311 / 586
学園5年目
久々のダンジョン 1
しおりを挟む
夏休み初日、俺と…沢山の仲間たちは、「古き森の遺跡」に向かっている。
大所帯すぎてセリンセ商会に乗合馬車の臨時便を2台頼んだ。
「モロー君ちは物流専門なんだよね」
「はい!物でも人でも、何でも運びますよ!」
「倉庫って借りれる?」
「…はっ?」
「あ、いや、集荷してきたのを仕分けする場所とか、配送日がまだ先のやつを置いとく場所とか、あるでしょ」
「…は、え、えーと?」
「王都で毎年音楽イベントするってなったら、舞台を組み立てる資材とかいちいち借りるのも大変だし、いっそ買おうかって話になってるんだけど、置き場所が無くて…」
「え、え~、そういうのは、あーと、父に!父たちに聞いてみないと分からないので!!」
「そっか…じゃあ聞いてみてくれない?」
できれば中央公園に近いとこで頼めたら良いんだけど…
配送料が余計にかかっちゃうもんな。
「それとさ、魚を冷凍して運ぶって出来る?」
「れ、冷凍…?ですか?」
「ほら、水魔法で氷結ってあるでしょ、あれで釣った魚を冷凍して送るの…。
ねえネリネ教授、ガーベラ先輩。
氷結箱みたいなのってあります?」
「いや~、多分無いな」
「えっ…無いんですか?冷蔵庫はあるのに?」
「ずっと凍らせとくって、相当の魔力使うもん…超高級でよければ出来ると思うけど」
「冷蔵庫だって相当高級だぞ!基本貴族の家にしか無いからな」
「そういやガーベラ式か…ホイホイ魔石消費しちゃ困るもんな」
「そゆこと」
冷凍馬車があったら、各地からお肉やお魚を…
あっ。
「ねえイドラ君。
各地の名産品や特産品を集めて売る…みたいなイベントある?」
「無いけど…面白そうだね」
「俺、王宮で色々とご挨拶を受けるじゃない?
観光を収入源にしたいってとこ、結構あるんだよね。
だから一緒に観光PRも出来る様にするの、富裕層向けに…
あっ!乗合馬車を乗り継いでいく馬車旅とかできるんならさ、そこまでお金持ちじゃなくてもいけるか…
トレッドさん!旅行雑誌に知り合いとかいません?」
「お~、いるいる」
そうして全くダンジョンと無関係な話をしながら、午前中が過ぎた。
お昼休憩を挟んで、馬車のメンバーが入れ替わる。
午後は一点、ダンジョンでやる実験についての話になった。
「ゴーレムくまちゃん、上手く動くかな」
「操縦者の交代が不安だな…ちゃんと時間計ってくださいよ?」
「これがあるから大丈夫!
この砂時計の砂が落ちきったらな、スイッチが入って音が鳴るんだ」
そういってネリネ教授は大きめの砂時計を見せてくれた。
「30分経ったらこれが音でお知らせしてくれるから、多分」
「多分とはどういうことだ!?」
何故かベルガモット教授が焦る。
するとフェンネル教授が言う。
「セド、その為に僕がいるんだよ…任せて?」
「…………ぅぅ」
いやその為じゃないです。
あなたはビスカリア教授と一緒に魔力溜まりへ行ってアクアネスが生まれるとこを観察する係ですよ?
…なんて怖くて言えない。
「まあその為に魔力溜まりから近いところの穴で実験するんだけどな」
「は!?な、なんだそれは」
「仕方がないじゃないですか、古代魔法研究室も魔力溜まりを調査したいって言うんだから…
な、サーシェ?」
「ちょっ、ここで言う必要…!!」
えっ、ネリネ教授とマグノリア教授ってそうなん?
いやまあそういう事があっても不思議じゃないか…2人ともまだ若いしな。
「叔父さん…いつの間に」
「教授…まじか」
「やめろ2人とも、そんな目で見るな…!」
まだ手を繋ぐとこまでしか進んでないらしいルディ君とワルド先輩がマグノリア教授をジト目で見る。
清い交際で何よりだ。
「あ~、ンンっ。そういえば、カイトとデューイは一足先に王宮だったな?」
「そうですね、合同公演の準備に入ってます」
「楽しみですね!今年はどんなのかな~」
「グッズも新しいの出てるよ!他のグループのも作ってるし、売れたら良いんだけどな~」
グッズの売上がフェスの収入のキモになってるから、何とか売れて貰いたい。
スライムの魔石を使ったグッズもあるし…。
そうそう、一足先に王宮にいったのはカレンデュラ先生もだ。
王宮近衛騎士団の入団試験を受けるんだって。
来年アレクさんが卒業して王宮に就職するから、必ず受かってみせるって言ってたな。
「魔法総合チームはダンジョンの完全攻略に挑戦するんだっけ」
「そうだね、土魔法と火魔法で物理攻撃魔法が出来るのか試したいし」
「儂はゴーレム班じゃからの、ついて行けんが無理はするでないぞ?」
「大丈夫ですよ、ジョンもいるし…ね?」
「ええ、物資は彼らが運んでくれると言うし…頼むぞ、3人とも」
ジョンさんがそう言うと、物資補給係の側近ズが元気に返事をする。
「うっす、頑張って運ぶっす!」
「ホバー台車もあるしね!」
「あれ乗るの結構楽しいよな~」
…この3人がいれば、正直安全の確保とか要らない気がするけどなあ。
ちなみにゴーレム班の護衛は殿下とケンタウレア先生…と。
向こうに着いたら、3人ほど増える気がする。
大所帯すぎてセリンセ商会に乗合馬車の臨時便を2台頼んだ。
「モロー君ちは物流専門なんだよね」
「はい!物でも人でも、何でも運びますよ!」
「倉庫って借りれる?」
「…はっ?」
「あ、いや、集荷してきたのを仕分けする場所とか、配送日がまだ先のやつを置いとく場所とか、あるでしょ」
「…は、え、えーと?」
「王都で毎年音楽イベントするってなったら、舞台を組み立てる資材とかいちいち借りるのも大変だし、いっそ買おうかって話になってるんだけど、置き場所が無くて…」
「え、え~、そういうのは、あーと、父に!父たちに聞いてみないと分からないので!!」
「そっか…じゃあ聞いてみてくれない?」
できれば中央公園に近いとこで頼めたら良いんだけど…
配送料が余計にかかっちゃうもんな。
「それとさ、魚を冷凍して運ぶって出来る?」
「れ、冷凍…?ですか?」
「ほら、水魔法で氷結ってあるでしょ、あれで釣った魚を冷凍して送るの…。
ねえネリネ教授、ガーベラ先輩。
氷結箱みたいなのってあります?」
「いや~、多分無いな」
「えっ…無いんですか?冷蔵庫はあるのに?」
「ずっと凍らせとくって、相当の魔力使うもん…超高級でよければ出来ると思うけど」
「冷蔵庫だって相当高級だぞ!基本貴族の家にしか無いからな」
「そういやガーベラ式か…ホイホイ魔石消費しちゃ困るもんな」
「そゆこと」
冷凍馬車があったら、各地からお肉やお魚を…
あっ。
「ねえイドラ君。
各地の名産品や特産品を集めて売る…みたいなイベントある?」
「無いけど…面白そうだね」
「俺、王宮で色々とご挨拶を受けるじゃない?
観光を収入源にしたいってとこ、結構あるんだよね。
だから一緒に観光PRも出来る様にするの、富裕層向けに…
あっ!乗合馬車を乗り継いでいく馬車旅とかできるんならさ、そこまでお金持ちじゃなくてもいけるか…
トレッドさん!旅行雑誌に知り合いとかいません?」
「お~、いるいる」
そうして全くダンジョンと無関係な話をしながら、午前中が過ぎた。
お昼休憩を挟んで、馬車のメンバーが入れ替わる。
午後は一点、ダンジョンでやる実験についての話になった。
「ゴーレムくまちゃん、上手く動くかな」
「操縦者の交代が不安だな…ちゃんと時間計ってくださいよ?」
「これがあるから大丈夫!
この砂時計の砂が落ちきったらな、スイッチが入って音が鳴るんだ」
そういってネリネ教授は大きめの砂時計を見せてくれた。
「30分経ったらこれが音でお知らせしてくれるから、多分」
「多分とはどういうことだ!?」
何故かベルガモット教授が焦る。
するとフェンネル教授が言う。
「セド、その為に僕がいるんだよ…任せて?」
「…………ぅぅ」
いやその為じゃないです。
あなたはビスカリア教授と一緒に魔力溜まりへ行ってアクアネスが生まれるとこを観察する係ですよ?
…なんて怖くて言えない。
「まあその為に魔力溜まりから近いところの穴で実験するんだけどな」
「は!?な、なんだそれは」
「仕方がないじゃないですか、古代魔法研究室も魔力溜まりを調査したいって言うんだから…
な、サーシェ?」
「ちょっ、ここで言う必要…!!」
えっ、ネリネ教授とマグノリア教授ってそうなん?
いやまあそういう事があっても不思議じゃないか…2人ともまだ若いしな。
「叔父さん…いつの間に」
「教授…まじか」
「やめろ2人とも、そんな目で見るな…!」
まだ手を繋ぐとこまでしか進んでないらしいルディ君とワルド先輩がマグノリア教授をジト目で見る。
清い交際で何よりだ。
「あ~、ンンっ。そういえば、カイトとデューイは一足先に王宮だったな?」
「そうですね、合同公演の準備に入ってます」
「楽しみですね!今年はどんなのかな~」
「グッズも新しいの出てるよ!他のグループのも作ってるし、売れたら良いんだけどな~」
グッズの売上がフェスの収入のキモになってるから、何とか売れて貰いたい。
スライムの魔石を使ったグッズもあるし…。
そうそう、一足先に王宮にいったのはカレンデュラ先生もだ。
王宮近衛騎士団の入団試験を受けるんだって。
来年アレクさんが卒業して王宮に就職するから、必ず受かってみせるって言ってたな。
「魔法総合チームはダンジョンの完全攻略に挑戦するんだっけ」
「そうだね、土魔法と火魔法で物理攻撃魔法が出来るのか試したいし」
「儂はゴーレム班じゃからの、ついて行けんが無理はするでないぞ?」
「大丈夫ですよ、ジョンもいるし…ね?」
「ええ、物資は彼らが運んでくれると言うし…頼むぞ、3人とも」
ジョンさんがそう言うと、物資補給係の側近ズが元気に返事をする。
「うっす、頑張って運ぶっす!」
「ホバー台車もあるしね!」
「あれ乗るの結構楽しいよな~」
…この3人がいれば、正直安全の確保とか要らない気がするけどなあ。
ちなみにゴーレム班の護衛は殿下とケンタウレア先生…と。
向こうに着いたら、3人ほど増える気がする。
18
お気に入りに追加
2,467
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる