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学園3年目
楽譜読めぬ者たち
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ルディ君の涙に、若い神官長は折れた。
好きなだけ持っていけと言われたので、遠慮なくゴッソリと楽譜をゲットした俺たちは武術棟の方に引き返す。
「そういや俺、楽譜読めないんですよ」
「安心しろ、俺もだ」
「安心できるか馬鹿!ここでもルディ頼みか…」
「さすがにこの量を1人じゃきついでしょ…読める人を探しましょう、できるだけ大勢!」
「おねがいします!」
武術練習場に戻ると、砦がほぼ出来上がっていた。
屋根は付いてるし、あとは窓を嵌めるだけ…かな?
王子とジョンさんが仲良く窓を外枠に取り付けているのが見える。いつ見てもラブラブだな…。
「おー、戻ったか」
「戻りましたぁー、大量ですよ!」
「ほー、良く借りられたのぉ、すごいな」
「ルディ君が活躍してくれたので」
あと神官長の自爆とね。
「神殿というもんはどうにも頭が堅くてのぉ、なかなかこういうもんを貸し出してくれんのじゃ…
やや、これはまた古いやつまで持ってきたな」
「おじいちゃん先生、楽譜読めますよね?」
「いや、さっぱり読めん」
えっ!予想外!
「誰か読める人知りませんか?」
「それなら知っとるぞ、何人いるんじゃ?」
「えー…沢山?」
「分かった、明後日まで待てるかの?」
「あ、そりゃもう、はい」
おじいちゃん先生に楽譜を読める人を頼めたので、賛美歌のことは一旦明後日まで置いとくことにして、俺たちはまた古代魔法の文献を読むことに。
「爵位の高い方なら読めるわけじゃないんですね」
「いいとこの子は楽器やるもんだと思ってたんだけどなぁ…そういうもんでもないんですか?」
「爵位より信仰心がものをいうのかもしれんな。
楽譜見て歌うのは聖歌隊くらいのもんだしな」
「あー基本耳で聞いて覚える感じですよねー」
分かる分かる。
「あ、そういえばワルド先輩、古代語の件は?」
「おーそうそう、古語でドロップは雫、ウォーターは迸り、ウォーターアローは穿つ水…って、ここに対応表書いて来たわ、光のもついでに聞けたから、これも」
「へえ…ライトは月の欠片って言うのか…ヒールは精霊の…施し?施されてんだ、俺たち…」
「古代の人って詩的な表現を好んだんですね」
ルディ君が「詩的」なんてアカデミックな言葉で表現してるけど、要は中二病的なアレだよな…
「こりゃあ……大変だ」
「でも、詩的な表現だから、歌には合いそうだな」
「あっ、確かに!」
ルディ君、賛美歌に目をつけたの、大正解かも」
「ほんとですか!?」
「…信心がこんなとこで役立つなんて……。
やっぱ無駄な事って無いのかもしれないなぁ…」
ワルド先輩が妙に深い事を言って、俺たちはまた属性を付与する魔法の再生に取り組み始めた。
「イメージ…イメージかあ」
「詠唱を元にイメージすんのが大変だよな」
「古代魔法の詠唱は今でいう理論なんですかね?」
今は科学がそれなりに発達して「こういう理屈でこうなって、だからこういう効果の魔法が出るんですよ」って理屈をつけられるから、誰でもイメージしやすくなってるんだけど、昔は何とかの精霊がいっぱいいたのかもしれないなぁ。
そんなことを考えていると、ルディ君が言った。
「発音を探るのも心が折れそうです、けど…」
「けど?」
「1人じゃないから、楽しくできます」
「ルディ…」
はにかむルディ君。
友だちが出来て良かったな…的な顔をする教授。
ほっこりする俺とワルド先輩。
そこへ、タイミング良く王子が声を掛けてきた。
「ルース先生ー!砦が出来ましたよー!」
「窓の取り付け、完了です」
「えー、もう出来たんですか!?早いな!」
「図面があるとイメージが固まりやすいから、壁を出しやすいんだよね」
「グランド・インフェルノも覚えましたし!
土を焼くのに地獄味はいらないですしね!」
やっぱ魔法馬鹿たちはすげえなぁ。
「あれ、おじいちゃん先生は…?」
「楽譜読める人に連絡してくるって」
「えっ…今?」
変だな…
明後日って言ってたのに。
好きなだけ持っていけと言われたので、遠慮なくゴッソリと楽譜をゲットした俺たちは武術棟の方に引き返す。
「そういや俺、楽譜読めないんですよ」
「安心しろ、俺もだ」
「安心できるか馬鹿!ここでもルディ頼みか…」
「さすがにこの量を1人じゃきついでしょ…読める人を探しましょう、できるだけ大勢!」
「おねがいします!」
武術練習場に戻ると、砦がほぼ出来上がっていた。
屋根は付いてるし、あとは窓を嵌めるだけ…かな?
王子とジョンさんが仲良く窓を外枠に取り付けているのが見える。いつ見てもラブラブだな…。
「おー、戻ったか」
「戻りましたぁー、大量ですよ!」
「ほー、良く借りられたのぉ、すごいな」
「ルディ君が活躍してくれたので」
あと神官長の自爆とね。
「神殿というもんはどうにも頭が堅くてのぉ、なかなかこういうもんを貸し出してくれんのじゃ…
やや、これはまた古いやつまで持ってきたな」
「おじいちゃん先生、楽譜読めますよね?」
「いや、さっぱり読めん」
えっ!予想外!
「誰か読める人知りませんか?」
「それなら知っとるぞ、何人いるんじゃ?」
「えー…沢山?」
「分かった、明後日まで待てるかの?」
「あ、そりゃもう、はい」
おじいちゃん先生に楽譜を読める人を頼めたので、賛美歌のことは一旦明後日まで置いとくことにして、俺たちはまた古代魔法の文献を読むことに。
「爵位の高い方なら読めるわけじゃないんですね」
「いいとこの子は楽器やるもんだと思ってたんだけどなぁ…そういうもんでもないんですか?」
「爵位より信仰心がものをいうのかもしれんな。
楽譜見て歌うのは聖歌隊くらいのもんだしな」
「あー基本耳で聞いて覚える感じですよねー」
分かる分かる。
「あ、そういえばワルド先輩、古代語の件は?」
「おーそうそう、古語でドロップは雫、ウォーターは迸り、ウォーターアローは穿つ水…って、ここに対応表書いて来たわ、光のもついでに聞けたから、これも」
「へえ…ライトは月の欠片って言うのか…ヒールは精霊の…施し?施されてんだ、俺たち…」
「古代の人って詩的な表現を好んだんですね」
ルディ君が「詩的」なんてアカデミックな言葉で表現してるけど、要は中二病的なアレだよな…
「こりゃあ……大変だ」
「でも、詩的な表現だから、歌には合いそうだな」
「あっ、確かに!」
ルディ君、賛美歌に目をつけたの、大正解かも」
「ほんとですか!?」
「…信心がこんなとこで役立つなんて……。
やっぱ無駄な事って無いのかもしれないなぁ…」
ワルド先輩が妙に深い事を言って、俺たちはまた属性を付与する魔法の再生に取り組み始めた。
「イメージ…イメージかあ」
「詠唱を元にイメージすんのが大変だよな」
「古代魔法の詠唱は今でいう理論なんですかね?」
今は科学がそれなりに発達して「こういう理屈でこうなって、だからこういう効果の魔法が出るんですよ」って理屈をつけられるから、誰でもイメージしやすくなってるんだけど、昔は何とかの精霊がいっぱいいたのかもしれないなぁ。
そんなことを考えていると、ルディ君が言った。
「発音を探るのも心が折れそうです、けど…」
「けど?」
「1人じゃないから、楽しくできます」
「ルディ…」
はにかむルディ君。
友だちが出来て良かったな…的な顔をする教授。
ほっこりする俺とワルド先輩。
そこへ、タイミング良く王子が声を掛けてきた。
「ルース先生ー!砦が出来ましたよー!」
「窓の取り付け、完了です」
「えー、もう出来たんですか!?早いな!」
「図面があるとイメージが固まりやすいから、壁を出しやすいんだよね」
「グランド・インフェルノも覚えましたし!
土を焼くのに地獄味はいらないですしね!」
やっぱ魔法馬鹿たちはすげえなぁ。
「あれ、おじいちゃん先生は…?」
「楽譜読める人に連絡してくるって」
「えっ…今?」
変だな…
明後日って言ってたのに。
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