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学園5年目
ききせまる
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魔道ゴーレム実験2日目。
今日は補給部隊がやって来る日だ。
「奥まで行った攻略班も戻って来る頃じゃの」
「丁度ケーブルも足りなくなってきましたしね」
穴の中を進んで分かったのは、ヘヴィさんの業火の恐ろしさだった。
多分卵だったであろうものの灰、多分ゴブリンだったであろうものの灰と魔石…。
何よりすごいのは、すっかり焼き切られて穴の表面が陶器のようになっているところだ。
完全にこういう形の土管である。
「ゴブリンが潜んでいる形跡は今のところ無いですね」
「うむ、これは朗報と言って良いじゃろうの」
完全にメモ係になったネリネ教授が言う。
「しかし、ケーブルも随分気合入れて用意してきたんですけどね…」
「500mでしたっけ?相当重かったですよ」
「ゴードとケンタウレア師がいて助かったよ」
「ゴード先輩に至っては、ネリネ教授の代わりにゴーレムの操作もしてくれてますしね」
結局メモ係になったネリネ教授の代役になったのは魔法師団若手のホープ(いつの間に)であるゴード先輩だった。
さすがヘヴィさんに直接鍛えられただけのことはあって、魔力操作が上手いのだ。
足からも魔法が出せるし。
そんなゴード先輩が言った。
「そういえば、魔力溜まり班はいつ帰って来るんだ?」
「アクアネスが出て来るまで粘るとは聞いてますけど…それがいつなのか分かんないからなあ」
「あっち、物理攻撃タイプがパパさんしかいないんですっけ…攻略班が戻ったら、ジョンさんにあっちへ回ってもらいましょう」
そう、ギリギリで「物理攻撃は誰が?」となって、パパさんが残ってくれることになったのだ。
補給部隊に剣士と拳闘士を配置してしまったのが悔やまれる…
「とはいえ、補給部隊に何があっても困るしのう」
実験に関係ない人で、ホバー台車に慣れている人を選んだ結果えらく偏った編成になってしまったのだ。
「何事も無く終わればいいんですけど…あっ、カート君だ!」
向こうから駆けてくる人影。
どうやら攻略は成功したらしい…んだけど、しんがりのヘヴィさんは浮かない顔をしている。
それに気づいたおじいちゃん先生が尋ねる。
「随分早かったの…どうした、ヘヴィ?」
「はい、敵が殆ど出現しなかったので…」
「それはまた…嫌な予感がするな」
「…どういうことなんですか?」
「それはな…」
おじいちゃん先生によると、魔物の大発生前、一時的に魔物が少なくなることがあるらしい。
シャラパールでもそうだったじゃろ、と言われて血の気が引いた。
「すぐに魔力溜まり班を呼び戻しましょう」
「そうじゃな、誰か足の速い…」
その時、魔力溜まりへの道に繋がる穴からトレッドさんの声がした。
「大変!!みんな、大変だ!!」
「何だ!?」
穴の向こうを見ると、死にそうな顔で走って来るトレッドさんがいる。
只事ではない様子に、俺たちは穴の向こうに出てトレッドさんのほうへ走った。
トレッドさんは言った。
「魔力溜まりから見た事のない魔物が出た!!」
「何ですって!?」
「今、結界張って、みんなで、隠れてる、けど、魔力が…!」
殿下がすぐに指示を飛ばす。
「分かった、急ごう。
トレッド、すまんが補給部隊が着くまでゴーレムの場所で待て。
ガーベラとネリネはトレッドに着いて待機。
補給部隊と合流後、魔力の残っている方が魔力溜まりへ誘導。
もう一方はトレッドと共にゴーレムを回収し砦へ戻り、現状を…魔物の大発生の可能性ありと伝えろ」
「ハイ!」「「はっ!!」」
さらに魔物について確認する。
「トレッド、ビスカリアはその魔物について何か言っていたか?」
「み、ミノタウロス、頭2つ…」
「何だと!?」
「何ですって!?」
叫んだジョンさんとエルさまに殿下が聞く。
「心当たりがあるのか」
「私が5つの時、カメリアで起きた魔物の大発生で出たのと同じです」
「…闇の魔石を持つ魔物だ」
なるほど、経験者だったのか…
「分かった、ではジョンはその魔物が見えるまで温存。
それまでは俺とゴード、ケンタウレアが先頭、一番後ろをヘヴィとベルガモットで頼む。
エル、カート、ヘザー、余力は?」
「ほぼ消耗しておりません、行けます」
「ならばヘザーとお祖父様は中盤で集団の防御に徹してくれ。
エルとカートは中盤より前で、前衛を魔法で援護する様に」
「うむ」「はい」「はい!」
あれ、俺は…?
「ルースは集団に遅れないよう着いてくる事」
「は、はい?」
「補給部隊が追い付き次第アレクに運んでもらえ。
行くぞ!」
「「「はい!!」」」
全員がキリっとした返事を返し、ゴード先輩とケンタウレア先生を先頭に走り出す。
ねえちょっと待ってどういう事…と聞き返す暇もなく、俺はみんなに付いて走り出した…けど。
は・や・い!!
くそっ、
何で、
俺には、
運動神経が、
無いんだ…!!
今日は補給部隊がやって来る日だ。
「奥まで行った攻略班も戻って来る頃じゃの」
「丁度ケーブルも足りなくなってきましたしね」
穴の中を進んで分かったのは、ヘヴィさんの業火の恐ろしさだった。
多分卵だったであろうものの灰、多分ゴブリンだったであろうものの灰と魔石…。
何よりすごいのは、すっかり焼き切られて穴の表面が陶器のようになっているところだ。
完全にこういう形の土管である。
「ゴブリンが潜んでいる形跡は今のところ無いですね」
「うむ、これは朗報と言って良いじゃろうの」
完全にメモ係になったネリネ教授が言う。
「しかし、ケーブルも随分気合入れて用意してきたんですけどね…」
「500mでしたっけ?相当重かったですよ」
「ゴードとケンタウレア師がいて助かったよ」
「ゴード先輩に至っては、ネリネ教授の代わりにゴーレムの操作もしてくれてますしね」
結局メモ係になったネリネ教授の代役になったのは魔法師団若手のホープ(いつの間に)であるゴード先輩だった。
さすがヘヴィさんに直接鍛えられただけのことはあって、魔力操作が上手いのだ。
足からも魔法が出せるし。
そんなゴード先輩が言った。
「そういえば、魔力溜まり班はいつ帰って来るんだ?」
「アクアネスが出て来るまで粘るとは聞いてますけど…それがいつなのか分かんないからなあ」
「あっち、物理攻撃タイプがパパさんしかいないんですっけ…攻略班が戻ったら、ジョンさんにあっちへ回ってもらいましょう」
そう、ギリギリで「物理攻撃は誰が?」となって、パパさんが残ってくれることになったのだ。
補給部隊に剣士と拳闘士を配置してしまったのが悔やまれる…
「とはいえ、補給部隊に何があっても困るしのう」
実験に関係ない人で、ホバー台車に慣れている人を選んだ結果えらく偏った編成になってしまったのだ。
「何事も無く終わればいいんですけど…あっ、カート君だ!」
向こうから駆けてくる人影。
どうやら攻略は成功したらしい…んだけど、しんがりのヘヴィさんは浮かない顔をしている。
それに気づいたおじいちゃん先生が尋ねる。
「随分早かったの…どうした、ヘヴィ?」
「はい、敵が殆ど出現しなかったので…」
「それはまた…嫌な予感がするな」
「…どういうことなんですか?」
「それはな…」
おじいちゃん先生によると、魔物の大発生前、一時的に魔物が少なくなることがあるらしい。
シャラパールでもそうだったじゃろ、と言われて血の気が引いた。
「すぐに魔力溜まり班を呼び戻しましょう」
「そうじゃな、誰か足の速い…」
その時、魔力溜まりへの道に繋がる穴からトレッドさんの声がした。
「大変!!みんな、大変だ!!」
「何だ!?」
穴の向こうを見ると、死にそうな顔で走って来るトレッドさんがいる。
只事ではない様子に、俺たちは穴の向こうに出てトレッドさんのほうへ走った。
トレッドさんは言った。
「魔力溜まりから見た事のない魔物が出た!!」
「何ですって!?」
「今、結界張って、みんなで、隠れてる、けど、魔力が…!」
殿下がすぐに指示を飛ばす。
「分かった、急ごう。
トレッド、すまんが補給部隊が着くまでゴーレムの場所で待て。
ガーベラとネリネはトレッドに着いて待機。
補給部隊と合流後、魔力の残っている方が魔力溜まりへ誘導。
もう一方はトレッドと共にゴーレムを回収し砦へ戻り、現状を…魔物の大発生の可能性ありと伝えろ」
「ハイ!」「「はっ!!」」
さらに魔物について確認する。
「トレッド、ビスカリアはその魔物について何か言っていたか?」
「み、ミノタウロス、頭2つ…」
「何だと!?」
「何ですって!?」
叫んだジョンさんとエルさまに殿下が聞く。
「心当たりがあるのか」
「私が5つの時、カメリアで起きた魔物の大発生で出たのと同じです」
「…闇の魔石を持つ魔物だ」
なるほど、経験者だったのか…
「分かった、ではジョンはその魔物が見えるまで温存。
それまでは俺とゴード、ケンタウレアが先頭、一番後ろをヘヴィとベルガモットで頼む。
エル、カート、ヘザー、余力は?」
「ほぼ消耗しておりません、行けます」
「ならばヘザーとお祖父様は中盤で集団の防御に徹してくれ。
エルとカートは中盤より前で、前衛を魔法で援護する様に」
「うむ」「はい」「はい!」
あれ、俺は…?
「ルースは集団に遅れないよう着いてくる事」
「は、はい?」
「補給部隊が追い付き次第アレクに運んでもらえ。
行くぞ!」
「「「はい!!」」」
全員がキリっとした返事を返し、ゴード先輩とケンタウレア先生を先頭に走り出す。
ねえちょっと待ってどういう事…と聞き返す暇もなく、俺はみんなに付いて走り出した…けど。
は・や・い!!
くそっ、
何で、
俺には、
運動神経が、
無いんだ…!!
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