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学園3年目

小忙しい2学期

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「おじいちゃん先生!」
「お、なんじゃいな」
「今年の魔法学会はお休みさせてもらいます」
「は!?」

だって、他の人の研究手伝うので精一杯だもん。
自分の研究なんて何にも思いつかないし、そんなことよりサンドワームの動きのほうが気になる。
1回飲み込まれちゃってから憑り付かれてるような気がするけど、どうしてもあいつと決着をつけなきゃ気が済まない。

「次は、あのミミズ野郎に勝つ!
 じゃあ、今日はちょっと用があるので!」
「お、おい!ルース!?」

おじいちゃん先生に背を向けて正門前へ急ぐ。

今日は商人ズとちょっと約束があるんだ。
夏休み前のお茶会で出会ったジュリ君のことで話があるんだって。
あまりいい話じゃなさそうで今から緊張気味だ…
死んだとか殺されたなんて話じゃなきゃいいけど。

正門に着いて、アイリス商会の馬車に乗り込む。
イドラ君ちの従者さんに連れられて、今日は市場ではない方向へ向かう。
行先は飲み屋や娼館が集まっている場所…いわゆる「色街」だ。

「ジュリ君に、何があったんですか?」
「そう…ですね、良くない事、です」

やっぱりそうか…。
あの時の様子は、やっぱり事情があったんだな。

「その、殺された…とか、そういう…」
「いえ、そういうことでは無いのですが…見て頂く方が早いかと」

何だ、その不穏な感じは…。
それ以上会話もなく、緊張した空気のまま馬車は色街へと向かった。

----------

「…こちらへ」

色街の一角、周りと比べると多少豪華な構えの建物の前で馬車は止まった。
馬車を降りてその建物へと入ると、そこにノースさんとイドラ君、それから殿下が待っていた。

「えっ、殿下も?」
「当然だろう、お前だけをここに来させるわけにはいかん」
「変な噂になっても困るからね、一応…誰にも見られてはいないと思うけど、念のため」
「まあ、ここ娼館だもんね…」

どうみてもそういう建物だ。
フロアにキレイどころが待機してるし。
イドラ君の説明を聞きつつ、建物の奥へ進む。

「ここは「特別教育」係の派遣もしているんだ…その、学園の第1寮に」

話によると、ジュリ君はここの所属で、第1寮に派遣されてた人のうちの1人。
当初は殿下のお相手をする係として第1寮に入ったものの、殿下が第12寮に入ってしまったために宙に浮いた存在になってしまったそうだ。
若く見えるけどもう27歳なんだそうで…すでに引退するお年頃らしい。

「元々派遣される人は、引退直前の人なんだって。
 引退前の実入りのいいお仕事…口止めの関係で給料もいいし、貴族との繋がりは得られるし、高価なプレゼントも期待できる…
 つまりご褒美みたいなもんなんだよね」

元々この娼館で不動のNo.1だったジュリく…ジュリさん。
当然プライドも高かったし、側室入りすら狙ってた節もあるそうだ。
それなのに何故か一向にお呼びがかからない…。

「そもそも俺も父も祖父も頼んでもいないものを何故派遣したんだかが分からん」
「勝手に気を回したんでしょうね」
「王家に近い誰かがってことですね」
「帳簿を調べたが、誰が頼んだのか分からんのだ。
 当時の事を支配人や従業員に聞いても…どうも怪しい」

お給料は入って来るけど何もしない日々が続き、焦っていたのだという。
そこを誰かに付け込まれたようで、俺に対する負の感情を増大させられた結果…

「どうやら、お前のことが化物に見えるらしい。
 後…時々ここへ帰って来ては、ありもしない事を延々とわめき散らかしている。
 要はお前に対する誹謗中傷の中心になっているということだな」
「あー、何か色々納得しました」

怯えてたのは俺にだったのか…そんな人に招待状を渡してこいだなんて、悪趣味な。
誰がやらせたのか知らないけど…

もっと早くに俺に渡すつもりだったなら会長、
あのタイミングで命じたんならコーラス様だな。

多分。

「そう、だから闇魔法消す、できない?ルース」
「う~ん…ジュリさんのは根深そうだけど、頑張ってみます」
「支配人と従業員のも頼む」
「了解です」

話しているうちにジュリさんがいるという部屋へ…

「さて、ご対面といきますか」

果たして俺はどんな化物に見えているのやら。
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