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学園4年目

ブームの予感

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第一砦で始まった「剣で魔法を巻き取る」技は混迷を極めた。

「ちっとも巻き取れんな…」
「そもそも魔法を剣で受ける、ということで合っているのか?」

電撃剣チームはサンダーやらウォーターやらファイヤーやらを食らいながら頑張るけど、なかなかうまくいかない。
回復係が追いつかず、仕方ないので光属性のヒソップ教授を呼んでくることになり…結果魔法棟5侯爵が揃い踏みして実験班の規模が大きくなってしまった。

「魔法を斬る、のほうが現実的かもね…」
へとへとになったウィン兄が言う。
「確かに、魔法を剣圧で散らすのはもうできるし…」
ボロボロになったディー兄も言う。
「そんなこと出来るんですね」
と魔法を使いすぎた俺が言うと、
「でなければ魔法使いと戦えんだろう」
ふらふらになった殿下も言う。

そんな技が普通に存在するんなら、刃のほうで魔法を巻き取るのは無理かもしんない…
俺はカレンデュラ先生に聞いた。

「相手の剣をいなして懐に入って柄頭で攻撃、みたいな技ないですか?」
「おお、よく知ってるな!あるぞ」
「あんな感じで魔法を受けてみたらどうですかね?」

そう俺が言うと、ジョンさんが複雑そうな顔をした。

「やはり剣先では駄目か…」
「刃のほうだと、斬るイメージのほうが先行しがちになりません?」
「それは、まあ、そうなんだが…うーん」

結局体術に寄ってっちゃうのが不満らしい。
仕方ないのでもう少し考えてみる…

「相手の剣に、上からいって、こう…くるっ、シュバッ…って巻き上げる、みたいのあります?」
「うん、レイピアの技にそういうのあったかも」
「その動きなら、「巻き上げる」イメージが強いから、ワンチャンあるかな…」
「…よし、やってみるか」
「…エルは休んでいて下さい」
「うん、ごめんね…私も限界…」
「フェンネル先生!頼みます!」
「えっ、僕?まあいいけど…」

ジョンさんとカレンデュラ先生はフェンネル教授に「ウォーターボールを一定のタイミングで出し続けて欲しい」と言い、ふらつく足で魔法練習場の中央に立った。

「「頑張れ!!」」

エルさまとアレクさんの応援の声がハモる。
周囲が一瞬生暖かい空気で包まれる。
その隙をついて辺境の双璧がヒソヒソと話をする。

「ルーが剣術詳しいの、不思議だね…」
「自分では使えないのにな」
「何か言いました!?」

俺の声を合図に、フェンネル教授が詠唱した。

「ウォーターボール!」


***

「うわーーーー!!」

ゴード先輩がまたも波にのまれて消える。

カレンデュラ先生とジョンさんが剣で魔法を巻き取る事に何とか成功し、2人の水魔法剣がお互いビッグウェイブまで成長したところで揃って崩壊した結果、ビッグなビッグウェイブとなってゴード先輩を直撃したのだ。
…あの人水に呼ばれてんのかな?

仕方が無いから3人とも洗って仮眠室のベッドへ寝かし、残ったみんなで新しい技についての考察をし、メモに纏める。
ウィン兄とディー兄はカレンデュラ先生とジョンさんの功績に大興奮。

「ついにできたね、剣での巻き取り!」
「そうだな、あとは風魔法剣ならどんな攻撃魔法でも巻き取れるのか…か」
「ディーの出番だね!」
「おう、頑張る!ルーも協力してね?」
「もちろん、俺からもお願いするよ」

元々風属性持ちだったディー兄はやる気満々だ。
魔法剣を使えて、自然の動きができる剣士さんが他にもいれば、協力してもらいたいな…

「…むう…」
「どうしたんですか殿下?」
「俺もやる…」
「えええ!?」
「魔力があれば「ワンチャン」あるのだろう?」
「え、いや、しかしですね」

そんな!今まで興味無さそうだったのにいきなり!?
どっから来たのそのムーブ!!

「殿下も挑戦するとなれば、一気に流行りそうですよね…」
「これで魔法棟と武術棟の距離が縮まるのう、良い事じゃ」
「常に上を目指される姿勢、感動致しました、殿下!!」

あっ、もー…
声のでかい人にまでみつかったじゃん!
もう後には引けませんよ、殿下!!

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