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学園3年目

もうすぐ春休み

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殿下とイチャついては疲れて寝る…を繰り返していたら、いつの間にか婚約発表が終わっていた。
久々に外に出て、4日前の新聞を見せてもらってから気付くとか…自分の事なのに他人事っぽい。
その日の新聞には、一面トップで談話と一緒に婚約証書も掲載されていた。

「はー、こんな書類交わしてたんですねぇ」
「そうだ、婚約契約は親同士の同意によって成されるものだからな」
「子どもの意志は関係ないんですか?」
「侯爵以上の家格を持つ貴族は未だに政略結婚が殆どだ。子どもの意志など考慮されない…お互いが仲良くなるように努力はするのだろうが」
「他に好きな人が出来ちゃったら…?」
「本人の意思が固ければ婚約を解消することになるだろうが、契約どおりに無理矢理にでも輿入れさせられる方が多かろうな」

まあそうだろうな…じゃなきゃイフェイオン家なんかに誰も嫁がないよ。
父さんの手記にもあったけど、あの家ヤバいもん。

「そういうのが一人っ子になる原因なのでは?」
「確かにな」

この世界だって、お産は命がけだよ?
命を賭けるほどの愛か打算が無かったら、普通に「欲しけりゃお前が産めば?」ってなるじゃん。
だってどっちも産めるんだよ?
なのに当主だから産んでもらうのが当然みたいな顔されたらねぇ。

「産ませた側の男って大抵偉そうにしてるし」
「まあな…それが家格の高い者の特権…のようなものだからな」

ちなみに、領地を持たない子爵家以下同士の結婚だと、両方とも産むことが多いそうだ。
お互いに命を賭けて愛しますよ…ってことの証明なんだって。
それもまた凄い話だよな。
領地の在る無しで温度差違いすぎでしょ…

「伯爵家以上で当主が子どもを産むのはユーフォルビア家だけですもんね」
「だから馬鹿どもは産むのが家業だなどと言うのだろうな。馬鹿であるがゆえに、それが家業と言うなら子どもを産めば産むほど金持ちにならねばおかしいということにも気づかん。つくづく見たいものしか見ない屑どもが多いことだ」

殿下ったら、何だか今日は辛辣だなあ。
あ、もしかして…

「この雑誌、ですか?『ユーフォルビアは被害者だった!?王家の横暴を全て暴く!』って…?」
「…そうだ。
 お前を攻撃して駄目なら今度は王家こっちだ。
 自分たちの派閥に「国民」を取り込もうとしているんだろう」

俺は中身を読んでみた。
簡単に言うと「俺には他に好きな人がいるのに、多産であることに目をつけた王家が直系の血筋を守るためだけに無理矢理召し上げた」…という内容だ。
悪役の次は悲劇のヒロイン?

ざ・つ・す・ぎ!!」
「……は?」
「だって手のひら返すにしても、もうちょっとやりようがありますよ!?これじゃ今まで俺を散々叩いてた言い訳も立たないし!」
「…そうか?」
「そうですよ!!
 普通発表にぶつけるんなら、何パターンか原稿を用意するもんでしょうに…何考えてるんだろ?」

そう、ここが一番過激に俺を叩いてた。
国の税金で贅沢三昧を夢見てるとか、莫大な借金を国に肩代わりさせるつもりだとか、王宮でイケメン漁りするはずだとか書き立てて、毎週のように俺と寝た男を用意しては実話と称したどエロ小説を掲載してた…

あの風俗情報誌と違って、実名で。

「あっ」
「どうした?」
「ここ、もしかしてバイオレット公が圧かけてる出版社だったりしませんかね」
「…はは、確かに。あれは短気だからな」
「ついに整合性のとれない捏造を始めちゃって…。
 早めに調べたほうが良くないですか?正気じゃなさすぎますよ」
「そうだな。新学期までには終わらせよう」

他の雑誌がどう出るのか分からないけど、捏造するとしてもここよりはましな事をやるだろう。
そっちの方も考えとかなきゃ…対応を間違えたら確実にやられる。

「それで、こっちは彼らの手が及んでいない専門誌を使って地道に反撃していきましょう。伝手は色々ありますから…ファッション誌以外は」
「そうだな、やられっぱなしは性に合わん」

とりあえず、この雑誌は許さん!
責任者出てこい!!


ーーーーー

退院できましたので、今日から深夜0時に時間を変えまして定期更新させて頂きます。

宜しくお願い申し上げます!
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