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学園4年目

祝い事の宴

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俺がスヤスヤと寝ている間に、集落の復旧作業はほぼ終わっていた。

まず「建物の復旧」がめちゃくちゃ早い。
魔法工法で一気に外壁を作れてしまううえに、シャラパール工兵隊の仕事が早い。
資材の手配なんかもサンドワーム戦の前に終了していたそうで、優秀過ぎる商人ズがほんと恐ろしい。
さらにこの集落に住んでいた各部族への支援金の話もまとまっていたのだから素晴らしい。

「ほら、俺が付いてきて正解でしょう?
 ルースが寝ている間にちゃんと素材から魔石から、全部商談まとめといたよ」

イドラ君曰く、こういう時国は支出を抑えるために素材や魔石を売ったお金を補償金や見舞金の足しにするんだって。
俺、倒した後の事なんて考えもしなかったよ…
今後の参考にしよう。

しかし、13日間も寝てたとは思わなかった。
寝ている間に誕生日は来てるし、その~…あれだ。

初めての…ふ、ふぇ…

あーもういい!!
考えたら負けだから!!

そんなわけで今日は、超巨大サンドワームに勝利したことと、魔物の大発生を制したことと、復興の目処がたったことと、俺が無事に目を覚ましてお粥生活から脱却したことと、殿下の誕生日と俺の誕生日と、魔力回復の手段が見つかったことと、ゴーレムを作る魔法が復活したことと…

とにかくめでたい宴が開かれることになった。

***

「乾杯!!」
「かんぱーい!!」

お酒はハタチになってから!
というわけで、俺たち学生は全員ココナッツジュースで乾杯だ。
とってもトロピカルで素敵だと思う。
2年生の時のクリパの反省を生かして、アルコール類は厳重に管理していかないとな。

「エルさま!それはお酒ですよ」
「アレクさん!カレンデュラ先生と同じものを飲んじゃ駄目」
「ガーベラ先輩も、それお酒ですから」

あーそうか、彼氏が成人してるとねー。
彼氏がお酒飲むから、興味も出るし間違えることもあるってことか。
今後は未成年は未成年で固めるしかないな…

「うふふ、ルース先生たら、じいみたーい」
「じ、じい…爺?」
「やだえっちい…」
「「どこが!!?」」

そしてエルさまは雰囲気で酔えるタイプらしい。
困ったもんだ。

「まあまあルース殿、細かい事はいいじゃないですか…誕生日おめでとうございます!」
「ほ、ほんと、お目覚めになられて、ううっ、よかったれす!!」
「ゴーレムでの戦い、感動しました!」
「倒れても最後まで戦い抜く姿に惚れました!」
「ならん」

もう…殿下ったら、酒の上での妄言にまで妬かなくてもいいのに。

・・・・・・

そんなこんなでまさに宴もたけなわ…となったころ、ノース兄さんに誘われて宴の輪から外れた。

「ありがとうルース、シャラパールの危機を救ってくれて」
「別に俺だけの手柄じゃないけどね…」
「ううん、シャラパールの為に古代魔法を読み解いて、魔力が尽きるまで戦ってくれて…感謝してる」
「…兄さん」

そっか、今ノース兄さんはシャラパールの王族として、俺に話してるんだ。
じゃあ俺もローズ王国の貴族として対応するべきだろう。

「今回の事で、シャラパールとローズがより親密な関係になれるんなら…それでいいんだ」
「…ルース」
「平和が一番だから。その為にノース兄さんがこの国へ輿入れしたんだもん」
「そっか」

兄さんがにっこりと笑う。
俺も同じように外交的笑顔で笑う。
何だかおかしくなってプッと吹き出す。
そして2人で声を上げて笑う。

そういえば聞きたい事があったんだ。
今なら兄弟として聞けるかな。

「兄さん、ヒデル兄さんと連絡とったりする?」
「ああ、アルテミシアのホスタとは普通に交易もしてるからね」
「あのね、ヒデル兄さんにね、魔力を回復させる薬とか食べ物とかが伝わってないか聞いて欲しいんだ」
「えっ?もしかして、アレが嫌なの?」
「それは!その…まあ、あれだよ…
 相手が居ない人は使えないじゃん?」
「ああ、まあ、そうだね。今度聞いておくよ」

ノース兄さんはそう約束してくれて…
それから俺に、言った。

「ねえルース。少しは閨の事、受け入れられそう?」
「うん、今はアルファード殿下だけ、ね」
「そう…でも、もっと色んな人を受け入れられないと…辛いかもしれないよ?」
「分かってるよ、でももう少し…待って」

ごめんね兄さん。
もう少しだけ抵抗させて。

俺、神に逆らう手段を、考えてみるから。

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