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学園5年目

久々のダンジョン 1

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夏休み初日、俺と…沢山の仲間たちは、「古き森の遺跡」に向かっている。
大所帯すぎてセリンセ商会に乗合馬車の臨時便を2台頼んだ。

「モロー君ちは物流専門なんだよね」
「はい!物でも人でも、何でも運びますよ!」
「倉庫って借りれる?」
「…はっ?」
「あ、いや、集荷してきたのを仕分けする場所とか、配送日がまだ先のやつを置いとく場所とか、あるでしょ」
「…は、え、えーと?」
「王都で毎年音楽イベントするってなったら、舞台を組み立てる資材とかいちいち借りるのも大変だし、いっそ買おうかって話になってるんだけど、置き場所が無くて…」
「え、え~、そういうのは、あーと、父に!父たちに聞いてみないと分からないので!!」
「そっか…じゃあ聞いてみてくれない?」

できれば中央公園に近いとこで頼めたら良いんだけど…
配送料が余計にかかっちゃうもんな。

「それとさ、魚を冷凍して運ぶって出来る?」
「れ、冷凍…?ですか?」
「ほら、水魔法で氷結ってあるでしょ、あれで釣った魚を冷凍して送るの…。
 ねえネリネ教授、ガーベラ先輩。
 氷結箱みたいなのってあります?」
「いや~、多分無いな」
「えっ…無いんですか?冷蔵庫はあるのに?」
「ずっと凍らせとくって、相当の魔力使うもん…超高級でよければ出来ると思うけど」
「冷蔵庫だって相当高級だぞ!基本貴族の家にしか無いからな」
「そういやガーベラタッチ式か…ホイホイ魔石消費しちゃ困るもんな」
「そゆこと」

冷凍馬車があったら、各地からお肉やお魚を…
あっ。

「ねえイドラ君。
 各地の名産品や特産品を集めて売る…みたいなイベントある?」
「無いけど…面白そうだね」
「俺、王宮で色々とご挨拶を受けるじゃない?
 観光を収入源にしたいってとこ、結構あるんだよね。
 だから一緒に観光PRも出来る様にするの、富裕層向けに…
 あっ!乗合馬車を乗り継いでいく馬車旅とかできるんならさ、そこまでお金持ちじゃなくてもいけるか…
 トレッドさん!旅行雑誌に知り合いとかいません?」
「お~、いるいる」

そうして全くダンジョンと無関係な話をしながら、午前中が過ぎた。


お昼休憩を挟んで、馬車のメンバーが入れ替わる。


午後は一点、ダンジョンでやる実験についての話になった。

「ゴーレムくまちゃん、上手く動くかな」
「操縦者の交代が不安だな…ちゃんと時間計ってくださいよ?」
「これがあるから大丈夫!
 この砂時計の砂が落ちきったらな、スイッチが入って音が鳴るんだ」

そういってネリネ教授は大きめの砂時計を見せてくれた。

「30分経ったらこれが音でお知らせしてくれるから、多分」
「多分とはどういうことだ!?」
何故かベルガモット教授が焦る。
するとフェンネル教授が言う。
「セド、その為に僕がいるんだよ…任せて?」
「…………ぅぅ」
いやその為じゃないです。
あなたはビスカリア教授と一緒に魔力溜まりへ行ってアクアネスが生まれるとこを観察する係ですよ?
…なんて怖くて言えない。

「まあその為に魔力溜まりから近いところの穴で実験するんだけどな」
「は!?な、なんだそれは」
「仕方がないじゃないですか、古代魔法研究室も魔力溜まりを調査したいって言うんだから…
 な、サーシェ?」
「ちょっ、ここで言う必要…!!」

えっ、ネリネ教授とマグノリア教授ってそうなん?
いやまあそういう事があっても不思議じゃないか…2人ともまだ若いしな。

「叔父さん…いつの間に」
「教授…まじか」
「やめろ2人とも、そんな目で見るな…!」

まだ手を繋ぐとこまでしか進んでないらしいルディ君とワルド先輩がマグノリア教授をジト目で見る。

清い交際で何よりだ。

「あ~、ンンっ。そういえば、カイトとデューイは一足先に王宮だったな?」
「そうですね、合同公演フェスの準備に入ってます」
「楽しみですね!今年はどんなのかな~」
「グッズも新しいの出てるよ!他のグループのも作ってるし、売れたら良いんだけどな~」

グッズの売上がフェスの収入のキモになってるから、何とか売れて貰いたい。
スライムの魔石を使ったグッズもあるし…。

そうそう、一足先に王宮にいったのはカレンデュラ先生もだ。
王宮近衛騎士団の入団試験を受けるんだって。
来年アレクさんが卒業して王宮に就職するから、必ず受かってみせるって言ってたな。

「魔法総合チームはダンジョンの完全攻略に挑戦するんだっけ」
「そうだね、土魔法と火魔法で物理攻撃魔法が出来るのか試したいし」
「儂はゴーレム班じゃからの、ついて行けんが無理はするでないぞ?」
「大丈夫ですよ、ジョンもいるし…ね?」
「ええ、物資は彼らが運んでくれると言うし…頼むぞ、3人とも」

ジョンさんがそう言うと、物資補給係の側近ズが元気に返事をする。

「うっす、頑張って運ぶっす!」
「ホバー台車もあるしね!」
「あれ乗るの結構楽しいよな~」

…この3人がいれば、正直安全の確保とか要らない気がするけどなあ。
ちなみにゴーレム班の護衛は殿下とケンタウレア先生…と。

向こうに着いたら、3人ほど増える気がする。

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