134 / 586
学園3年目
俺、対、生徒会 その2
しおりを挟む
茶会だか茶話会だか知らんけど、腹減った。
俺は昼飯が食いたいし魔道具の話もしたいんじゃ!
というわけで、一気に畳みかける。
「私が正室など、どう考えてもおかしな事。
ですが、先々の世代のことも考えると…
今しかないのです、シャムロック様」
「どういうことですか」
「イフェイオン家の惨状を、当家では重く受け止めております。無理にでもイフェイオン翁と父が「交流」をしたのも、その為…。
それと今回、兄達が他国の王家に嫁ぐにあたり、王家のほうでもお考えになられる事があり、今回それが合致した、ということです」
全員…きょとんとしてる。
でしょうね。
「公爵家の皆様がご結婚なさる場合、
伯爵家から伴侶をお迎えになりますか?
なりませんでしょう?」
「あ、ああ」
認めんなよ副会長…想定通りの反応だけど。
「イフェイオン公爵家へ行った私の伯父は、愛人という立場でした。屋敷の中に部屋もなく、側室という肩書もなかった。
その結果か、1人しか子どもを産めず…。
その事から、やはり、我が苗床には「愛」が必要なのだということになったのです。
…そうで無い場合、1人しか子を成せないのではないか、と…。
私の父の事は、ご存じでしょう?
ある時期、1人の方から1人の子どもを授けて頂くことを重ねております。
「愛」が得られないうちは、そうして人数を重ねることで、子どもを産み続けたのです。
愛する伴侶がいたとしても…誰も王命に背くことはできませんでしょう?」
椅子から立ち上がってテナチュール様が言う。
これ、人を指さしちゃ駄目!お下品ですわよ!
「馬鹿な!それが王命だったというのか!?
私は父から聞いたんだ!皆もそう言っている!
お前の家は淫蕩の血筋で、次から次へ男を…!
そんな家に正室など…、だから私は!」
うわ出た、サイテー。
欲をかいて家族に恥部を晒した挙げ句、産む方に責任を押し付けるのって何かの様式美なんけ?
「それは、テナチュール侯爵様の方便ですよ。
誰も王命には逆らえない、それは侯爵様も同じではありませんか…?」
「は…あ!?」
「他家の子どもを、他国の王家へ嫁がせる…
聞こえは良いかもしれませんが、要は王家が他人の子どもを売り飛ばしたのと同じこと。
王家の恥部になりかねない、そんな秘密を…
我が子相手としても、話せたでしょうか?」
「そ、それは」
「侯爵様は、自分が不実の罪を着てでも、王家を守ろうとされたのではないか…と…。
どうか、お父様を責めないで下さい」
暗にお前の親父も同罪だぞと釘を刺しておく。
テナチュール様、沈黙。
うん、まあ、普通はさ。誰だって自分の父ちゃんが他所の男と…なんて思いたくないよね。
だから、本当は崇高な自己犠牲だったっていうオチをご用意しておいたわけなんですよ。
知らなくてもいい真実もあるってことでさ…
悪いのは父親で、息子じゃないしね。
俺、思春期の少年には気を使うタイプだから!
シャムロック様が言う。
「1つ、お聞きしたい。
…「愛」とは、何のことです?」
ああ、うん。
それ…実は、いい統計があるんだよね。
俺はきっぱりと言う。
「正室であることです、シャムロック様。
リリー侯爵家、アナガリス辺境伯…。
神の怒りから遠ざったお家は、当家のものを正妻に迎えて頂いたお家ばかり。
ですが妾の場合は言うに及ばず、側室としてお迎え頂いた場合にも…その時ばかりは2人、3人と産めますが、その後の世代には続きません。
またすぐに「一粒種」が続くのです」
「…、確かに、そう…ですね」
シャムロック様、沈黙。
すると突然、副会長がキレる。
リアルキレる十代ですよ。
これで外務…大丈夫なんか?
「だから何だ!
貴様が王の正室になるのと何の関係がある!!」
はーやれやれ、本気で分からんのかね。
ほんと将来が心配だわ。
「大ありです、バイオレット様。
皆様の曾孫がもし神の怒りに触れそうになった時、王家に連なる家から伴侶を得られるのであれば…公爵家の名を傷つけることなく、正室に「ユーフォルビア」の血筋を迎えることが出来るでしょう?」
「な、…あっ…!!」
全員が驚愕の表情。
どうやらこの理論は受け入れられそうだな…
ああ、コーラス様だけ無表情だけど。
「国王陛下も…今回の事で、伯爵家から王家へ嫁がせるのは難しい…とお思いになったようです。
各国で随分と反対もあったそうですから。
養子縁組をしたとて、血筋までは…
どうにもなりませんでしょう?」
「あ、ああ、そう、だな…」
そうだな、じゃねーよ。
「でしたら、王家にユーフォルビアの血統を作るしかありません。今ならば、皆様…神の怒りからお離れになったばかりでしょう?
あと3代、猶予があるではありませんか」
副会長が、プルプルしながら言う。
怒りを鎮めているようだ…頑張れ。
「……アルファード殿下の次の王は、何とする」
「王を継ぐのは、側室の子でも構いませんよね?
正室でなければ「苗床」が機能しない限り、そうするのが一番の策だ…となったようです。
父と、国王陛下の間で。
ですから私と殿下は、どれだけ詰られようと、その道を行くしかないのです」
副会長、沈黙。
会長が、重い口を開く。
「そういうお考え、だったのですね」
「ええ、この話は…皆様の反対すら既定路線。
アルファード殿下は、批判を受けることを承知の上で外堀を埋めていらっしゃるのです。
皆様との交流を最低限にしているのも…
諌められなかった事を咎められないように、と」
「……次の次、遠い未来の事ばかりでなく、今の我々の事まで、気にかけて頂いた、と…?」
感極まってる会長。
結構チョロいんだな…大丈夫なん?
まあ裁判官じゃないんだしいいのか…いいのか?
「今更何を仰います、フリージア様。
公爵家、また王族と縁のある家は、ローズ王国に多大な貢献をなさってきた…それを王家が大事に思うのは、当然の事ではありませんか」
「ああ…、そう…そうだ。
我々が、不要である訳が…無かったんだ…」
俺、ダメ押し。
会長、完全に沈黙。
すると今まで黙って見ていたコーラス様が動いた。
「なるほど…ね」
出てきたで本命。
こっからが本当の勝負だ…!
俺は昼飯が食いたいし魔道具の話もしたいんじゃ!
というわけで、一気に畳みかける。
「私が正室など、どう考えてもおかしな事。
ですが、先々の世代のことも考えると…
今しかないのです、シャムロック様」
「どういうことですか」
「イフェイオン家の惨状を、当家では重く受け止めております。無理にでもイフェイオン翁と父が「交流」をしたのも、その為…。
それと今回、兄達が他国の王家に嫁ぐにあたり、王家のほうでもお考えになられる事があり、今回それが合致した、ということです」
全員…きょとんとしてる。
でしょうね。
「公爵家の皆様がご結婚なさる場合、
伯爵家から伴侶をお迎えになりますか?
なりませんでしょう?」
「あ、ああ」
認めんなよ副会長…想定通りの反応だけど。
「イフェイオン公爵家へ行った私の伯父は、愛人という立場でした。屋敷の中に部屋もなく、側室という肩書もなかった。
その結果か、1人しか子どもを産めず…。
その事から、やはり、我が苗床には「愛」が必要なのだということになったのです。
…そうで無い場合、1人しか子を成せないのではないか、と…。
私の父の事は、ご存じでしょう?
ある時期、1人の方から1人の子どもを授けて頂くことを重ねております。
「愛」が得られないうちは、そうして人数を重ねることで、子どもを産み続けたのです。
愛する伴侶がいたとしても…誰も王命に背くことはできませんでしょう?」
椅子から立ち上がってテナチュール様が言う。
これ、人を指さしちゃ駄目!お下品ですわよ!
「馬鹿な!それが王命だったというのか!?
私は父から聞いたんだ!皆もそう言っている!
お前の家は淫蕩の血筋で、次から次へ男を…!
そんな家に正室など…、だから私は!」
うわ出た、サイテー。
欲をかいて家族に恥部を晒した挙げ句、産む方に責任を押し付けるのって何かの様式美なんけ?
「それは、テナチュール侯爵様の方便ですよ。
誰も王命には逆らえない、それは侯爵様も同じではありませんか…?」
「は…あ!?」
「他家の子どもを、他国の王家へ嫁がせる…
聞こえは良いかもしれませんが、要は王家が他人の子どもを売り飛ばしたのと同じこと。
王家の恥部になりかねない、そんな秘密を…
我が子相手としても、話せたでしょうか?」
「そ、それは」
「侯爵様は、自分が不実の罪を着てでも、王家を守ろうとされたのではないか…と…。
どうか、お父様を責めないで下さい」
暗にお前の親父も同罪だぞと釘を刺しておく。
テナチュール様、沈黙。
うん、まあ、普通はさ。誰だって自分の父ちゃんが他所の男と…なんて思いたくないよね。
だから、本当は崇高な自己犠牲だったっていうオチをご用意しておいたわけなんですよ。
知らなくてもいい真実もあるってことでさ…
悪いのは父親で、息子じゃないしね。
俺、思春期の少年には気を使うタイプだから!
シャムロック様が言う。
「1つ、お聞きしたい。
…「愛」とは、何のことです?」
ああ、うん。
それ…実は、いい統計があるんだよね。
俺はきっぱりと言う。
「正室であることです、シャムロック様。
リリー侯爵家、アナガリス辺境伯…。
神の怒りから遠ざったお家は、当家のものを正妻に迎えて頂いたお家ばかり。
ですが妾の場合は言うに及ばず、側室としてお迎え頂いた場合にも…その時ばかりは2人、3人と産めますが、その後の世代には続きません。
またすぐに「一粒種」が続くのです」
「…、確かに、そう…ですね」
シャムロック様、沈黙。
すると突然、副会長がキレる。
リアルキレる十代ですよ。
これで外務…大丈夫なんか?
「だから何だ!
貴様が王の正室になるのと何の関係がある!!」
はーやれやれ、本気で分からんのかね。
ほんと将来が心配だわ。
「大ありです、バイオレット様。
皆様の曾孫がもし神の怒りに触れそうになった時、王家に連なる家から伴侶を得られるのであれば…公爵家の名を傷つけることなく、正室に「ユーフォルビア」の血筋を迎えることが出来るでしょう?」
「な、…あっ…!!」
全員が驚愕の表情。
どうやらこの理論は受け入れられそうだな…
ああ、コーラス様だけ無表情だけど。
「国王陛下も…今回の事で、伯爵家から王家へ嫁がせるのは難しい…とお思いになったようです。
各国で随分と反対もあったそうですから。
養子縁組をしたとて、血筋までは…
どうにもなりませんでしょう?」
「あ、ああ、そう、だな…」
そうだな、じゃねーよ。
「でしたら、王家にユーフォルビアの血統を作るしかありません。今ならば、皆様…神の怒りからお離れになったばかりでしょう?
あと3代、猶予があるではありませんか」
副会長が、プルプルしながら言う。
怒りを鎮めているようだ…頑張れ。
「……アルファード殿下の次の王は、何とする」
「王を継ぐのは、側室の子でも構いませんよね?
正室でなければ「苗床」が機能しない限り、そうするのが一番の策だ…となったようです。
父と、国王陛下の間で。
ですから私と殿下は、どれだけ詰られようと、その道を行くしかないのです」
副会長、沈黙。
会長が、重い口を開く。
「そういうお考え、だったのですね」
「ええ、この話は…皆様の反対すら既定路線。
アルファード殿下は、批判を受けることを承知の上で外堀を埋めていらっしゃるのです。
皆様との交流を最低限にしているのも…
諌められなかった事を咎められないように、と」
「……次の次、遠い未来の事ばかりでなく、今の我々の事まで、気にかけて頂いた、と…?」
感極まってる会長。
結構チョロいんだな…大丈夫なん?
まあ裁判官じゃないんだしいいのか…いいのか?
「今更何を仰います、フリージア様。
公爵家、また王族と縁のある家は、ローズ王国に多大な貢献をなさってきた…それを王家が大事に思うのは、当然の事ではありませんか」
「ああ…、そう…そうだ。
我々が、不要である訳が…無かったんだ…」
俺、ダメ押し。
会長、完全に沈黙。
すると今まで黙って見ていたコーラス様が動いた。
「なるほど…ね」
出てきたで本命。
こっからが本当の勝負だ…!
40
お気に入りに追加
2,467
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
嫌われ者の長男
りんか
BL
学校ではいじめられ、家でも誰からも愛してもらえない少年 岬。彼の家族は弟達だけ母親は幼い時に他界。一つずつ離れた五人の弟がいる。だけど弟達は岬には無関心で岬もそれはわかってるけど弟達の役に立つために頑張ってるそんな時とある事件が起きて.....
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
転移したらなぜかコワモテ騎士団長に俺だけ子供扱いされてる
塩チーズ
BL
平々凡々が似合うちょっと中性的で童顔なだけの成人男性。転移して拾ってもらった家の息子がコワモテ騎士団長だった!
特に何も無く平凡な日常を過ごすが、騎士団長の妙な噂を耳にしてある悩みが出来てしまう。
普通の学生だった僕に男しかいない世界は無理です。帰らせて。
かーにゅ
BL
「君は死にました」
「…はい?」
「死にました。テンプレのトラックばーんで死にました」
「…てんぷれ」
「てことで転生させます」
「どこも『てことで』じゃないと思います。…誰ですか」
BLは軽い…と思います。というかあんまりわかんないので年齢制限のどこまで攻めるか…。
エロゲ世界のモブに転生したオレの一生のお願い!
たまむし
BL
大学受験に失敗して引きこもりニートになっていた湯島秋央は、二階の自室から転落して死んだ……はずが、直前までプレイしていたR18ゲームの世界に転移してしまった!
せっかくの異世界なのに、アキオは主人公のイケメン騎士でもヒロインでもなく、ゲーム序盤で退場するモブになっていて、いきなり投獄されてしまう。
失意の中、アキオは自分の身体から大事なもの(ち●ちん)がなくなっていることに気付く。
「オレは大事なものを取り戻して、エロゲの世界で女の子とエッチなことをする!」
アキオは固い決意を胸に、獄中で知り合った男と協力して牢を抜け出し、冒険の旅に出る。
でも、なぜかお色気イベントは全部男相手に発生するし、モブのはずが世界の命運を変えるアイテムを手にしてしまう。
ちん●んと世界、男と女、どっちを選ぶ? どうする、アキオ!?
完結済み番外編、連載中続編があります。「ファタリタ物語」でタグ検索していただければ出てきますので、そちらもどうぞ!
※同一内容をムーンライトノベルズにも投稿しています※
pixivリクエストボックスでイメージイラストを依頼して描いていただきました。
https://www.pixiv.net/artworks/105819552
魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました
タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。
クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。
死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。
「ここは天国ではなく魔界です」
天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。
「至上様、私に接吻を」
「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」
何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる