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学園5年目

魔力枯渇対策、その1

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ホスタから来た資料を読みこむこと数日。
事は次第に大きくなってきて、ついに研究室では人が入りきらず場所を第一砦に移した。

当然1人は、アルテミシア語講師のシェドゥーブル先生。

「というわけで、この文献を訳した結果…
 魔力を回復させる方法は、
 ①人肉を食べる
 ②他人の羊水を摂取する
 ③他人の乳を摂取する
 ④他人の精液を摂取する
 ⑤寝る(本来の意味で)
 ⑥寝る(別の意味で)
 ……の6つだそうです」

参加者全員の顔が引きつる。
魔法先進国・ホスタの研究陣をして、都合の良い薬草も都合の良い方法も無い、というのだから絶望的だ。
どうあってもこれをエロに繋げたいという世界の気概を感じる。

「残念ですが、回復薬は…かなり難しいかと」

その言葉に、貞操(風前の灯)を守りたいベルガモット教授が叫ぶ。
「待て、諦めるのはまだ早い!!
 確か液体から水分を魔法で取り出して成分を粉に出来ないかって話があったはずだ!!
 そうだな、エバ!?」

その話を受けて、ベルガモット教授についてきた水のフェンネル教授が答える。
「もちろん研究はしてるさセド。
 でも難しいんだ…」

魔力回復「薬」の話だから当然、薬学コンビも参加している。
「何と、新しい抽出方法を研究していらっしゃるのですか?」
「ルース君、どういうことだ、聞いていないぞ」
「報告できるほど進展がないんですもん…
 イメージがついて無いからかな…」

俺がいるので殿下もいる。
「新しい魔法を作らねばならんと言う事か?
 それともまた古代魔法か?」

その言葉に、古代魔法の3人が声を上げる。
「水の古代魔法を探すって?」
「液体の中の水分…的な精霊、なあ…」
「あの、言語学の先生に聞いてみたらどうでしょう…
 そういうのを古語で何て言うのかって」

だもんで、アレクさんが言語学の先生を呼んでくる。
「液体の中の水分…濁った水から綺麗な水を取り出す、という事かな?
 だとすると…」

…1人増えたやないか!!

ここで、薬学コンビは魔力回復薬を開発するためのブカツを提案。

薬学コンビを筆頭に、
ベルガモット教授とフェンネル教授、
古代魔法の3人、
言語学の教授と俺…
の9名がブインとして参加することが決定。

…まあこの話は俺が言い出しっぺだからな。
自分のケツは自分で拭く…

拭けてるかコレ?

「宜しくお願いします」
「届けはこちらで出しておきます!」

ブカツに憧れていたらしい薬学のブレティラ教授がやる気満々で届けを書き始める…
最初からそういうつもりで届出用紙を持って来ていたらしい。
意外と策士だな…。

もし薬の開発に成功したら、儲けは山分けにしましょうね!
など、捕らぬ狸の皮算用もちらほら。

だから、これは部活じゃなくてプロジェクトだってば。
部活ってそういうんじゃなくてさあ…
ううっ。

「問題は、今空いてるブシツが無いことだな」
「ここは借りられないのか?」
「この砦は『魔法総合魔生物魔石工学古代魔法研究部』のブシツじゃぞ!
 毎日ここで各々の研究を持ち寄って国に資するあれやこれやについて話し合っておるのじゃ、譲らん」
「いや別に譲れと…あれ、校長?」
「あっ、見つかってしもうた」

いつの間にか忍び込んでいたおじいちゃん先生…
「こんな面白い話、儂ら抜きでやろうというのが間違いじゃ」

そして残りの3馬鹿。
「いえいえ校長、ルース先生は
 『ホスタから魔力の研究の資料が来た』
 『今訳してる最中だ』
 『資料の訳が終わったんだ』
 『今度関係者で話し合いをするんだ』
 って言ってましたよ?」
「そうですよ校長、来てくださいって言葉が無いからってスネなくても」
「ここまで言われて来ない僕たちじゃないですもの…。
 いつもそうですから、ルースさんもそのつもりだったんでしょ、ね?」
「そうかそうか、ルースは儂らのそういう所に甘えたかったんじゃの~?
 ほほカワユイカワユイ」

うっ、呼ばなかった事をチクチクと…。
余計な方へ話が転がると面倒だから呼ばなかったのに!
頭をなでなでしてくるおじいちゃん。
それをスゴイ目でみてる殿下。

「……燃やすぞジジイ」
「だから何の罪で!?」

前国王を次期国王が火刑にしたら、それこそ国際的な大事件なんですけど!?
滅多な冗談言わんとって!!
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