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学園4年目
埋まる側室枠の真実
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側室の枠が埋まりつつある…という話が気になりすぎて、寮に帰ってすぐ殿下に確認してみた。
「殿下、側室の枠が埋まりそうだって…本当ですか?」
「ああ、馬鹿が勝手に売りに出しているらしい」
「…は?誰がですか?」
「プリムラ公爵だ」
「またですか!?」
あいつなんぼ程やらかすねん。
馬鹿になるように洗脳されとるんか?
「正確には「プリムラ家が側室に推薦する権利」を売っているんだがな。
あの馬鹿、賭けの胴元になったはいいが、勝手に倍率を操作した結果大損して金が無いんだろう」
「誰が買うんですかね」
「それなりに金があって、かつ一粒種が続いている貴族だろう」
「あれですね、側室になれば俺が1人は産んでくれるって噂を利用してるわけですね」
「うむ…調べたところ、どうやらもう20人ほどその気で金を払ったようだな」
「馬鹿かな?」
人間が何人産めると思ってんだ?
ホント無責任つうか無知というか…
「…いよいよお取り潰しまっしぐらですな」
「これほど馬鹿だとは思わなかったな…」
殿下と2人してため息をつく。
ため息しか出ない。
こんな馬鹿しか派閥にいないの?
コーラス様も大変ね。
プリムラさんちの息子さんは生徒会会計、か…
あ。
「まさか、生徒会費に手を付けたりはしてないですよね?」
「さすがにそれは無かろう…と、思いたいがな…」
殿下は数枚の紙を取り出した。
「フィーデが気づいたんだが、来年度の学園祭予算が多すぎるんじゃないかということだ。
詳しく調べんと何とも言えんが…フィーデにやらせるのは危険だろうから、調査はこちらで行うから暫く手伝うふりをしてただ見守るようにと指示した。
また洗脳などという事になれば大変だからな」
確かに、生徒会役員なら一度は洗脳されててもおかしくないもんな。
「それに、テナチュール様はここ最近急に心を入れ替えたって噂になってますしね」
「うむ、洗脳が解けたせいとも考えられるからな。
今後は経営や政経の授業などで関わり合う事も増えるだろう。仲良くしてやってくれ。
良き友人としてな」
えー!珍しい!
殿下が仲良くしてやれだなんて初めてじゃないの!?
「フィーデの存在がフリージアやバイオレットの息子にもいい影響を与え始めているし、繋がりを持っておくのは悪くない。それに、テナチュールの伴侶殿に第2子が出来たそうだし」
「え!?今!?」
「お前の嘘が良い方へ転がったんだろう。
フィーデが側室になりたいなどと言い出す事も無かろうし、真面目な高位貴族は貴重だからな。
但し、積極的にお前から声を掛ける事はならん」
「はい」
まあ、急に距離詰めるのも不自然だもんな。
というか…
「殿下ってヤキモチ焼きですよね、意外と」
「俺は普通だ。お前がおかしいんだ」
「…そうですかね?」
そういえば、俺って嫉妬とかしないな。
なんでだろう…
「ゼフが『そうなるように育てた』と言っていた」
「え、そうなんですか?
あんまり心当たり無いですけど…」
言われてみたら、元々1人にフラれてもめげることなく30人にフラれ続ける役になるはずだったんだもんな。
嫉妬するほど執着してたらそうはいかないよね、フラれるって結構辛いもん。
「俺、元々は恋愛しないで一生を終える予定だったでしょうからね」
「…そうか」
「だって俺、本来なら自分の父親くらいの歳の人たちにとっかえひっかえ種付けされるはずだったんですもんね?
まともな精神で務まるとは思えませんし、まあ…子どもを作る道具になるわけですから、そう扱われても不幸と感じない人間であるように考えてくれたんだと思います。
歴代の当主たちが知恵を絞って…それを不幸と感じないようにする教育方法を考えたのかな、と」
「……ああ」
産む道具に途中からなるのはつらい。
だから最初からそう育てればいい。
そういえばうちの書庫には恋愛小説が無かった。
その事と多少は関係もあるだろう、と思う。
「でも、殿下…アルが俺のこと、変えてくれた。
愛してるって、俺のものだって…
言い続けてくれたから」
執着されたから、芽生えるものがあったと思う。
ゼフ父さんもきっとそうだったんじゃないかな…。
俺は何となく殿下に抱き着いてみる。
こうして俺からハグするのは久しぶりだ。
殿下は俺の事をすごく優しい目で見て…
それから、言った。
「ところでルース。
お前、何か大事な事を忘れていないか?」
「?大事な事?」
「お帰りのキスをしていない」
「えっ?」
「…まだそういう事は分からんのだな。
ではみっちり教えてやろう…ベッドの上で」
えええ!
何でそうなるのよ!!
あっ、やん!
「殿下、側室の枠が埋まりそうだって…本当ですか?」
「ああ、馬鹿が勝手に売りに出しているらしい」
「…は?誰がですか?」
「プリムラ公爵だ」
「またですか!?」
あいつなんぼ程やらかすねん。
馬鹿になるように洗脳されとるんか?
「正確には「プリムラ家が側室に推薦する権利」を売っているんだがな。
あの馬鹿、賭けの胴元になったはいいが、勝手に倍率を操作した結果大損して金が無いんだろう」
「誰が買うんですかね」
「それなりに金があって、かつ一粒種が続いている貴族だろう」
「あれですね、側室になれば俺が1人は産んでくれるって噂を利用してるわけですね」
「うむ…調べたところ、どうやらもう20人ほどその気で金を払ったようだな」
「馬鹿かな?」
人間が何人産めると思ってんだ?
ホント無責任つうか無知というか…
「…いよいよお取り潰しまっしぐらですな」
「これほど馬鹿だとは思わなかったな…」
殿下と2人してため息をつく。
ため息しか出ない。
こんな馬鹿しか派閥にいないの?
コーラス様も大変ね。
プリムラさんちの息子さんは生徒会会計、か…
あ。
「まさか、生徒会費に手を付けたりはしてないですよね?」
「さすがにそれは無かろう…と、思いたいがな…」
殿下は数枚の紙を取り出した。
「フィーデが気づいたんだが、来年度の学園祭予算が多すぎるんじゃないかということだ。
詳しく調べんと何とも言えんが…フィーデにやらせるのは危険だろうから、調査はこちらで行うから暫く手伝うふりをしてただ見守るようにと指示した。
また洗脳などという事になれば大変だからな」
確かに、生徒会役員なら一度は洗脳されててもおかしくないもんな。
「それに、テナチュール様はここ最近急に心を入れ替えたって噂になってますしね」
「うむ、洗脳が解けたせいとも考えられるからな。
今後は経営や政経の授業などで関わり合う事も増えるだろう。仲良くしてやってくれ。
良き友人としてな」
えー!珍しい!
殿下が仲良くしてやれだなんて初めてじゃないの!?
「フィーデの存在がフリージアやバイオレットの息子にもいい影響を与え始めているし、繋がりを持っておくのは悪くない。それに、テナチュールの伴侶殿に第2子が出来たそうだし」
「え!?今!?」
「お前の嘘が良い方へ転がったんだろう。
フィーデが側室になりたいなどと言い出す事も無かろうし、真面目な高位貴族は貴重だからな。
但し、積極的にお前から声を掛ける事はならん」
「はい」
まあ、急に距離詰めるのも不自然だもんな。
というか…
「殿下ってヤキモチ焼きですよね、意外と」
「俺は普通だ。お前がおかしいんだ」
「…そうですかね?」
そういえば、俺って嫉妬とかしないな。
なんでだろう…
「ゼフが『そうなるように育てた』と言っていた」
「え、そうなんですか?
あんまり心当たり無いですけど…」
言われてみたら、元々1人にフラれてもめげることなく30人にフラれ続ける役になるはずだったんだもんな。
嫉妬するほど執着してたらそうはいかないよね、フラれるって結構辛いもん。
「俺、元々は恋愛しないで一生を終える予定だったでしょうからね」
「…そうか」
「だって俺、本来なら自分の父親くらいの歳の人たちにとっかえひっかえ種付けされるはずだったんですもんね?
まともな精神で務まるとは思えませんし、まあ…子どもを作る道具になるわけですから、そう扱われても不幸と感じない人間であるように考えてくれたんだと思います。
歴代の当主たちが知恵を絞って…それを不幸と感じないようにする教育方法を考えたのかな、と」
「……ああ」
産む道具に途中からなるのはつらい。
だから最初からそう育てればいい。
そういえばうちの書庫には恋愛小説が無かった。
その事と多少は関係もあるだろう、と思う。
「でも、殿下…アルが俺のこと、変えてくれた。
愛してるって、俺のものだって…
言い続けてくれたから」
執着されたから、芽生えるものがあったと思う。
ゼフ父さんもきっとそうだったんじゃないかな…。
俺は何となく殿下に抱き着いてみる。
こうして俺からハグするのは久しぶりだ。
殿下は俺の事をすごく優しい目で見て…
それから、言った。
「ところでルース。
お前、何か大事な事を忘れていないか?」
「?大事な事?」
「お帰りのキスをしていない」
「えっ?」
「…まだそういう事は分からんのだな。
ではみっちり教えてやろう…ベッドの上で」
えええ!
何でそうなるのよ!!
あっ、やん!
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