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学園3年目

「穴」と説教と宴

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「…っと、これで、チェック完了ですね」
「そう、この穴が一番入口に近い穴…。
 で、出口までの間で見落としてなければOKだね」

5日かけて奥まで踏破し、5日かけて戻ってきた俺たち。戻りは魔物や魔獣があまり出なかったから、「穴」のチェックもしっかりできた…はずなんだけどな~。
あの最初に感じた長い穴の終点は見つからずじまいで…何だか消化不良気味だ。
ただ今回はゴブリンが出て来なかったので、それは良かったと思う。

しかしそれにしても結構「穴」開いてるもんだな…
調査によれば、凡そ6種類の穴があるようだ。
つまりサンドワームが6匹はいたということで、さらに卵ワラワラ…となるととんでもないことに…。

「穴の大きさから推測するに、どれも砂漠サイズにはなってると思う」

とソラン先輩が言うので、1個1個業火インフェルノやら大波ビッグウェイブやら暴風テンペストやらをぶちかましつつ帰ってきたわけだけど、外に出て死んでたのは2匹だけ。
あとの4匹はどこでどうなってるのか分からない。
ヘヴィさんが持ってきた黒焦げのアレが何かわからないままだから、あれを討伐数には入れられないしな…。

「じゃが大分魔物も間引けたし、これで暫く平穏になるといいんじゃがなぁ」
「今のうちに管理体制整えろって親父に言っとく」
「それにしても腹減ったなあ」
「うん、もうちょっと食料が必要だったね」

後方で穴発見隊をしてくれたヘザー先輩&カイト君、おじいちゃん先生&ゴード先輩の2パーティーも、穴を見守りつつ何匹も魔物を討伐していて、素材も魔石もたんまりだけどその分動いてお腹が空いちゃったんだよね。

「やっぱり砦を建てておいて良かったじゃろ?」
「そうですね、それは確かに…ありがとうございます」
「ふふん、もっと感謝してもよいのじゃぞ?」

砦に帰って、ウィン兄とディー兄は馬の様子を見に行った。
馬への愛がすごいよな…俺たちは砦の中に入って先に休もう。
砦の扉をノックして、宿屋の人が出てくるのを待つ…ん?なんか足音が多くないか…?
すると扉が勢いよく開いて、宿屋の人じゃない人が3人出てきて、いきなり頭を下げた。

「この度は大変申し訳ございません!!」
「今後、ダンジョン管理につきましてしっかりとやっていく所存です!」
「領地経営についてもう一度見直しを図ります!」
「親父、父さん、兄貴!?」

そう、カイト君のご家族だった…。

***

「いいですか?ダンジョン内の魔物の数が適切に保たれなくてはなりません。
 ここのようにあまり人の来ないダンジョンを管理する場合は、最低でも年2回は最深部まで行って帰って来るという依頼を冒険者ギルドに出すなど…」
クリビアさんがカイト君のご両親に懇々と説教している。

俺たちはそれを後目しりめに出された食事をモリモリ食べる。
カイト君ちの奢りだから、遠慮なく食べる。

「チキンうめー!」
「パンがやわらけー!」
「新鮮…こんなに野菜って美味しかったんですね」
「は~…何より牛乳がうめ~…」

「いいですか、ダンジョンから魔物が溢れるようなことがあれば…」
まだ説教は続いている。
聞くと、クリビアさんはダンジョン管理の甘い領主に指導して回る立場の人らしい。
それって結構偉い人なのでは…貴族担当ってそういうことか。
それでも聞かなければ、統括の名前で訴訟に打って出るとのことで…それで家名がいるのね。
貴族って平民から訴えられても無視する傾向があるからなあ。
何か貴族として申し訳ない。

「お腹いっぱいになったら、眠くなってきました…」
「僕も…」
「奥にベッドも入れております!どうぞお休みください!!」
「じゃあ、お言葉に甘えて…」

今日は砦で一泊だ。
明後日から学園か…また忙しくなるんだろうな。

そういえばあの子…ジュリって言ってたっけ、ノースさんが任せといてって言ってたけど…大丈夫なのかな?

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