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学園3年目

俺、対、生徒会 その2

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茶会だか茶話会だか知らんけど、腹減った。
俺は昼飯が食いたいし魔道具の話もしたいんじゃ!

というわけで、一気に畳みかける。

「私が正室など、どう考えてもおかしな事。
 ですが、先々の世代のことも考えると…
 今しかないのです、シャムロック様」
「どういうことですか」
「イフェイオン家の惨状を、当家では重く受け止めております。無理にでもイフェイオン翁と父が「交流」をしたのも、その為…。
 それと今回、兄達が他国の王家に嫁ぐにあたり、王家のほうでもお考えになられる事があり、今回それが合致した、ということです」

全員…きょとんとしてる。
でしょうね。

「公爵家の皆様がご結婚なさる場合、
 伯爵家から伴侶をお迎えになりますか?
 なりませんでしょう?」
「あ、ああ」

認めんなよ副会長…想定通りの反応だけど。

「イフェイオン公爵家へ行った私の伯父は、愛人という立場でした。屋敷の中に部屋もなく、側室という肩書もなかった。
 その結果か、1人しか子どもを産めず…。
 その事から、やはり、我が苗床には「愛」が必要なのだということになったのです。
 …そうで無い場合、1人しか子を成せないのではないか、と…。
 私の父の事は、ご存じでしょう?
 ある時期、1人の方から1人の子どもを授けて頂くことを重ねております。
 「愛」が得られないうちは、そうして人数を重ねることで、子どもを産み続けたのです。
 愛する伴侶がいたとしても…王命に背くことはできませんでしょう?」

椅子から立ち上がってテナチュール様が言う。
これ、人を指さしちゃ駄目!お下品ですわよ!

「馬鹿な!それが王命だったというのか!?
 私は父から聞いたんだ!皆もそう言っている!
 お前の家は淫蕩の血筋で、次から次へ男を…!
 そんな家に正室など…、だから私は!」

うわ出た、サイテー。
欲をかいて家族に恥部を晒した挙げ句、産む方に責任を押し付けるのって何かの様式美なんけ?

「それは、テナチュール侯爵様の方便ですよ。
 誰も王命には逆らえない、それは侯爵様も同じではありませんか…?」
「は…あ!?」
「他家の子どもを、他国の王家へ嫁がせる…
 聞こえは良いかもしれませんが、要は王家が他人の子どもを売り飛ばしたのと同じこと。
 王家の恥部になりかねない、そんな秘密を…
 我が子相手としても、話せたでしょうか?」
「そ、それは」
「侯爵様は、自分が不実の罪を着てでも、王家を守ろうとされたのではないか…と…。
 どうか、お父様を責めないで下さい」

暗にお前の親父も同罪だぞと釘を刺しておく。
テナチュール様、沈黙。

うん、まあ、普通はさ。誰だって自分の父ちゃんが他所の男と…なんて思いたくないよね。
だから、本当は崇高な自己犠牲だったっていうオチをご用意しておいたわけなんですよ。
知らなくてもいい真実もあるってことでさ…
悪いのは父親で、息子じゃないしね。

俺、思春期の少年には気を使うタイプだから!

シャムロック様が言う。

「1つ、お聞きしたい。
 …「愛」とは、何のことです?」

ああ、うん。
それ…実は、いい統計があるんだよね。
俺はきっぱりと言う。

「正室であることです、シャムロック様。
 リリー侯爵家、アナガリス辺境伯…。
 神の怒りから遠ざったお家は、当家のものを正妻に迎えて頂いたお家ばかり。
 ですが妾の場合は言うに及ばず、側室としてお迎え頂いた場合にも…その時ばかりは2人、3人と産めますが、その後の世代には続きません。
 またすぐに「一粒種」が続くのです」
「…、確かに、そう…ですね」

シャムロック様、沈黙。
すると突然、副会長がキレる。
リアルキレる十代ですよ。
これで外務…大丈夫なんか?

「だから何だ!
 貴様が王の正室になるのと何の関係がある!!」

はーやれやれ、本気で分からんのかね。
ほんと将来が心配だわ。

「大ありです、バイオレット様。
 皆様の曾孫がもし神の怒りに触れそうになった時、王家に連なる家から伴侶を得られるのであれば…公爵家の名を傷つけることなく、正室に「ユーフォルビア」の血筋を迎えることが出来るでしょう?」
「な、…あっ…!!」

全員が驚愕の表情。
どうやらこの理論は受け入れられそうだな…
ああ、コーラス様だけ無表情だけど。

「国王陛下も…今回の事で、伯爵家から王家へ嫁がせるのは難しい…とお思いになったようです。
 
 養子縁組をしたとて、血筋までは…
 どうにもなりませんでしょう?」
「あ、ああ、そう、だな…」

そうだな、じゃねーよ。

「でしたら、王家にユーフォルビアの血統を作るしかありません。今ならば、皆様…神の怒りからお離れになったばかりでしょう?
 あと3代、猶予があるではありませんか」

副会長が、プルプルしながら言う。
怒りを鎮めているようだ…頑張れ。

「……アルファード殿下の次の王は、何とする」
「王を継ぐのは、側室の子でも構いませんよね?
 正室でなければ「苗床」が機能しない限り、そうするのが一番の策だ…となったようです。
 父と、国王陛下の間で。
 ですから私と殿下は、どれだけなじられようと、その道を行くしかないのです」

副会長、沈黙。
会長が、重い口を開く。

「そういうお考え、だったのですね」
「ええ、この話は…皆様の反対すら既定路線。
 アルファード殿下は、批判を受けることを承知の上で外堀を埋めていらっしゃるのです。
 皆様との交流を最低限にしているのも…
 諌められなかった事を咎められないように、と」

「……次の次、遠い未来の事ばかりでなく、今の我々の事まで、気にかけて頂いた、と…?」

感極まってる会長。
結構チョロいんだな…大丈夫なん?
まあ裁判官じゃないんだしいいのか…いいのか?

「今更何を仰います、フリージア様。
 公爵家、また王族と縁のある家は、ローズ王国に多大な貢献をなさってきた…それを王家が大事に思うのは、当然の事ではありませんか」
「ああ…、そう…そうだ。
 我々が、不要である訳が…無かったんだ…」

俺、ダメ押し。
会長、完全に沈黙。
すると今まで黙って見ていたコーラス様が動いた。

「なるほど…ね」

出てきたで本命。

こっからが本当の勝負だ…!
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