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学園3年目
揺れる「反王家」
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「くそっ…何故だ…!」
あれだけのことをして、ルースの心に隙間を開けることができないとは。
いや、心の隙間は確かに空いたのだ。
だが…まさか、ケンタウレアに保護されることになるとは思いもしなかった。
そのうえ権力に興味の無い家のものがすっかり周りを固めて、こちら側が彼に近寄ることすらできない。
「しっかりタネを蒔けていれば、雑誌の記事でとどめを刺せるはずだったのに…!」
アルファードの近くに「見目麗しく頭の良い者」を配置して、ルースの不安を煽る計画は頓挫。
ルースは想定外の働きを見せ、本当に頭の良い連中はいつの間にか取り込まれ、中途半端に賢いものは近づくことすらできない鉄壁になってしまった。
「まだ用意はあるんだろう?」
「あと10人しかいない!
もう30人も駄目になった!!」
いくつもの家に声をかけ、我が子を殿下のお側に近づける好機だと説得してきたが…
最も乗り気だったリリー家の次男でも駄目。
グロリオサ家には断られ、何かあれば屋敷も領地を灰にすると脅され、これも駄目。
ルースに手を出すことを期待して、無理やり担任にねじ込んだカレンデュラも駄目。
コスモス家の長男に至っては…家自体の反応が薄かったため、本人を唆したが…まだ、ルースのそばを離れずについてはいても、すでにアルファードへの忠誠を誓わされた状態だ。
近づけそうだと見越してから洗脳したガーベラ家の長男も、近づかないと大変なことになると脅してから洗脳したアイリス家の長男も、彼の懐に入れたのはすっかり洗脳が解けてからで…。
意味が無いどころか、あちらに大きな力を与えてしまった。
1番金を掛けた案件ですら、1年目ですでに破綻した。
「選りにもよってエルグランの奴…苦労してカメリア王家を落とし、金を積んで賢い方の王子を送り込ませたのに…従者なんぞと婚約するだと!そのようなことが許されるのか!?」
「あの従者、平民どもからの支持が多いからと…
つけあがりおって」
1番時間を掛けた計画は…散々な結果。
「イフェイオン公爵から、こちらの計画が漏れるようなことはないのだろうな?」
「我々が手を組んでいることが分かるようなことがあれば…お仕舞いだ」
計画の中心にいる者たちは焦る。
だが…
「ああ、問題ありませんよ…あの無能に全てを明かすほど、こちらも考え無しではありません。
本人が思いついてやった、と思い込ませてありますから…それが解けることもないでしょう。
あれとルースを会わせるようなことをあちらがするとは思えませんし、会っただけで解けることもないでしょう…対策は立ててありますよ」
1人の少年は余裕の微笑みを浮かべて言う。
3人の男のうち、1人が怒りの声を上げる。
「エルム公、元はと言えばあんたの父親が言い出した事だろう!何か無いのか!」
「…そうですね、今のところは…まだ。
フリージア公はいかがです」
「王宮内の高官どもも、春先の王家の宴以降…奴に肩入れし始めている。
本人と話をしてみれば、聞いたことと違うではないか…と、次期正室に相応しい人物だ…とも」
「洗脳が解け始めているのか?」
「あるいは解けてしまった可能性も…」
そこで、1人、物騒なことを言い出す人物がいる。
「婚約前に、アレを傷物にしてしまえば良い」
「バイオレット公…本気か?」
「あれは時々、自ら市場へ買い物に出るらしいな。
それに、街外れの人気の少ない場所に研究施設を建てたとか?利用できそうじゃないか」
エルム公…正確にはエルム公爵家次期当主はにっこりと微笑み、その計画に対し言った。
「そうですか。
ではその作戦の効果に期待致しましょう」
あれだけのことをして、ルースの心に隙間を開けることができないとは。
いや、心の隙間は確かに空いたのだ。
だが…まさか、ケンタウレアに保護されることになるとは思いもしなかった。
そのうえ権力に興味の無い家のものがすっかり周りを固めて、こちら側が彼に近寄ることすらできない。
「しっかりタネを蒔けていれば、雑誌の記事でとどめを刺せるはずだったのに…!」
アルファードの近くに「見目麗しく頭の良い者」を配置して、ルースの不安を煽る計画は頓挫。
ルースは想定外の働きを見せ、本当に頭の良い連中はいつの間にか取り込まれ、中途半端に賢いものは近づくことすらできない鉄壁になってしまった。
「まだ用意はあるんだろう?」
「あと10人しかいない!
もう30人も駄目になった!!」
いくつもの家に声をかけ、我が子を殿下のお側に近づける好機だと説得してきたが…
最も乗り気だったリリー家の次男でも駄目。
グロリオサ家には断られ、何かあれば屋敷も領地を灰にすると脅され、これも駄目。
ルースに手を出すことを期待して、無理やり担任にねじ込んだカレンデュラも駄目。
コスモス家の長男に至っては…家自体の反応が薄かったため、本人を唆したが…まだ、ルースのそばを離れずについてはいても、すでにアルファードへの忠誠を誓わされた状態だ。
近づけそうだと見越してから洗脳したガーベラ家の長男も、近づかないと大変なことになると脅してから洗脳したアイリス家の長男も、彼の懐に入れたのはすっかり洗脳が解けてからで…。
意味が無いどころか、あちらに大きな力を与えてしまった。
1番金を掛けた案件ですら、1年目ですでに破綻した。
「選りにもよってエルグランの奴…苦労してカメリア王家を落とし、金を積んで賢い方の王子を送り込ませたのに…従者なんぞと婚約するだと!そのようなことが許されるのか!?」
「あの従者、平民どもからの支持が多いからと…
つけあがりおって」
1番時間を掛けた計画は…散々な結果。
「イフェイオン公爵から、こちらの計画が漏れるようなことはないのだろうな?」
「我々が手を組んでいることが分かるようなことがあれば…お仕舞いだ」
計画の中心にいる者たちは焦る。
だが…
「ああ、問題ありませんよ…あの無能に全てを明かすほど、こちらも考え無しではありません。
本人が思いついてやった、と思い込ませてありますから…それが解けることもないでしょう。
あれとルースを会わせるようなことをあちらがするとは思えませんし、会っただけで解けることもないでしょう…対策は立ててありますよ」
1人の少年は余裕の微笑みを浮かべて言う。
3人の男のうち、1人が怒りの声を上げる。
「エルム公、元はと言えばあんたの父親が言い出した事だろう!何か無いのか!」
「…そうですね、今のところは…まだ。
フリージア公はいかがです」
「王宮内の高官どもも、春先の王家の宴以降…奴に肩入れし始めている。
本人と話をしてみれば、聞いたことと違うではないか…と、次期正室に相応しい人物だ…とも」
「洗脳が解け始めているのか?」
「あるいは解けてしまった可能性も…」
そこで、1人、物騒なことを言い出す人物がいる。
「婚約前に、アレを傷物にしてしまえば良い」
「バイオレット公…本気か?」
「あれは時々、自ら市場へ買い物に出るらしいな。
それに、街外れの人気の少ない場所に研究施設を建てたとか?利用できそうじゃないか」
エルム公…正確にはエルム公爵家次期当主はにっこりと微笑み、その計画に対し言った。
「そうですか。
ではその作戦の効果に期待致しましょう」
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