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学園3年目

ダンジョン再生計画の続き ~ウィン視点~

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「さってと、今日もサンドワーム狩りに行くか」
「もう居ないといいんだけどね~」
「定期的な調査は大事ですから」

俺たち2人はソランと一緒に時々こうしてサンドワームを狩りにダンジョンへ行っている。
調べるのは主に2層から4層。
1層は工事中だから、サンドワームが出てきたとしても工事業者の雇った冒険者が何とかしてくれる。

「お、お疲れ~。今日もサンドワーム探し?」

そう声をかけてきたのはダグっていう冒険者だ。
ディーも知ってるけど、こいつは元々は公爵令息だったあのダグラス・イフェイオン。
まさかこんなところで働いているとは…
灯台下暗しとはよく言ったもんだ。

「ああ、1層は出る?」
「いや、2週間ほど前のあれから出てないよ。
 上はまだ出るの?」
「大きいのはもう居なくなったかな…
 1mくらいのやつはこの前出たけどね」
「できれば、この国での平均サイズ以上のものは討伐してしまいたいところです」

ルースには言ってないけど、俺たちはこのダンジョンでもう何匹も1~2mサイズのサンドワームを討伐している。
ルースがこんな大きなサンドワームがゴロゴロしてるなんて異常事態を見たら、きっと余計な仕事を自分から増やしてしまうだろうし、しばらくは秘密にしておきたいところだ。
それに…

「サンドワームの開けた穴を利用して、ゴブリンが巣をつくることがある」

とソランから聞いたし。

東のダンジョン…暗き森の遺跡へ行ったとき、ルースがゴブリンに襲われかけたって聞いた。
他にも人がいたのに、真っ先に狙われるなんて…。
何が要因かはわからないけど、とにかく近づけないようにしないとだ。
不安要素は片っ端から取っ払っていかなきゃな。

そういえばあのとき、グロリオサ卿がよく分からない大きなものを黒焦げにしていたけど…もしかしたらあれはサンドワームだったんじゃないか?
ここはあのダンジョンから近いし、何か関係があるのかもしれない。
ここ最近、色んな所でゴブリンの目撃情報があるらしいのも何だか気になる。


そしてこの前王宮で会ったノース・コリアスというやつからも気になる話を聞いた。

シャラパール周辺の国で、乾燥地帯がじわじわと大きくなっているらしい。
それが原因で農地が狭くなり、争いが増えている…だから軍馬の需要が高まっているんだ、と。

乾燥地帯拡大の原因がサンドワームの増殖だとすると…海を越えて同じ魔物が増えてるってこと?
そんなこと起きるのか?
あとでソランに聞いてみよう。

あ、ルースには秘密にしといてくれって言っとかないとな…。また余計な心配事増やすのは嫌だし。

「ウィン兄、もうすぐ2層だよ」
「ああ…気合入れて行こうぜ」
「よろしくお願いします」

穴を埋める作業を頼むのに、マッピングもしっかりやらないとな…

そう言って俺たちは、ガントレットが作ってくれた魔石ランタンのスイッチを入れた。

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