180 / 586
学園3年目
結局、今年もとっ散らかる
しおりを挟む「最強魔法使いに挑戦する権」争奪、大魔法大会。
第1試合からいきなりビッグマッチ。
水属性エバ・ファンネル教授 対 風属性キューブ・オレガノ教授。
初手からファンネル教授が容赦なくアイスランス百連撃で攻めるも、それを自分を中心に設定した強力トルネードで弾き返すオレガノ教授、
砕かれた氷の欠片が空へ舞い上がり、トルネードが終わった瞬間、それが一気に降ってくる!!
「やべえ、結界しろ結界!」
「安心しろ、すでに展開済みだ」
「さすが神官長」
「私を中心に半径5メートル程だがな」
「てめー!ここ範囲外じゃねーか!!」
「それは君が不信心だからじゃないか?」
何気に観客側でも守備合戦だ。
神官長は結界の上、物理結界まで張れるらしい。
外に取り残されたワルド先輩は神官長に頭を下げないと中に入れてもらえない模様…変なとこでS気質なんだよなぁ、この人。
「いやあ、こんな魔法合戦見たことないね!
…来年はこれも込みで券の値段を3倍に」
「観客の安全を確保できればね!?」
あっちじゃビックウェイブとストームがぶつかり合って相乗効果を引き起こして天変地異一歩手前ですぞ!?うわ、どうなんのー!?
…と言ってる間に、オレガノ教授が距離を詰めファンネル教授に水平チョップを叩き込み試合終了。
「ぐっ…ごふっ」
「イエーイ!俺の勝ち!!」
えー!最後はそれなのぉー!?
がっかりする俺に、救護係を買って出てくれた光属性のローラ・ヒソップ教授が言う。
「純粋に魔法だけで勝負となると、グロリオサ卿には勝てませんからね」
「あー、なるほど」
そりゃ魔法では誰も勝てないだろうけどね…
さっきの氷の欠片も、隣に座った息子を守る為に炎で傘を作って(無詠唱)消滅させてたし。
サンタ魔王、いちいち規格外なんだよなぁ…赤い衣装が炎に見えてきたぜ。
第2試合…こちらも教授対教授。
なんと火属性セドリック・ベルガモット教授 対 魔法拳ランディ・ケンタウレア教授。
「ビッグマッチが続きますね」
「ベルガモット教授、大丈夫かな…」
体格が違いすぎる。
というかケンタウレア先生がデカ過ぎる。
ベルガモット教授もそれなりに鍛えてはいるんだけど、ケンタウレア先生は完全に岩山だもん。
ヒソップ教授がベルガモット教授に声を掛ける。
「セド、怪我したら治したげるから頑張ってね」
「ああ、頼んだぞロリィ」
何、この2人仲良しなの?付き合ってんの?
…という雰囲気を残して第2試合スタート。
「行くぞ!」
何と、ベルガモット教授はケンタウレア先生相手にいきなり前へ出た。驚いた顔のケンタウレア先生に出来た隙をついて「っ!」眼前に一瞬の炎!
思わずガードする…かと思いきや、教授が魔法発動時に出した手をそのまま絡め取る…が、教授の腕が激しい炎に包まれる!「あちっ!」反射的に手を離した先生、そのまま体当たりする教授、を、受け流して水魔法拳を発動しようとする先生、が、発動がほんの少し遅い…!!
受け流された教授は先生の横、で、体制を崩しながらの「業火」!!
何と先に尻もちをついたのは…
ケンタウレア先生。
「うおー!すげー!セドの勝ちだ!!」
「やったなセド!」
「くそ…やはり魔法では勝てんな!」
「は、これが武芸の大会なら俺は瞬殺だろうがな」
「確かにね~!」
爽やかなオヤジたちのやりとり…何だか胸熱。
これは番狂わせと言ってもいいのでは?
あ、ちなみに属性魔法の教授たちが仲良しなのは親戚同士だからだそう。
「儂だけ仲間外れじゃもん…」
おじいちゃん先生が切ない声で教えてくれた。
そして来る第3試合…
ゴード・ジギタリス 対 カートランド・リリー!
ゴード先輩は昨年の雪辱を晴らせるか!
はたまたカート君が越えられない壁として立ちはだかるのか!
ファイッ!!
・・・
「……」
「…前回より早かったな」
「うう…」
また波に飲まれて消えてったゴード先輩。
がっくりと項垂れて落ち込んでる。
それをリリー君が宥めるように言う。
「魔法で負けるわけにはいきませんよ、これでも『神童』ですからねっ!」
うーん、さすが二つ名持ち。
「それに、ヘヴィさんに僕のことを認めて貰うためにも負けられませんから…」
そう言ってヘザー先輩に小さく手を降るカート君。
それを見て嬉しそうに手を振り返す先輩の姿に、ヘヴィさんが動いた。
「ゴード・ジギタリス、明日から特別訓練だ」
「はっ?」
「彼を倒したければ俺と王都へ来い」
「は…、はい…!!」
えっ、いきなりスカウトですか!?
やっべえ、だって1000%私情ですよねこれ。
学園に常駐出来ない自分の代わりにカート君をぶっちめる係を作ろうとしてますよね?
「父さん、急に何言ってるの!?」
「見込みがある者を鍛えるだけだが?」
いやいやいやいや。
あーもう、こういう時に止めてくれる大人は…
あっちで目下試合中かよ!!
俺は一縷の望みを賭けて叫んだ。
「おじいちゃん!!」
「はっはっは、将来が楽しみじゃのおー」
あかん、なんの役にもたたん。
ゴード先輩は「すぐに用意してきます」と言って寮へすっ飛んでいくし、ケンタウレア先生は「弟子を頼みます」って言っちゃってるし。
「大丈夫じゃ、もうすぐ冬休みじゃもん」
「そういう問題ですか!?」
「それよりほら、試合を続けねばの。
トレッド!次は誰と誰じゃ?」
「え、あー、第4試合は…」
雷属性テディ・ボロニア 対 アレク・コスモス。
「えっなぜにアレクさん?」
「数合わせっす!」
いやいやいやいや、雷同士ぶつけたらどうなるか、もう何度かやらかしてるじゃないですか?
主にあっちで近衛騎士団長と戦ってる人たちが!!
って、トレッドさん知らないんだった……!
「駄目だトレッドさん!神官長、ワルド先輩を結界に入れてあげて!急いで!」
「ん?なぜだ…まあいいが」
「おっ、ありがてえ…」
と、ワルド先輩が結界に入ったとたん…
バチバチバチ!!
パァァン!!
雷同士がぶつかって出来た衝撃波が俺達を襲った。
29
お気に入りに追加
2,467
あなたにおすすめの小説
塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
いじめっこ令息に転生したけど、いじめなかったのに義弟が酷い。
えっしゃー(エミリオ猫)
BL
オレはデニス=アッカー伯爵令息(18才)。成績が悪くて跡継ぎから外された一人息子だ。跡継ぎに養子に来た義弟アルフ(15才)を、グレていじめる令息…の予定だったが、ここが物語の中で、義弟いじめの途中に事故で亡くなる事を思いだした。死にたくないので、優しい兄を目指してるのに、義弟はなかなか義兄上大好き!と言ってくれません。反抗期?思春期かな?
そして今日も何故かオレの服が脱げそうです?
そんなある日、義弟の親友と出会って…。
【BL】国民的アイドルグループ内でBLなんて勘弁してください。
白猫
BL
国民的アイドルグループ【kasis】のメンバーである、片桐悠真(18)は悩んでいた。
最近どうも自分がおかしい。まさに悪い夢のようだ。ノーマルだったはずのこの自分が。
(同じグループにいる王子様系アイドルに恋をしてしまったかもしれないなんて……!)
(勘違いだよな? そうに決まってる!)
気のせいであることを確認しようとすればするほどドツボにハマっていき……。
室長サマの憂鬱なる日常と怠惰な日々
慎
BL
SECRET OF THE WORLD シリーズ《僕の名前はクリフェイド・シュバルク。僕は今、憂鬱すぎて溜め息ついている。なぜ、こうなったのか…。
※シリーズごとに章で分けています。
※タイトル変えました。
トラブル体質の主人公が巻き込み巻き込まれ…の問題ばかりを起こし、周囲を振り回す物語です。シリアスとコメディと半々くらいです。
ファンタジー含みます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる