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学園6年目
【閑話休題】近衛騎士と王都魔法師 ~ヘヴィ視点~
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「ケイ、お前の息子が見つかったって?」
「ああ、情けない事に学園で保護されたそうだ」
春先の「側室披露宴」からこっち、近衛騎士団も王都魔法師団も大騒ぎだ。
「他の団員は、まだ?」
「…そっちに言われたく無えけどな!」
誰が裏切者で誰が闇魔法被害者なのかが分からないが、近衛のほうはエルムを追っていた一団が消え、それを指揮していた副団長の1人も消え…
「11人も居なくなるなんて想定外だ。
まあそのうち一人は見つかったがな」
「…うちはまだ誰も見つからんようだ。
騎士団のほうがまだましだな…」
魔法師団のほうは団長ともう1人の副団長に、秘書と研究者がごっそりと消えた。
その数22名…単純に倍だ。
元々魔法師団のほうが人が少ないというのにこれでは…。
今どこかの国から攻め込まれたら、戦力不足で大変な事になるだろう。
それこそ一時的にルースやエル王子、ベルガモット殿と4侯爵、古代魔法の3人に盾のソラン…
……ふむ。
何とかなりそうな気がするな。
そこまで心配しなくても良いか。
「騎士団のほうも、戦力が足りんのなら学園へ頼めば良いのではないか?」
「ケンタウレア師とジョン殿か?それも手だな」
まあ、少なくとも今の段階でカメリアから戦を仕掛けられる可能性は低い。
ゴードとスプーラ殿下が結婚するのだ。
しかもスプーラ殿下の一目惚れで!!
まあ、シャラパールとの軍事同盟もあるしな。
戦力のほうは何とかなりそうだ、と2人で笑い合う。
それにしても…とケイが言う。
「団長の動機は分かりやすいが、他はどうだ」
「どうだと言われてもな…
爵位がどうのと言うがそもそも魔法師団には俺より爵位の高い奴しか居らんし、彼らが裏切っていないのに爵位だけで疑うのもおかしな話だろう」
可愛がっていた弟子のゴードにしても伯爵家だったし、後輩も男爵家や子爵家の出身だ。
だが騎士爵の俺を彼らが慕ってくれないかと言うとそういうことは無いわけで…。
先輩方も「俺」という駒の事を理解してくれている人が大半だ。先の団長が俺を活かした戦術や采配をしてくれたからだろう。
「それを今の団長殿が理解していないとは思えん。
やはり闇魔法の支配下にあると考えるのが妥当だろう」
「お前ってホント…まあいいか」
団長殿はゴードと同じく伯爵家の出身だ。
魔法師団でも騎士団でも伯爵家出身者は少ないが、いる。
その上は見たことが無い…
純粋に子どもが少ないからだろう。
ゴードも2人兄弟だと言っていたし、カイトも確か2人だ。
「まあ、その辺はどうしてもな。
伯爵家以上は領地があるから政略結婚も多いから…。
ただそうなると、爵位だけじゃなくて地縁とか血統とか出てくるんだよ」
ケイによると、同じ伯爵家でもゴードの家と団長殿の家では団長殿の家の方が格上なんだそうだ。
ゴードの家は子爵家や男爵家からの伴侶ばかりだが、団長殿の家は何度も伯爵家同士で婚姻を結び、4代前には侯爵家から伴侶を迎えたから…だそうだ。
なんだそれは。
伴侶など、優しくて可愛らしくてしなやかで芯が強くてどうしようもなく惹かれ合い身も心も求めあえるほど愛し合える者、というだけで良いと思うのだが。
「ふむ、面倒なものだな」
「とてつもなくな!
近衛騎士団には必須の知識だから、それを覚えるのが一番大変なんだよ」
「ああ、それで筆記試験があるのか」
「その通り!
しかもそれが何でか変わったりしてな。
そういう情報を集めるために着たくもねえヒラヒラ着てダンスして社交して…嫌になるぜ」
「それでダンスの試験があるのか」
「そういうこと」
は~ウンザリウンザリ、と軽口を叩くケイ。
俺より少しだけ低い位置にあるその頭には金色ではない毛が混じっている。
「…いつの間にか白髪が増えたな」
「お互い様だろ」
確かに俺の頭にも白いものが増えた。
「入団したときはこんなことになるなんて思っても見なかったぜ」
「それは俺も同感だ」
王宮に勤めて20年以上。
まさか内戦の危機が迫ろうとは…
「命令さえあれば、エルム領もイフェイオン領も焼き尽くしてくるんだが」
「領民に甚大な被害が出るから止めろ」
「…屋敷だけならどうだ?」
「一気に仕留められればな」
それじゃ、と言ってケイと分かれる。
さっきの思い付きを提示して、残った魔法師団の不安を和らげてやろう…
「それにしても、爵位か」
上の方は大変だな…。
やはりヘザーにそんな思いをさせたくは無い。
俺は改めて、あの糞餓鬼に息子はやれない…と思うのだった。
「ああ、情けない事に学園で保護されたそうだ」
春先の「側室披露宴」からこっち、近衛騎士団も王都魔法師団も大騒ぎだ。
「他の団員は、まだ?」
「…そっちに言われたく無えけどな!」
誰が裏切者で誰が闇魔法被害者なのかが分からないが、近衛のほうはエルムを追っていた一団が消え、それを指揮していた副団長の1人も消え…
「11人も居なくなるなんて想定外だ。
まあそのうち一人は見つかったがな」
「…うちはまだ誰も見つからんようだ。
騎士団のほうがまだましだな…」
魔法師団のほうは団長ともう1人の副団長に、秘書と研究者がごっそりと消えた。
その数22名…単純に倍だ。
元々魔法師団のほうが人が少ないというのにこれでは…。
今どこかの国から攻め込まれたら、戦力不足で大変な事になるだろう。
それこそ一時的にルースやエル王子、ベルガモット殿と4侯爵、古代魔法の3人に盾のソラン…
……ふむ。
何とかなりそうな気がするな。
そこまで心配しなくても良いか。
「騎士団のほうも、戦力が足りんのなら学園へ頼めば良いのではないか?」
「ケンタウレア師とジョン殿か?それも手だな」
まあ、少なくとも今の段階でカメリアから戦を仕掛けられる可能性は低い。
ゴードとスプーラ殿下が結婚するのだ。
しかもスプーラ殿下の一目惚れで!!
まあ、シャラパールとの軍事同盟もあるしな。
戦力のほうは何とかなりそうだ、と2人で笑い合う。
それにしても…とケイが言う。
「団長の動機は分かりやすいが、他はどうだ」
「どうだと言われてもな…
爵位がどうのと言うがそもそも魔法師団には俺より爵位の高い奴しか居らんし、彼らが裏切っていないのに爵位だけで疑うのもおかしな話だろう」
可愛がっていた弟子のゴードにしても伯爵家だったし、後輩も男爵家や子爵家の出身だ。
だが騎士爵の俺を彼らが慕ってくれないかと言うとそういうことは無いわけで…。
先輩方も「俺」という駒の事を理解してくれている人が大半だ。先の団長が俺を活かした戦術や采配をしてくれたからだろう。
「それを今の団長殿が理解していないとは思えん。
やはり闇魔法の支配下にあると考えるのが妥当だろう」
「お前ってホント…まあいいか」
団長殿はゴードと同じく伯爵家の出身だ。
魔法師団でも騎士団でも伯爵家出身者は少ないが、いる。
その上は見たことが無い…
純粋に子どもが少ないからだろう。
ゴードも2人兄弟だと言っていたし、カイトも確か2人だ。
「まあ、その辺はどうしてもな。
伯爵家以上は領地があるから政略結婚も多いから…。
ただそうなると、爵位だけじゃなくて地縁とか血統とか出てくるんだよ」
ケイによると、同じ伯爵家でもゴードの家と団長殿の家では団長殿の家の方が格上なんだそうだ。
ゴードの家は子爵家や男爵家からの伴侶ばかりだが、団長殿の家は何度も伯爵家同士で婚姻を結び、4代前には侯爵家から伴侶を迎えたから…だそうだ。
なんだそれは。
伴侶など、優しくて可愛らしくてしなやかで芯が強くてどうしようもなく惹かれ合い身も心も求めあえるほど愛し合える者、というだけで良いと思うのだが。
「ふむ、面倒なものだな」
「とてつもなくな!
近衛騎士団には必須の知識だから、それを覚えるのが一番大変なんだよ」
「ああ、それで筆記試験があるのか」
「その通り!
しかもそれが何でか変わったりしてな。
そういう情報を集めるために着たくもねえヒラヒラ着てダンスして社交して…嫌になるぜ」
「それでダンスの試験があるのか」
「そういうこと」
は~ウンザリウンザリ、と軽口を叩くケイ。
俺より少しだけ低い位置にあるその頭には金色ではない毛が混じっている。
「…いつの間にか白髪が増えたな」
「お互い様だろ」
確かに俺の頭にも白いものが増えた。
「入団したときはこんなことになるなんて思っても見なかったぜ」
「それは俺も同感だ」
王宮に勤めて20年以上。
まさか内戦の危機が迫ろうとは…
「命令さえあれば、エルム領もイフェイオン領も焼き尽くしてくるんだが」
「領民に甚大な被害が出るから止めろ」
「…屋敷だけならどうだ?」
「一気に仕留められればな」
それじゃ、と言ってケイと分かれる。
さっきの思い付きを提示して、残った魔法師団の不安を和らげてやろう…
「それにしても、爵位か」
上の方は大変だな…。
やはりヘザーにそんな思いをさせたくは無い。
俺は改めて、あの糞餓鬼に息子はやれない…と思うのだった。
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