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学園5年目
レッツ・パーリィ! 3
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シャムロック様がルディ君と握手をする。
その腕に、似合わないデザインのブレスレット。
あしらわれているのは黒い石…
「『これから爵位が低い事で辛い思いも沢山する』でしょうが…」
あー、ああやって心の隙間を突くのか。
ふーん…ほうほう。
「『そういう時にはすぐに我々に頼るのですよ』、『私たちはあなたの味方です』…」
なるほど、これが<洗脳>かあ…。
ブローチの真珠の照りが減ってる。
ばっちり証拠もゲット出来たな。
さてワルド先輩には…?
…って、見てる場合じゃない。
俺は近衛騎士の一人に合図を送る。
近衛騎士さんが動く。
シャムロック様はワルド先輩にも同じように握手をしたまま話しかけ、そしてご両親に挨拶をした…直後。
「ミカ・シャムロック様。
その魔道具はどちらから手に入れたものですか?」
「…なんのことでしょうか」
「あちらで少しお話をお聞かせくださいますか」
「ええ、構いませんよ」
シャムロック様は大人しく連行されていく。
どうやら宴をぶち壊しにする気は無いらしい。
うーん、ちょっと予想が外れちゃったな…
と、その時。
エルム公が退出するのが見えた。
想定通りだ。
だけど、コーラス様は父親の後を付いて行かない。
むしろこちらへ近づいて来る…
「…なんで?」
何か策があるのだろうか。
真っ直ぐ俺と殿下の方へ向かってくる。
なんだろ?
「殿下、ルース様、ご機嫌麗しく」
「ええ、コーラス様もご機嫌麗しく…」
「先ほど、ミカが連れて行かれたようですが、何かありましたか?」
「さあ、私には分かりかねます」
「この茶番のような宴を開く金が良くも有ったものですね?
このような事に税金を使うなど看過しかねます」
うん?何だ?
何か騒ぎを起こすのはこっちの仕事なのか?
「左様でございますか」
「王家による国庫の私物化は大罪です!」
王家でなくても大罪ですけど?
…って、そんで親父が逃げたんか。
あいつ、ついに自分の子どもまで売るんか?
糞オブ糞だな。
「側室にしても、我々公爵家に一言の相談も無く…」
「わざわざご相談しなければならない理由がありますか?」
「大いに!!
何ですか?側室の中に、すでに子を成すには難しい歳の者が6人もいるではありませんか!
何の為ですか?
彼らの家から金が流れていないと言うなら、証明して頂きたい!」
おやおやどうして収賄だと思うんですかな?
なんでなんで?
軽く詰めてみたろかこのガキ。
「おやおや、コーラス・エルム様ともあろうお方が、無い事を証明しろなどととんでもない事を。
それは悪魔の証明と言って、神殿ではきつく禁じられた所業ですよ?
証拠は、あると信じる側が出すのです…それが神の教えであり司法の大原則です。
ああ…そうか。
次期財務大臣様は法務など眼中に無かったのですね…申し訳ございません」
「な、何だと!ふざけるな!」
お、本気で怒った…か?
さてどうしましょうかね。
「でもまあいいでしょう、お答えしますよ。
側室様達のご実家から金銭によるご援助を頂いたことは一切ございません」
「では、一体どういう基準で選んだというのです!」
「私が正室である以上、側室の方々に求められる能力は子どもを産むことではなく、その能力で国家の役に立つ事です。
税金から後宮維持費を頂く以上は、何らかの役に立たねぱならないのは当然ですからね」
「貴様、何が言いたい」
あんたまさか、おとんが横領してんの知らんのか?
これはちょっと揺すってみたろ…
「そうそう、後宮維持費と言えばね?
最近探しているんですよ…買われたはずの高級箪笥も高級机も、どこにも見当たりませんでね。
大きな修繕したというのに形跡はなし、庭師も腕の良い者を高給で雇っているはずなのに荒れ放題…
どうなっているんですかね?」
「そんなこと僕が知るか!!」
「へえ、そうですか」
「そんな事より、側室に産む能力を求めない理由を説明なさい!!」
う~ん残念ながら知ってるな。
まあ知ってるわな…困ったね。
んで、産む能力を求めない理由を言え、と。
仕方ねえ、求めてる答えを言って差し上げるとするか。
「理由ですか?そんなもの、ここにいる皆様もとっくにご存じのはずですよ?
ユーフォルビアの者は沢山の子を成せる…
さすがに20人は無理ですが、ね」
こっちが掴んでいるのはプリムラ公爵が売った分だけですよ~、とブラフを掛ける。
コーラス様にはどう伝わったのか…
彼がにやり、と一瞬笑ったのが見えた。
その腕に、似合わないデザインのブレスレット。
あしらわれているのは黒い石…
「『これから爵位が低い事で辛い思いも沢山する』でしょうが…」
あー、ああやって心の隙間を突くのか。
ふーん…ほうほう。
「『そういう時にはすぐに我々に頼るのですよ』、『私たちはあなたの味方です』…」
なるほど、これが<洗脳>かあ…。
ブローチの真珠の照りが減ってる。
ばっちり証拠もゲット出来たな。
さてワルド先輩には…?
…って、見てる場合じゃない。
俺は近衛騎士の一人に合図を送る。
近衛騎士さんが動く。
シャムロック様はワルド先輩にも同じように握手をしたまま話しかけ、そしてご両親に挨拶をした…直後。
「ミカ・シャムロック様。
その魔道具はどちらから手に入れたものですか?」
「…なんのことでしょうか」
「あちらで少しお話をお聞かせくださいますか」
「ええ、構いませんよ」
シャムロック様は大人しく連行されていく。
どうやら宴をぶち壊しにする気は無いらしい。
うーん、ちょっと予想が外れちゃったな…
と、その時。
エルム公が退出するのが見えた。
想定通りだ。
だけど、コーラス様は父親の後を付いて行かない。
むしろこちらへ近づいて来る…
「…なんで?」
何か策があるのだろうか。
真っ直ぐ俺と殿下の方へ向かってくる。
なんだろ?
「殿下、ルース様、ご機嫌麗しく」
「ええ、コーラス様もご機嫌麗しく…」
「先ほど、ミカが連れて行かれたようですが、何かありましたか?」
「さあ、私には分かりかねます」
「この茶番のような宴を開く金が良くも有ったものですね?
このような事に税金を使うなど看過しかねます」
うん?何だ?
何か騒ぎを起こすのはこっちの仕事なのか?
「左様でございますか」
「王家による国庫の私物化は大罪です!」
王家でなくても大罪ですけど?
…って、そんで親父が逃げたんか。
あいつ、ついに自分の子どもまで売るんか?
糞オブ糞だな。
「側室にしても、我々公爵家に一言の相談も無く…」
「わざわざご相談しなければならない理由がありますか?」
「大いに!!
何ですか?側室の中に、すでに子を成すには難しい歳の者が6人もいるではありませんか!
何の為ですか?
彼らの家から金が流れていないと言うなら、証明して頂きたい!」
おやおやどうして収賄だと思うんですかな?
なんでなんで?
軽く詰めてみたろかこのガキ。
「おやおや、コーラス・エルム様ともあろうお方が、無い事を証明しろなどととんでもない事を。
それは悪魔の証明と言って、神殿ではきつく禁じられた所業ですよ?
証拠は、あると信じる側が出すのです…それが神の教えであり司法の大原則です。
ああ…そうか。
次期財務大臣様は法務など眼中に無かったのですね…申し訳ございません」
「な、何だと!ふざけるな!」
お、本気で怒った…か?
さてどうしましょうかね。
「でもまあいいでしょう、お答えしますよ。
側室様達のご実家から金銭によるご援助を頂いたことは一切ございません」
「では、一体どういう基準で選んだというのです!」
「私が正室である以上、側室の方々に求められる能力は子どもを産むことではなく、その能力で国家の役に立つ事です。
税金から後宮維持費を頂く以上は、何らかの役に立たねぱならないのは当然ですからね」
「貴様、何が言いたい」
あんたまさか、おとんが横領してんの知らんのか?
これはちょっと揺すってみたろ…
「そうそう、後宮維持費と言えばね?
最近探しているんですよ…買われたはずの高級箪笥も高級机も、どこにも見当たりませんでね。
大きな修繕したというのに形跡はなし、庭師も腕の良い者を高給で雇っているはずなのに荒れ放題…
どうなっているんですかね?」
「そんなこと僕が知るか!!」
「へえ、そうですか」
「そんな事より、側室に産む能力を求めない理由を説明なさい!!」
う~ん残念ながら知ってるな。
まあ知ってるわな…困ったね。
んで、産む能力を求めない理由を言え、と。
仕方ねえ、求めてる答えを言って差し上げるとするか。
「理由ですか?そんなもの、ここにいる皆様もとっくにご存じのはずですよ?
ユーフォルビアの者は沢山の子を成せる…
さすがに20人は無理ですが、ね」
こっちが掴んでいるのはプリムラ公爵が売った分だけですよ~、とブラフを掛ける。
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