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学園5年目

トップシークレット的部外秘

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ある日、俺が魔力計に使えそうな魔法陣をいじくり倒していたところ、魔法馬鹿4人組とネリネ教授にガーベラ先輩、ソラン先輩と古代魔法チームがやってきた。
急に10人やってきたのでカップが足りない…
そして狭い。
ギュウギュウだ。

足りないカップの分、ちょっとクレイとちょっと業火インフェルノで素焼きの湯呑みを作っていると、ネリネ教授が言った。

「ゴーレムを作るにあたって、最低限満たさないといけない基準を先に決めようと思う」
「えっ、なぜここで」
すると魔法馬鹿4人組が口々に言った。
「この部屋が一番防音が効いとるからのぉ」
「角部屋だしね!」
「隣の部屋には念の為にジョンとカレンデュラ先生がいてくれますから」
「上の部屋にはウィンさんとディーさんもいますよ!」

さすが前国王殿下のお部屋だっただけのことはある…トップシークレット的なお話対策か。

「つまり、ゴーレムの事は国家機密扱いになるんですね?」
「そうじゃな」
「ガントレットはノースさんに喋らないようにね」
「ソランもイドラに話すでないぞ」

ただ相手が相手だからなあ。
バレる可能性も高そう…めっちゃ不安。

「あの…ノースさんにバレたらどうなるんですか?」
「国家機密を共有できるだけの同盟関係を築くしかないですね」
「どうあれ、平和利用以外お断りじゃ」

軍部にも話すつもりはない、とおじいちゃん。
なかなかのトップシークレットだな…。

「ただ、あの時のゴーレムはみんな見ちゃってますけど…どうします?」
「あれは「魔法」だからな。再現したけりゃすればいいと思うけど…」
「最悪術者が死ぬってみんな分かっただろうし…
 あん時のルース見てたら簡単に手は出せねーよ。
 なあルディ」
「はい!新種の拷問受けてるみたいでした!」
「ヒエッ」

ルディ君がニコニコと恐ろしい物の例えをする。

怖い。

そういうわけで、古代魔法研究室はゴーレムの事は論文にしないと決めたらしい。
マグノリア教授が続ける。

「まあそれはそれとしてだな。
 魔道具になってあれが誰でも使える様になったとしたら事故も起きるし悪用するやつも出る、それに分解して改造すりゃ軍事転用なんてすぐだ」
「そうだな…だったら敢えて高魔力保持者でないと使えない仕様にするか」
「となるとやっぱりガーベラ(タッチ)式に?」
「う~ん、それでいいとは思うが…」

まずどういう仕様で行くか、の話から、
悪用や兵器転用を防ぐ手段は…
もしも暴走した場合の対策は…
魔生物化しないための方策は…

と、みんなで話し合った結果、

<悪用・兵器転用対策として>
・魔力量で暗に使用者制限をかける
・操作に免許制度を導入する
・製造方法は非公開、製造者も最低限に

<暴走対策として>
・大きさは縦・横・高さそれぞれ20cm以内
・回路部分以外は材質を柔らかいものに
・外部から魔力を遮断できるようにする

<魔生物化対策として>
・自律して動くものにしない
・紐等で操作者とゴーレムを物理的に繋ぐ

ということが大体決まった。
俺はネリネ教授とガーベラ先輩に聞いた。

「んじゃ使用者制限の基準はどこにします?」
「とりあえずの基準はシャラパールでの大ミミズ戦の時のルース……だな。
 そうすれば、自然と交代要員もこの中のメンバーになるだろ?」

ネリネ教授はそう言ってぐるりと全員を見渡す。
ガーベラ先輩が続ける。

「多分、魔法総合の皆さんなら全員いけるかと」
「あと、魔法棟5侯爵とかだな。
 ベルガモット教授に今更隠せないだろ?巻き込むしかないからな」

うん、確かにそのへんの人なら俺より多いはず…と納得しかけたとき、エルさまが言った。

「当時の魔力量って、今の状態から推測出来るんですか?ルース先生の魔力量、今恐ろしい事になってると思いますけど」
「えっ?」
「ルースさん!魔力枯渇で死にかけた事、忘れたんですか!?」
「ルース君、そういうとこだよ…」

カート君とヘザー先輩に責められて思い出す。
確かにこの前、限界超えるくらい使ったから…
理論上は魔力量が上がってるはずだ。

「ただ、上限ってものがありますしね…そこまで変わってる感じ無いですけど」

そうすると、ネリネ教授とガーベラ先輩がため息まじりに言った。

「やっぱり先に魔力計が無いと駄目ですね…」
「うん、まあ…そう、だわなあ」
「えっ、ほんとですか?やった!」

あー良かった!
俺1人じゃやっぱ不安だったしさ。

これで殿下のお仕置きも回避できるように…


…なるよね?
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