にならない程度に支援する」
「お金はともかく、知恵なら頑張って絞り出してみます」

そう言うと、今度はスプーラ殿下のご学友が集まって来て言った。

「おいみんな、しっかり聞いたな?」
「ああ、誰もが欲しがるルース殿の知恵がいつでも手に入るとあればこの結婚は大正解だな」
「いやいやいや!!」

そこまですごい知恵はないですよ!?
無茶苦茶言うなぁ…
まあ、みんな笑ってるし冗談だと思うけど。

そうやって参列者同士で談笑などしていると、スプーラ殿下が言った。

「さて、ようやく初夜だ!よって全員解散!」
「だから、言い方!!」

ゴード先輩が真っ赤になってツッコむ。
全員が大笑いして、ご学友たちはそれぞれの馬に乗り、俺たちも馬車に乗ってそれぞれの宿へ…




あっ、そういえば。

「…この証拠と犯人積んだ馬車、どうします?」
その言葉に全員の動きが止まる。



「……」「……」「……」「……」「……」


 ………。

まさか…

誰も考えてへんかったん?
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