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学園6年目

突然の暇

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金ぴか寮に初訪問した3日後。

生徒会に応募してきた生徒との面接は殿下とフィーデ君とプリムラ君でしてくれるとの事で、俺は生徒会の為に開けていたスケジュールがまるまる暇になってしまった。
読まなきゃいけない論文もお手紙も無いし、研究室にいても来客は無いし…

「久々に学園のダンジョンへ行ってみようかな…」
「了解、じゃあその辺に声かけてくるっす」

そう言ってアレクさんは部屋をトテテ…と出て行き、5分ほどして帰ってきた。

「声かけてきたっす!」
「ルース君、お待たせ」
「僕らも連れてってください!」
「まだまだ俺ら、修行しなきゃだからな~」

魔法棟で同じく暇にしていたらしいソラン先輩とルディ君にワルド先輩。
それと…

「よう…ルース、久しぶり…」
「カレンデュラ先生!?」
「いやあ俺が近衛になった途端にあんなことが起きたもんだから新人は一旦元へ戻れって話になって」
「そうですか…大変でした、ね?」
「あー、まあな…」

おやおや…何か様子が変ですぞ。

俺は先生の頭へ手を伸ばしながら断りを入れ、
「ちょっと先生、失礼」
「あ?」
「秘儀・闇飛ばし!」ピカーーーー!
「うあああ!!?」
「トルセン!?」
カレンデュラ先生は倒れ、アレクさんが叫ぶ。

「な、なにするんだよルース!!」
「いやあ、きっちり闇魔法に掛かってたもんで」
「嘘!?なんで、いつの間に!?」
「さあそれは本人に聞いてみない事には…
 あ、アレクさん、カレンデュラ先生が何か怪しい物持ってないか調べてください」
「わ、分かった」

アレクさんはいそいそとカレンデュラ先生の騎士服を脱がしていく。
すると早速袖からナイフが…。
手首にも何か針みたいなの巻いてるし。
ベルトからは「あるある毒針」が見つかるし。
ポケットからはコロコロと謎の魔道具が出てくるし…これは後でネリネ教授んとこ行って聞いてみよ。

「やっぱ俺狙われてるんだなぁー」
「まさかカレンデュラ先生が…」
「近衛騎士団の中からも裏切者が出てるって聞いてるし、あるとは思ってたけど…まさかね」

半信半疑だったけど、こうして友人関係が狙われてくるとなったら話は別だ。
うすらぼんやりしている場合じゃない。

「…片っ端からチェックしていこう」
「うん…そうっすね」

ラッキーな事に、魔力量だけはある。
友だちから知り合いから全員に当たって、闇飛ばししていくしかない!

「ダンジョンより先に、学内探検だね」
「じゃあ手始めに、僕らにもお願いします!」
「うん」

ルディ君が先頭になって4人が並ぶ。

「じゃあ一人ずつ…秘儀・闇飛ばし」ピカーーー!

***

闇飛ばしの結果、4人には特に異常なし。
まあ、目を見れば何となく雰囲気で分かるんだけど…説明しづらいんだよなあ。

「じゃあ、カレンデュラ先生は研究室へ転がしといて…誰か見張りを頼もう」
「…なら、俺が見張っとく」
「だったらジョンさんも呼んできましょ!」
「そうだな、俺ら魔法総合行って声かけてくるわ」

アレクさんが沈痛な面持ちで見張りを志願し、ワルド先輩とルディ君は武術棟への連絡係を買って出てくれた。

「じゃあお願いします…
 あ、この前のブローチ、持ってます?」
「ああ、胸ポケットに入ってる…ほら」
「いつも持ってろって殿下が仰ったので」
「OKです、じゃあお願いします」

ワルド先輩とルディ君は連れ立って武術棟へ行く。
俺とソラン先輩は魔法棟を端から訪ね歩く…

まずはここのお隣、魔石工学からだ。

俺はカレンデュラ先生が持っていた謎の魔道具を、魔力を通さない様注意しながら握った。

「…行きますか」
「うん、行こう」

俺は緊張しながら隣の部屋の扉を叩く。

「どうぞ~」

中からは緊張感のないノースさんの声。
そういえば今年一杯は学園と港を行き来するんだって言ってたけど…

「失礼します」

学園の外へよく行く人は要注意…

多分やけど!
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