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学園3年目

結局、今年もとっ散らかる

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「最強魔法使いに挑戦する権」争奪、大魔法大会。


第1試合からいきなりビッグマッチ。
水属性エバ・ファンネル教授 対 風属性キューブ・オレガノ教授。

初手からファンネル教授が容赦なくアイスランス百連撃で攻めるも、それを自分を中心に設定した強力トルネードで弾き返すオレガノ教授、
砕かれた氷の欠片が空へ舞い上がり、トルネードが終わった瞬間、それが一気に降ってくる!!

「やべえ、結界しろ結界!」
「安心しろ、すでに展開済みだ」
「さすが神官長」
「私を中心に半径5メートル程だがな」
「てめー!ここ範囲外じゃねーか!!」
「それは君が不信心だからじゃないか?」

何気に観客側でも守備合戦だ。
神官長は結界の上、物理結界まで張れるらしい。
外に取り残されたワルド先輩は神官長に頭を下げないと中に入れてもらえない模様…変なとこでS気質なんだよなぁ、この人。

「いやあ、こんな魔法合戦見たことないね!
 …来年はこれも込みで券の値段を3倍に」
「観客の安全を確保できればね!?」

あっちじゃビックウェイブとストームがぶつかり合って相乗効果を引き起こして天変地異テンペスト一歩手前ですぞ!?うわ、どうなんのー!?
…と言ってる間に、オレガノ教授が距離を詰めファンネル教授に水平チョップを叩き込み試合終了。

「ぐっ…ごふっ」
「イエーイ!俺の勝ち!!」

えー!最後はそれなのぉー!?

がっかりする俺に、救護係を買って出てくれた光属性のローラ・ヒソップ教授が言う。

「純粋に魔法だけで勝負となると、グロリオサ卿には勝てませんからね」
「あー、なるほど」

そりゃ魔法では誰も勝てないだろうけどね…
さっきの氷の欠片も、隣に座った息子を守る為に炎で傘を作って(無詠唱)消滅させてたし。
サンタ魔王、いちいち規格外なんだよなぁ…赤い衣装が炎に見えてきたぜ。


第2試合…こちらも教授対教授。
なんと火属性セドリック・ベルガモット教授 対 魔法拳ランディ・ケンタウレア教授。

「ビッグマッチが続きますね」
「ベルガモット教授、大丈夫かな…」

体格が違いすぎる。
というかケンタウレア先生がデカ過ぎる。
ベルガモット教授もそれなりに鍛えてはいるんだけど、ケンタウレア先生は完全に岩山だもん。

ヒソップ教授がベルガモット教授に声を掛ける。

「セド、怪我したら治したげるから頑張ってね」
「ああ、頼んだぞロリィ」

何、この2人仲良しなの?付き合ってんの?
…という雰囲気を残して第2試合スタート。

「行くぞ!」
何と、ベルガモット教授はケンタウレア先生相手にいきなり前へ出た。驚いた顔のケンタウレア先生に出来た隙をついて「っ!」眼前に一瞬の炎!
思わずガードする…かと思いきや、教授が魔法発動時に出した手をそのまま絡め取る…が、教授の腕が激しい炎に包まれる!「あちっ!」反射的に手を離した先生、そのまま体当たりする教授、を、受け流して水魔法拳を発動しようとする先生、が、発動がほんの少し遅い…!!
受け流された教授は先生の横、で、体制を崩しながらの「業火インフェルノ」!!

何と先に尻もちをついたのは…

ケンタウレア先生。

「うおー!すげー!セドの勝ちだ!!」
「やったなセド!」
「くそ…やはり魔法では勝てんな!」
「は、これが武芸の大会なら俺は瞬殺だろうがな」
「確かにね~!」

爽やかなオヤジたちのやりとり…何だか胸熱。
これは番狂わせと言ってもいいのでは?

あ、ちなみに属性魔法の教授たちが仲良しなのは親戚同士だからだそう。
「儂だけ仲間外れじゃもん…」
おじいちゃん先生が切ない声で教えてくれた。


そして来る第3試合…
ゴード・ジギタリス 対 カートランド・リリー!
ゴード先輩は昨年の雪辱を晴らせるか!
はたまたカート君が越えられない壁として立ちはだかるのか!
ファイッ!!

・・・

「……」
「…前回より早かったな」
「うう…」

また波に飲まれて消えてったゴード先輩。
がっくりと項垂れて落ち込んでる。
それをリリー君が宥めるように言う。

「魔法で負けるわけにはいきませんよ、これでも『神童』ですからねっ!」
うーん、さすが二つ名持ち。
「それに、ヘヴィさんに僕のことを認めて貰うためにも負けられませんから…」
そう言ってヘザー先輩に小さく手を降るカート君。
それを見て嬉しそうに手を振り返す先輩の姿に、ヘヴィさんが動いた。

「ゴード・ジギタリス、明日から特別訓練だ」
「はっ?」
「彼を倒したければ俺と王都へ来い」
「は…、はい…!!」

えっ、いきなりスカウトですか!?
やっべえ、だって1000%私情ですよねこれ。
学園に常駐出来ない自分の代わりにカート君をぶっちめる係を作ろうとしてますよね?
「父さん、急に何言ってるの!?」
「見込みがある者を鍛えるだけだが?」
いやいやいやいや。

あーもう、こういう時に止めてくれる大人パパさんは…
あっちで目下試合中かよ!!

俺は一縷の望みを賭けて叫んだ。

「おじいちゃん!!」
「はっはっは、将来が楽しみじゃのおー」

あかん、なんの役にもたたん。

ゴード先輩は「すぐに用意してきます」と言って寮へすっ飛んでいくし、ケンタウレア先生は「弟子を頼みます」って言っちゃってるし。

「大丈夫じゃ、もうすぐ冬休みじゃもん」
「そういう問題ですか!?」
「それよりほら、試合を続けねばの。
 トレッド!次は誰と誰じゃ?」
「え、あー、第4試合は…」

雷属性テディ・ボロニア 対 アレク・コスモス。

「えっなぜにアレクさん?」
「数合わせっす!」

いやいやいやいや、雷同士ぶつけたらどうなるか、もう何度かやらかしてるじゃないですか?
主にあっちで近衛騎士団長と戦ってる人たちが!!

って、トレッドさん知らないんだった……!

「駄目だトレッドさん!神官長、ワルド先輩を結界に入れてあげて!急いで!」
「ん?なぜだ…まあいいが」
「おっ、ありがてえ…」
と、ワルド先輩が結界に入ったとたん…

バチバチバチ!!
パァァン!!

雷同士がぶつかって出来た衝撃波が俺達を襲った。
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