186 / 586
学園3年目
3学期ですよ!
しおりを挟む
3学期。
殿下と俺が15歳になるまであと1ヶ月ほど。
つまり婚約発表まであと1ヶ月ほどである。
俺と殿下は誕生日が2月で、殿下は14日、俺は16日と大変近いのだ。きっと、かつて当て馬として生まれてきた名残だろうな…と思う。
残念ながら、世間的には当て馬になるどころか穴馬になったり悪役令息になったりとキャラ設定がグズグズになっているのだが…。
今日はトレッドさんが今まで発行された「婚約者ダービー」関連の記事が載った雑誌をしこたま集めて持ってきてくれたので、みんなに内容ごとに分ける作業を手伝ってもらっている。
エルさまがある雑誌を手に言う。
「ええ~、未だにこういう記事があるんですか?
もー、私がアルファード殿下とクリスマスに愛を交わした…なんて捏造記事、誰が書くんだか」
それに対してトレッドさんがフォローする。
「書かされてるパターンもありますからね~」
ジョンさんは嘆かわしいとため息をつく。
「エルをローズ王家へ輿入れさせるために多額の資金が動いたと聞いていますから、今更引き下がれない方がいらっしゃるんでしょうねぇ」
ワルド先輩は世の中に意味のないものあったわ…
と前置きして呆れた声で言う。
「これ今年の秋の?俺とルディが新キャラ登場みたいになってんだけどこれ何?どういうこと?」
ケンタウレア先生も納得はいかないが…
と前置きしてから言った。
「学園の外で殿下と一言でもしゃべったらこうなるんじゃないか?…ほら」
去年の巨大サンドワーム退治の後に出た雑誌に、カイト君とルディ君が目を丸くして驚く。
「ええーーーー!ケンタウレア師が!?」
「えっ、でもでも、えー!?」
ケンタウレア先生は悲しそうに呟く。
「やつら既婚者でもお構いなしでな…これのせいで未だに伴侶が冷たいんだ……」
「「ハニー」」
ハニー…ハニーか…
ちょう似合わないな。
「でもやっぱり俺を悪く書く記事は多いですね。
特に最近は『淫蕩~とか淫乱~とか言っとけばいいんだ!』みたいな開き直りが酷くないです?
お、『ルース・ユーフォルビアの遍歴は異常!咥え込んだ男は100人以上!?』だって…これは若干オリジナリティー出してきてるな…ラップみたい」
すると、カート君が心配そうに聞いてくれた。
「あの、ルースさん、…大丈夫ですか?」
「あー、あのときは本当…初めての事でパニックになっちゃって、ごめんね…心配かけて」
あれ以来俺も妙に図太くなって、多少のことじゃ動じなくなったというか…
「周りが平常運転だからかなぁ…市場でも普通だし、学園でも普通だし、研究者の方々とはむしろ最近お付き合いの幅が拡がってるし…」
すると、何かの用事で砦へきたはずが作業に巻き込まれてるデューイ君が言った。
「音楽でも作曲家と曲は切り離して評価するのが普通ですし、研究者の方も成果と研究者を切り離して評価してるんじゃないですかね?」
するとイドラ君も言った。
「借金~とか貧乏~とか守銭奴~とかいう記事が、うちが後ろに付いたって情報が流れたとたん消えたからさ、信憑性が薄れたのかもねー。
ほら、俺のこのインタビュー記事!ここにちらっとね、ルースとの関係を匂わせといたんだ。
これ以降、経済事情関連の記事がほぼ出なくなってると思うんだけど…」
するとおやつに釣られてやってきたソラン先輩がその記事を声に出して読む。
「えっどれどれ?『彼とは良好な関係を続けていきたいと思っています』…って、これだけ?」
「ええ、これだけ残ってれば後は業界内で一気に拡がるんで…泣く泣く切り落とした部分がね」
「ヒェッ」
イドラ君、メディアまで操るとは…
アイリス商会、安泰すぎるな。
トレッドさんが言った。
「新聞は、ルースを落とすんじゃなくて他を持ち上げる手法が使われてるな」
「確かに、俺の名前が出た記事がほぼ無いですね」
「ルースの認知度だけを下げて人気を無くそうって作戦だな。…多分。それにこれなら正式発表があった後でも波風が立たなくて済むし。…と思う。うん」
「そうなんですねぇ」
ヘザー先輩が言った。
「かたや雑誌の方は、ジャンルにもよりますけど…こういう破廉恥なものは特にめちゃくちゃですね」
「ルースが次々に童貞を食いまくる小説が連載されちゃってるやつあるくらいだからなぁ…」
「はあーーー!?」
これは一度話をしに行かねばなりませんな!
憤る俺を見て殿下はクスリと笑い、言った。
「さて、一旦の分類は終わったか…
いちいち反論するのも面倒だが仕方あるまい。
談話とはそういうものだからな」
婚約発表談話が発表されるまで、あと1ヶ月。
「過去最長になりそうじゃのぉ」
おじいちゃん先生が他人事のように言った。
殿下と俺が15歳になるまであと1ヶ月ほど。
つまり婚約発表まであと1ヶ月ほどである。
俺と殿下は誕生日が2月で、殿下は14日、俺は16日と大変近いのだ。きっと、かつて当て馬として生まれてきた名残だろうな…と思う。
残念ながら、世間的には当て馬になるどころか穴馬になったり悪役令息になったりとキャラ設定がグズグズになっているのだが…。
今日はトレッドさんが今まで発行された「婚約者ダービー」関連の記事が載った雑誌をしこたま集めて持ってきてくれたので、みんなに内容ごとに分ける作業を手伝ってもらっている。
エルさまがある雑誌を手に言う。
「ええ~、未だにこういう記事があるんですか?
もー、私がアルファード殿下とクリスマスに愛を交わした…なんて捏造記事、誰が書くんだか」
それに対してトレッドさんがフォローする。
「書かされてるパターンもありますからね~」
ジョンさんは嘆かわしいとため息をつく。
「エルをローズ王家へ輿入れさせるために多額の資金が動いたと聞いていますから、今更引き下がれない方がいらっしゃるんでしょうねぇ」
ワルド先輩は世の中に意味のないものあったわ…
と前置きして呆れた声で言う。
「これ今年の秋の?俺とルディが新キャラ登場みたいになってんだけどこれ何?どういうこと?」
ケンタウレア先生も納得はいかないが…
と前置きしてから言った。
「学園の外で殿下と一言でもしゃべったらこうなるんじゃないか?…ほら」
去年の巨大サンドワーム退治の後に出た雑誌に、カイト君とルディ君が目を丸くして驚く。
「ええーーーー!ケンタウレア師が!?」
「えっ、でもでも、えー!?」
ケンタウレア先生は悲しそうに呟く。
「やつら既婚者でもお構いなしでな…これのせいで未だに伴侶が冷たいんだ……」
「「ハニー」」
ハニー…ハニーか…
ちょう似合わないな。
「でもやっぱり俺を悪く書く記事は多いですね。
特に最近は『淫蕩~とか淫乱~とか言っとけばいいんだ!』みたいな開き直りが酷くないです?
お、『ルース・ユーフォルビアの遍歴は異常!咥え込んだ男は100人以上!?』だって…これは若干オリジナリティー出してきてるな…ラップみたい」
すると、カート君が心配そうに聞いてくれた。
「あの、ルースさん、…大丈夫ですか?」
「あー、あのときは本当…初めての事でパニックになっちゃって、ごめんね…心配かけて」
あれ以来俺も妙に図太くなって、多少のことじゃ動じなくなったというか…
「周りが平常運転だからかなぁ…市場でも普通だし、学園でも普通だし、研究者の方々とはむしろ最近お付き合いの幅が拡がってるし…」
すると、何かの用事で砦へきたはずが作業に巻き込まれてるデューイ君が言った。
「音楽でも作曲家と曲は切り離して評価するのが普通ですし、研究者の方も成果と研究者を切り離して評価してるんじゃないですかね?」
するとイドラ君も言った。
「借金~とか貧乏~とか守銭奴~とかいう記事が、うちが後ろに付いたって情報が流れたとたん消えたからさ、信憑性が薄れたのかもねー。
ほら、俺のこのインタビュー記事!ここにちらっとね、ルースとの関係を匂わせといたんだ。
これ以降、経済事情関連の記事がほぼ出なくなってると思うんだけど…」
するとおやつに釣られてやってきたソラン先輩がその記事を声に出して読む。
「えっどれどれ?『彼とは良好な関係を続けていきたいと思っています』…って、これだけ?」
「ええ、これだけ残ってれば後は業界内で一気に拡がるんで…泣く泣く切り落とした部分がね」
「ヒェッ」
イドラ君、メディアまで操るとは…
アイリス商会、安泰すぎるな。
トレッドさんが言った。
「新聞は、ルースを落とすんじゃなくて他を持ち上げる手法が使われてるな」
「確かに、俺の名前が出た記事がほぼ無いですね」
「ルースの認知度だけを下げて人気を無くそうって作戦だな。…多分。それにこれなら正式発表があった後でも波風が立たなくて済むし。…と思う。うん」
「そうなんですねぇ」
ヘザー先輩が言った。
「かたや雑誌の方は、ジャンルにもよりますけど…こういう破廉恥なものは特にめちゃくちゃですね」
「ルースが次々に童貞を食いまくる小説が連載されちゃってるやつあるくらいだからなぁ…」
「はあーーー!?」
これは一度話をしに行かねばなりませんな!
憤る俺を見て殿下はクスリと笑い、言った。
「さて、一旦の分類は終わったか…
いちいち反論するのも面倒だが仕方あるまい。
談話とはそういうものだからな」
婚約発表談話が発表されるまで、あと1ヶ月。
「過去最長になりそうじゃのぉ」
おじいちゃん先生が他人事のように言った。
30
お気に入りに追加
2,467
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる